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コワーキングスペースとシェアオフィスの違いとは?それぞれの特徴も含めてご紹介

コワーキングスペースとシェアオフィスの定義と違い、メリットとデメリット、料金体系や提供サービスの詳細、両者がそれぞれどのような目的や用途に合っているのかを解説し、最適な選択肢を導き出す。

2024年 09月 20日
コワーキングスペースとシェアオフィスの違いは?

コワーキングスペースとシェアオフィスは、どちらも複数の個人や企業が共用するオフィス形態だが、以下のようにいくつかの違いが存在する。

コワーキングスペースの特徴

  • オープンなワークスペースが主体

  • 異業種の人々が交流し、コミュニティを形成しやすい

  • 原則フリーアドレス制

  • イベントやセミナー開催など、交流促進の仕組みがある

  • 起業家、フリーランス、リモートワーカーなどの利用が多いが、近年は大手企業の利用も増えている

コワーキングスペースの概要やメリット、デメリットなどの詳細な情報についてはこちらの記事も参照していただきたい。

シェアオフィスの特徴

  • 個室や区切られたスペースが中心である

  • 各利用者のエリアが明確に分かれている

  • 固定席が多い

  • コミュニティ形成よりも、業務遂行に適した環境提供が主目的である

  • 中小企業やスタートアップの利用が多い

シェアオフィスの概要やメリット、向いている企業の特徴などは別記事も参照していただきたい。

両者の最大の違いは、コワーキングスペースが利用者間の交流やコラボレーションを重視しているのに対し、シェアオフィスは各利用者の独立した業務環境の提供に重点を置いている点である。

ただし、上記はあくまでも傾向であり、近年ではシェアオフィスであっても一部にオープンなコラボレーションスペースを備えているなど、両方の要素を併せ持つ施設も増えている。

ともに複数の企業や個人が利用するが、コワーキングスペースはコミュニケーションを重視するのに対し、シェアオフィスは独立した業務環境を提供する

コワーキングスペースとシェアオフィスのメリットとデメリット

コワーキングスペースとシェアオフィスは、複数の企業や個人が共同でオフィスを利用するという点においては共通だが、それぞれの特徴によってメリットやデメリットが存在する。

コワーキングスペースは低コストで充実したインフラを利用でき、従業員の柔軟な働き方の実現や他業種の人々との交流から新たな仕事の機会を得られる可能性がある一方で、オープンな空間のため、機密性の高い電話や打ち合わせには不向きという環境面やセキュリティ面の課題も存在する。

シェアオフィスは初期投資を抑えつつ専用の執務スペースを確保でき、一般の賃貸オフィスに近い環境が手軽に実現できるのがメリットだ。共用の会議室やカフェスペースを併設する施設もあり、ビジネスの拡大に応じて柔軟に契約内容を変更できるものの、内装や設備のカスタマイズ性には制限があり、自社のブランドイメージを十分に反映させにくい場合がある。また、共有Wi-Fiの利用などのセキュリティリスクにも注意が必要である。

コワーキングスペースとシェアオフィスそれぞれに向いている企業

コワーキングスペースとシェアオフィスは、企業の規模やニーズによってどちらが向いているか傾向が異なる。以下にそれぞれ向いている企業の特徴を紹介する。

コワーキングスペースが向いている企業

コワーキングスペースは1人からでも利用できるため、少人数の企業や従業員数の変動が大きい企業、特に創業間もないスタートアップ企業などにとって魅力的な選択肢となる。

また、他社との交流を重視し、新しいビジネスチャンスやオープンイノベーションの創発を求める企業にも向いている。

さらにハイブリッドワークを導入する企業にとっても、希望する従業員を自宅から近いコワーキングスペースをサテライトオフィスとして活用できるようにするなど柔軟な働き方を実現する場として有効だ。

シェアオフィスが向いている企業

シェアオフィスは、コスト効率を重視しつつも、自社のみで執務環境を利用したい企業に適している。特に、初期費用を抑えてスピーディにコア業務をスタートさせたい小規模企業やベンチャー・スタートアップ企業にとって利便性が高い。

