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共同オフィスとは?種類や選び方のポイントを詳しく解説

リモートワークの普及と共に不特定多数の法人が共同でオフィスを利用する「共同オフィス」の存在感が高まっている。本稿では、共同オフィスの種類や選び方のポイントなどを解説する。

2025年 02月 24日
共同オフィスとは?

共同オフィスは、複数の会社や個人が共同で利用できるオフィス形態を指し、シェアオフィスやコワーキングスペースなど、いわゆるフレキシブルオフィスが該当する。共同オフィスには、デスク、椅子などのオフィス家具や、インターネット回線、プリンターなどが完備されているため、少ない初期費用と短期間で執務環境を構築できる。

他の会社とスペースを共有して働くという考え方は、2005年8月に米国・サンフランシスコで始まったとされ、その後、日本にも伝播。2020年から本格化したコロナ禍によってオフィス出社を停止し、フルリモートワークに切り替える企業が急増。これを受けて、不特定多数の法人利用が可能な共同オフィスの注目度が急上昇した。
 

共同オフィスの一般的な設備

共同オフィスは施設によって導入設備が異なるが、以下のような環境が整っていることが一般的だ。

  • フリーアドレス席・固定席

  • 個室・半個室

  • ミーティングルーム、応接室、ブース

  • モニター

  • Wi-Fi環境

  • プリンター

  • ロッカー

  • 住所利用、法人登記

  • リンクサービス
共同オフィスの種類

現在、共同オフィスは以下のような種類のオフィスが主流だ。

コワーキングスペース
 

共同オフィスの一種であるコワーキングスペースは、フリーランサーや個人事業者にも多く利用されている。co-workingという英語 「co(共に)」+「working(働く)」からも分かるように、スペースを共有して働くことが大きな特徴だ。月額制、都度利用など、いくつかのプランが提供されていることが多い。コワーキングスペースでは、イベントが開催されていることが多く、施設利用者が交流を深めることができる点が大きな特長だ。

シェアオフィス
 

シェアオフィスは、他の会社や個人とスペースを共有して利用できるレンタルオフィスだ。共有スペースや、個室、半個室、会議室、ビデオコール用のスペースなど、様々なスペースが提供されている。シェアオフィスでは、コワーキングスペースにあるような利用者同士の交流はあまり行われていない
 

共同オフィスをおすすめしたい職種

近年は、メールは当然のことながら、チャットアプリやビデオコールアプリで仕事の進捗状況を確認できるため、テクノロジーを最大限に活用することで、共同オフィスでも滞りなく業務を進められる。中でも共同オフィスの使用に向いている職種としては、インターネット上でコミュニケーションをして業務を完結させることができる、以下のような職種が挙げられる。
 

  • ソフトウェアエンジニア、ウェブディベロッパー、プログラマー

  • ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、UX・UIデザイナー

  • フリーランスライター、コピーライター

  • デジタルマーケティング関連、プロジェクトマネージャー、アカウントマネージャー

  • オンラインストア運営者、オンラインサービス業者

現在オフィス増床などを理由に共同オフィスの利用を検討している場合は、経験豊富な専門家に話を聞きながら自社に最適なオフィス戦略を見出していくことをおすすめしたい。

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共同オフィスが日本で増えてきている背景

近年、テクノロジーの発達により、起業や独立のハードルが低くなり、少人数や個人で起業をする人が増えている。この場合、コストを抑えて起業することが望ましいため、家具やネット環境が整っている共同オフィスが日本の起業家を支えているともいえるだろう。

また、コロナ禍によってオフィス出社が制限されていた時期に在宅勤務が普及し、現在もリモートワーク主体の企業も存在する。柔軟な働き方を実現するために企業が共同オフィスに本社機能を構えたり、サテライトオフィスとして活用しているケースも見られる。

共同オフィスが日本の起業家を支えている

共同オフィスのメリット

共同オフィスを利用する主なメリットは以下が挙げられる。

コスト節約・労力負担の軽減

会社として従来のオフィス施設を契約するには、家賃・契約期間の予算見積もりだけでなく、オフィス家具、ネット契約の期間など、予算の見積もり作業に時間や労力をかけることになる。共同オフィスをレンタルする際は、そのような労力を大幅に軽減できる。また、仕事に必要な設備が一通り揃っていることが多く、一からオフィスを作るよりも初期費用を抑えることができる。

柔軟性が高い

共同オフィスの賃貸の場合、様々なプランが用意されているため、最初は少人数、小さなスペースで始めることができる。会社の運営が軌道に乗ってきたら、人員を増やしてオフィスのスペースをアップグレードしたり、状況に応じてスペースをレンタルできるなど、柔軟性が高い部分もメリットの一つである。

集中できるスペース

少人数用の個室や、一人用の集中ブースなどが整備されている共同オフィスも多く、集中できる環境が整っているため、社員の生産性も上がるだろう。ミーティングスペースや応接室などを活用することで、他人とオフィスを共有しながらも、集中できるスペースを確保できる。

同業者・異種業者との交流機会の増加

多くのコワーキングスペースは、定期的にビジネス向けのイベントを開催しており、同業者や異種業者が交流できる機会が用意されている。このようなイベントに参加することで、交流の幅が広がり新たなビジネスチャンスが広がる可能性もある。こうした機会は、コワーキングスペースの利用者に用意されている特典で非常に貴重である。

