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従業員が求めているのは「オフィスを超えた」オフィス

従前、オフィスは働くことを主目的とする場所であったが、世界的なトレンドは様々な機能を有し、ある種オフィス内で快適に過ごせる生活の場を求めている。こうしたテナントの新たなニーズを受けて、新規オフィス開発ではテナントが利用可能な様々な機能が盛り込まれている。

2025年 04月 22日
オフィスは単なる「働く場」ではなくなった?

従業員は、オフィス体験に公共スペースが含まれることをますます期待している

オフィス市場の世界的なトレンドは「オフィスの壁を超える」ことだという。どういうことか?

従前、企業で働く従業員は都心に位置するオフィスに通勤し、近隣の飲食店や小売店で買い物したり、帰宅途中にジムへ通うなど、オフィスとは異なる施設を利用せざるをえなかった。

一方、これらのアメニティ施設は新規オフィス開発における標準設備となっており、特に多様な用途を有する大規模複合開発で顕著になっている。

JLLアジア太平洋地域 ワークダイナミクス リサーチ・戦略ディレクターを務めるシュエタ・チョダリは「オフィスは仕事をするだけでなく、従業員の健康維持に対応するべく、体験重視の執務環境へ明確にシフトしている」との見解を示す。

JLLグローバルが発表したレポート「Outlook on Design Trends 2025」(英語版)において、このトレンドは「Street to Seat」と呼ばれているが、コラボスペースから執務スペースまで一貫したエンドツーエンドな体験を提供することに焦点を当てているという。チョダリが指摘するように、不動産開発全体において“体験を提供する”ことに影響を与えている。

例えば、タイの首都バンコクの中心業務地区の複合施設内に位置する保険会社のFWDのオフィスが好例だ。従業員はスーパーマーケットやレストランなどにすぐにアクセスできる他、素晴らしい眺望とコラボレーションを促進する多目的なソーシャルハブを利用することができる。
 

新たなオフィストレンド「Street to Seat」

オフィスにおける従業員の体験を向上させることは、人材を惹きつけ、周辺地域を活性化させ、オフィスへの出勤を促進することに繋がる

こうした従業員の体験を意識したオフィスの仕様は、デベロッパーとテナント双方にとって焦点となっている。

「オフィスにおける従業員の体験を向上させることは、人材を惹きつけ、周辺地域を活性化させ、オフィスへの出勤を促進することに繋がる」(チョダリ)

特に若手従業員は、快適性に着目したヒト中心のデザインとコミュニティや繋がりを育む空間レイアウトを融合させた、より質の高いオフィス体験を求めている。JLLのグローバル調査レポート「Experience Matters」(英語版)によると、ミレニアル世代とZ世代の80%以上が「都市が時代のニーズに応え続けるためには新しい体験を提供する必要がある」と考えている。これによって、デベロッパーとテナントは複合施設開発の設計において「Street to Seat」が重要な考慮事項となっている。
 

ヒト中心の空間デザイン

従業員同士の交流がオフィス回帰を促す最大の理由であり、交流を促進するためのイベントを実施しやすいスペースもオフィスにとって必要不可欠な存在になる

チョダリは「ヒト中心の設計が核心となる」とし、「体験データとユーザージャーニーマップを組み合わせ、空間設計やブランディング、テクノロジーを統合することで、すべての接点において体験が向上する」との見解を示している。

テナントにとっては、オフィスの近くにあるアメニティ施設が限られていても、オフィス内で従業員の体験向上に焦点を当てることが重要だ。

例えば、グローバル企業のMMCは、マレーシア・クアラルンプールのオフィスに地元の文化的要素を反映したデザインを取り入れ、地域との繋がりを意識づけている他、フランスのコワーキング運営事業者であるStartway-Multiburpがパリに位置する歴史的な郵便局を改装し、天井高と自然採光を最大限に活かすことで、施設内の快適性を向上させている。

JLLグローバルでは、従業員同士の交流がオフィス回帰を促す最大の理由であり、交流を促進するためのイベントを実施しやすいスペースもオフィスにとって必要不可欠な存在になると予想している。

「コラボレーション、帰属意識、そしてコミュニティを育むスペースをオフィス内に整備することで、従業員の満足度と生産性を大幅に向上させることができる」(チョダリ)

従業員はオフィスのさらなる進化に期待

テナントがオフィスへの投資を強化するなか、チョダリは「利便性やウェルビーイングなど、体験を優先する新たなトレンドが出現する。従業員は、より多くの緑地、マッサージなどのウェルネス機能、コラボレーションスペース、コワーキングハブ、テクノロジーを活用した環境を期待する」と締めくくった。

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※上記文章は、JLLグローバルが発表した記事「How the modern workplace is transcending the office」を元に作成しました。一部AIを活用し翻訳を行っているため、原文と異なる表現や解釈が含まれている可能性があります。公式な情報が必要な場合、原文である英語記事の確認をお願いします。

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