また、立地や設備内装のクオリティが高いシェアオフィスもあり、最小限のコストでブランドイメージ向上を図りたい企業にも向いている。

自社にはどちらのオフィス形態が向いているのかを専門家に相談する

シェアオフィスやコワーキングスペースを選ぶ際の注意点

シェアオフィスやコワーキングスペースを導入する際、以下のような比較検討ポイントがある。あらかじめ条件の優先順位をつけておき、一長一短の場合は優先度の高い条件を満たすオフィスを選ぶとよい。

料金は適切か

複数の料金プランが用意されていることが多いため、自社に必要な要件を確認して最適な料金プランを選択する。その上で月額を算出して各施設を比較する。価格の高低だけでなく、設備・機能に見合った金額かどうかもあわせてチェックする。

立地に問題がないか

従業員の通勤や、顧客・取引先へのアクセスが良い場所を選ぶことで、ビジネスを効率的に進められる。エリアのブランド価値や周辺の飲食店・商業施設・郵便局などの充実度、リフレッシュできる場所なども考慮することで従業員の満足度が向上し、採用の際にも有利に働くだろう。検討にあたっては実際に訪問して利便性や雰囲気を体感することが重要だ。

個室や会議用のスペースを利用できるか

業務上個室や会議室の利用が必要な場合は、設備の有無だけでなく、予約システムの使い勝手や稼働率、利用回数の上限などを確認しておく。施設によっては会議室の予約に追加料金がかかる場合もあるため、注意して欲しい。

コワーキングスペースとシェアオフィス以外のオフィス形態

全従業員が本社オフィスの固定席で勤務する従来型の賃貸オフィス以外にも、現在はさまざまなオフィスの形態が増えており、それらを総称してフレキシブルオフィスとも呼ぶ。コワーキングスペースとシェアオフィスも含まれるが、これら以外にも様々な形態が存在する。

レンタルオフィス

レンタルオフィスは、業務に必要な環境が整った貸事務所のことをいう。デスク・チェア、インターネット回線などの設備費が利用料金に含まれ、低コストで利用できる。起業家やフリーランスだけでなく、企業のサテライトオフィスとしても需要が高い。サービスオフィスやバーチャルオフィスもレンタルオフィスの一種とされる。

サービスオフィス

サービスオフィスは、充実した設備と手厚いサポートが特徴の個室型オフィスである。オフィス機器や什器、通信回線が完備され、受付・秘書業務を行うスタッフが常駐している。ロビーや会議室、ラウンジなどの共用施設も充実している。月額制や従量制で契約でき、短期利用も可能だが、他のオフィス形態と比べてやや高額とされる。

サテライトオフィス

サテライトオフィスは、コアオフィスや自宅以外の第3のワークプレイスに位置づけられ、通勤に利便性の高い場所や従業員の居住地近くに設置された多様な働き方に対応するオフィスである。

支社支店とは異なり管理する従業員が常駐せず、個々の従業員の業務に特化している。従前、賃貸オフィスに自社専用サテライトオフィスを構えるケースが多かったが、近年はコワーキングスペースやシェアオフィスなどのフレキシブルオフィスが利用されるようになっている。サテライトオフィスの導入は、ワークライフバランスの向上や地方の人材獲得にも有効だ。

インキュベーションオフィス

インキュベーションオフィスは、スタートアップやベンチャー企業の支援を目的としたオフィスだ。主に公的機関が企画運営し、経営の専門知識を持つインキュベーションマネージャーが常駐している。入居企業は経営ノウハウ、資金計画、人材紹介などのサポートを受けられる。起業のハードルを下げ、新産業の創出を促進する。

セットアップオフィス

セットアップオフィスは、内装付きで貸し出されるオフィスである。貸主が受付や会議室の造作などの間取り工事を行う。レイアウトや内装工事の費用と時間が削減でき、短期間でのオフィス移転や業務負担の軽減を求める企業に適している。なお、テナントとして賃貸借契約を結ぶ点において、他のフレキシビルオフィスとは異なる。