アフターパンデミックと言われる現在でもリモートワークを継続している会社は多いため、共同オフィスの需要は衰えることもないだろう

共同オフィスを利用する際の注意点

一方、共同オフィスには以下のような注意点も存在する。

他の利用者への配慮が必要

共有スペースをレンタルする場合、周りを気にせずに大声で電話や会議をしてしまうと他の利用者に迷惑がかかってしまう。その他にも、スマホの通知音、キーボードの音など、些細なことで周囲の人に悪い印象を与えてしまう可能性もあるので、マナーには十分気をつけたい

セキュリティへの対策が必要

オフィスのセキュリティ対策がきちんとされているかも確認したい。受付の担当者の対応なども入居前に確認しておくと良いだろう。共有スペースをレンタルしている場合、トイレ、休憩、昼食のために席を離れる場合などは、当然ラップトップを開いたまま去ることはおすすめできない。ロッカーの大きさなども事前に確認しておくと、手持ちの荷物を収納できるかが分かる。また、共有Wi-Fi使用の場合は、セキュリティへの配慮が必要だ。

プランによってはコストが割高

共同オフィスには様々なプランが用意されている。最も基本的なプランは、自由に席を選べる共有スペースのみ使用可能なものだろう。当然、個室や複数の社員が一緒に使える部屋を確保するには、プランをアップグレードする必要がある。その他にもオプションのサービスを追加していくと使用料が膨らんでいくので、予算にあまり余裕がない場合などは最低限のサービスを活用するにとどまる。

ミーティングルーム確保の難しさ

一般的にミーティングルームは予約制になっており、急なミーティングが発生することが多い場合は不便さを感じるだろう。特に都心中心部の共同オフィスは利用者も多く、日中は確保できないことも注意しておきたい。

共同オフィスの選び方

共同オフィスのレンタルを検討している場合、以下の点に注意して選ぶことをおすすめする。

立地条件

営業活動が多い場合は、顧客と打ち合わせができるように便利な場所を選ぶのが賢明だろう。しかしながら、駅から近い便利なロケーションでは、オフィスが混雑したり、料金が高くなりがちだ。立地条件を優先するか、コストを優先するかを明確にしておこう。

価格・プラン

個室、少人数の部屋やミーティングルームの使用頻度を見極めてプランを決めておこう。住所利用、電話対応などはオプションサービスになるため、これらのサービスの必要性もあらかじめ確認しておくことで、オフィスの料金が予算に収まるのかを判断することができる。

設備

当然、運営会社によってオフィスの設備は異なる。都会の中心部であれば広さは同じでも、郊外に比べて施設利用料が上がる可能性が高い。スペースの広さ、オフィス家具の種類、全体的な雰囲気など、気になる点を事前に確認しておきたい。
 

共同オフィス契約開始までのステップ

共同オフィスの導入が決定したら、契約する段階に進むまでの一般的なステップは以下になる。

理想の条件を明確にする

共同オフィスの利用を検討している場合、まずは社内で話し合い、コストや席数・間取り、設備などの必要条件を事前に明確にしておく。こうすることで、様々な共同オフィス候補からスムーズに選択することができる。

施設を見学して設備や雰囲気を確認

気になる施設を見つけたら施設内を見学し、雰囲気を確認したい。同じ設備が揃っていても、利用者によって施設ごとの雰囲気が大きく異なる。

契約手続き

希望のオフィスが決まったら、必要書類を揃えて契約手続きに進む。法人契約に必要な書類は、一般的には代表者の身分証明書、会社登記簿謄本、印鑑証明書などがある。

入居準備

契約手続きが完了したら、施設のルールなどを入居前に社内で共有しておくと、社員はスムーズに施設を利用することができる。

共同オフィスとその他のワークスペースの違い

コワーキングスペースシェアオフィスなどの複数の共同オフィスが存在することは前述したが、現在広く知られているその他の共同オフィスも紹介する。

レンタルオフィス

レンタルオフィスとは、期間や人数を指定してレンタルができるオフィスだ。デスク、オフィス家具などは完備されているため、すぐに働ける環境が整っている。コワーキングスペースやシェアオフィスと違う点は、他の会社や個人とシェアするのではなく、専用スペースをレンタルできる点だ。

サテライトオフィス

サテライトオフィスとは、企業の本社や本拠地から離れた場所に設置されているオフィスだ。支店、営業所と似ているかもしれないが、サテライトオフィスは、会社の一部の社員が通勤するのに便利な場所に設置されており、小規模な場合が多い。しかし、スペースや通信環境などはきちんと整備されており、本社の社員と同様に働ける環境が整っている。

インキュベーションオフィス

インキュベーションオフィスは、スタートアップなど、起業したばかりの企業をサポートする役割を果たすオフィスのことを意味する。企画運営自体は、都道府県や市町村などの公的機関に行われているが、オペレーション作業は、民間企業に委託されていることが多い。

共同オフィスを利用して新しい働き方を実現させよう

従来の賃貸オフィスと異なり、コストなどを抑えながらで事業活動することができる共同オフィス。需要は増加傾向にあり、施設の品質や拠点網も充実してきているため、これから貴社が目指したい働き方に合わせて柔軟に導入することが可能になるだろう。JLLは、共同オフィスの導入に加えて、企業の成長戦略に合わせて最適なワークプレイス戦略の策定・実行まで幅広く支援している。オフィスに関する相談は下記から問い合わせていただきたい。

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