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テクノロジー導入に後ろ向きな日本企業のワークプレイス戦略

ワークプレイス戦略を取り巻く環境も大きく様変わりしている。IoTやAR・VRといった新たなテクノロジーを駆使し、これまで以上に効率的かつ省コストになるワークプレイス戦略を実践する企業が増えている。テクノロジーはワークプレイスを進化させる重要ファクターとなるが、日本企業はグローバル企業に比べてテクノロジー導入に後ろ向きだという。

2019年 11月 25日

労働人口減の中、生産性向上を実現する鍵はテクノロジー

JLLではオフィスにおける座席の利用率をセンサーで計測し、最適なレイアウトを導き出す「オフィス利用率調査」を提供しているが、ワークプレイス戦略においてテクノロジーを活用する動きはグローバル企業にとって当たり前になっているが、日本企業においてはまだまだ限定的だ。

テクノロジー導入「慎重」43%

JLLではワークプレイス戦略についてグローバルで企業アンケートを実施し、その結果を隔年で発表してきた。新たに発行した2019年版ではグローバル企業の回答数561件、日本企業の回答数40件を数えた。この回答結果から、日本企業はワークプレイス戦略においてデジタル・データ・テクノロジーの導入について「慎重」との回答が43%と最も多い結果となり、ついで「素早い追従者」35%に続き、「先駆的採用者」「第三者に依存」「興味は限定的」がそれぞれ8%と横並びになった。テクノロジー導入に後ろ向きの状況が浮き彫りになった形だ。これに対して、グローバルFuture Fit企業では「慎重」がわずか5%。「先駆的採用者」が62%を占め、テクノロジーに対して前向きであることが窺える。

ワークプレイス戦略に関連するサービスの予算で25%以上を配分する企業の割合について調査したところ、日本企業で最も割合が多かったのが「ポートフォリオ管理」で38%。次いで「資本支出」35%、「オペレーション」13%、「CREテクノロジー」は5%で最も低かった。この傾向はグローバル企業、先進的なCRE戦略を実践しているグローバルFuture Fit企業も同様で、前者は7%、後者は9%。現時点ではCREテクノロジーへの投資が限定的であるのは世界共通といえる。ただし、今後3年間で投資が増加すると予想されるCRE関連予算について調査したところ、「CREテクノロジー」はグローバルFuture Fit企業の44%で最も多くの回答を集めた。一方で日本企業は18%。「資本的支出」38%や「ポートフォリオ管理」33%と比較しても低い数値となっている。

採用済および導入を計画しているCREテクノロジーについて質問したところ、日本企業とグローバル企業の間に大きな隔たりがあることが分かった。前述した通り、グローバルFuture Fit企業は日本企業に比べてCREテクノロジーに対して前向きであり、中でも「ワークプレイ/従業員エクスペリエンス・アプリ」は80%、「スマートテクノロジー、IoT」は77%と高い割合を示す。将来的なCREテクノロジー投資への優先事項では、グローバルが「ワークプレイス/従業員エクスペリエンス・アプリ」を挙げ、30%を占めたが、日本企業は15%。日本企業の回答で最も多くの割合となったのが「統合型ワークプレイス管理システム」で30%。ちなみにグローバル企業は18%と、投資の優先事項についても大きな違いがある。

大手デベロッパーが自社オフィスにテック導入

昨今、日本においてオフィス開発を手掛ける大手デベロッパーが相次いで自社オフィスを再整備しているが、IoT機器等を導入し、自ら活用することで開発ノウハウを蓄積し、今後のオフィス開発等に活かすという狙いが見て取れる。ワークプレイスへのテクノロジー導入への流れは日本でもすでに顕在化している。

本レポートの制作責任者であるJLLアジアパシフィック コーポレート・ソリューションズ・リサーチヘッド スーザン・サザーランドは「テクノロジーにフォーカスしているCREチームが存在しているのがFuture Fit企業の特長といえる。中でもデジタルソリューションで事業の効率性や生産性を高めていくことは人手不足が顕著な日本企業にとって必要不可欠だ」と指摘する。一部のグローバル企業では、将来的にはCRE部門にはヒューマン・エクスペリエンスに精通した人材や、データ解析を得意とする人材が必要になるとの意見が出始めており、テクノロジー導入が本格化すれば、いずれ日本企業にも同様の議論が浮上しそうだ。

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