最適なオフィス形態を選ぶためのポイント

コワーキングスペース・シェアオフィスを含む多種多様なフレキシブルオフィスを選ぶには、以下のようなポイントをおさえて比較検討するとよい。

自社のニーズを明確にする

自社の現状と将来の展望を踏まえ、以下の要素をリスト化し、優先順位付けを行う。

  • 従業員数

  • 業務内容

  • コミュニケーションの重要性

  • 予算

  • 立地条件

  • 柔軟な働き方の導入レベル

  • セキュリティ

  • ブランドイメージへの影響

これに基づいて必要なオフィス機能を明確にし、最適なオフィス形態を絞り込む基準を策定する。

コスト・契約形態・施設設備などを一覧化して比較する

各オフィス形態のコスト(初期費用、月額費用、追加料金)、契約期間、解約条件などを比較する。また、提供される設備やサービス(インターネット環境、会議室、受付サービスなど)を一覧化し、自社のニーズと照らし合わせる。立地や交通アクセス、周辺環境も重要な要素として検討する。これらを総合的に評価し、費用対効果の高い選択肢がどれなのかを判断する。

ハイブリッドワークという選択肢も

従来型の賃貸オフィスか、フレキシブルオフィスへ変更するか、必ずしも二者択一にする必要はない。オフィス勤務とリモートワーク、フレキシブルオフィスでの勤務を組み合わせたハイブリッドワークという働き方も存在する。

企業と従業員双方にメリットがある最適な組み合わせを見つけることで、人材の確保や生産性向上につながる可能性がある。

コワーキングスペースやシェアオフィスの活用方法

コワーキングスペースやシェアオフィスの活用方法は多岐にわたり、企業のニーズに応じて柔軟に対応できる。

  • リモートワークの作業スペースとして

  • 企業の営業拠点として

  • 事業継続計画(BCP)として

まず、リモートワークの作業スペースとして利用することで、従業員の働く場所の選択肢を広げ、採用の幅を拡大することが可能になる。次に事業拡大時の支店や営業所として活用することで、初期費用を大幅に抑えつつ、好立地に拠点を設けることができる。さらに事業継続計画(BCP)の一環として、災害時の代替拠点としても有用だ。初期費用や環境整備が不要で、即座に業務を再開できる点も大きな利点となる。また人員数に応じて利用面積を柔軟に調整できるため、状況に応じた効率的な運用が可能である。

コワーキングスペースやシェアオフィスは幅広い活用方法があり、営業エリアの拡大やBCP、人材確保、働き方改革まで企業にさまざまな効果をもたらす

シェアオフィスとコワーキングスペースの違いに関するQ&A
シェアオフィスとコワーキングスペースの違いは何ですか?

シェアオフィスは個室や区切られたスペースが中心で各利用者のエリアが明確に分かれています。一方、コワーキングスペースはオープンなワークスペースでフリーアドレス制が大半です。

また、コワーキングスペースが利用者間の交流やコラボレーションを重視しているのに対し、シェアオフィスは各利用者の独立した業務環境の提供に重点を置いています。

シェアオフィスとコワーキングスペースのどちらかを選ぶ際のポイントは何ですか?

業務の性質と企業文化、導入の目的などが選択のポイントです。プライバシーや集中できる環境を重視する場合はシェアオフィスが適しており、他社との交流やネットワーキングを重視する場合はコワーキングスペースが適しています。また、必要な設備やサービス・予算・立地条件・契約の柔軟性、企業の成長段階や将来の拡張計画も考慮しましょう。複数の施設を実際に見学し、雰囲気や利用者の様子を確認することをおすすめします。

シェアオフィスとコワーキングスペースはベンチャー企業に適していますか?

両者ともベンチャー企業に適しています。低コストで柔軟な契約が可能なため、初期投資を抑えつつ、事業の成長に応じて柔軟にスペースを調整できるのが利点です。

自社に最適なオフィス・ワークプレイス戦略はJLLへ

JLLでは、コワーキングスペースやシェアオフィスをはじめとするさまざまなオフィスタイプについて、豊富な知見と実績に基づき、最適なワークプレイス戦略策定をサポートします。

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