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2024年上半期の大阪圏不動産投資額は過去最高を更新 - 活況に沸く大阪不動産投資市場

2023年に公開した2つの記事で、大阪のインバウンドおよび関連ビジネスの回復スピードに投資家が乗り遅れていることを指摘した。しかし、投資家は巻き返しを図り、2024年上半期における大阪圏の不動産投資額は2008年のデータ観測開始以来の最高額を更新。2023年通年に迫る5,500億円に達している。

2024年 10月 10日
活況を呈する大阪圏の不動産投資市場

2023年の大阪圏の不動産投資額は、2023年における日本全体の不動産投資額は対前年比4%増となり、4年ぶりに底を打った。けん引したのが大阪圏だ。東京23区に至っては対前年比7%減となったが、大阪圏は34%増を記録したのである。

2024年に入ると大阪圏の勢いはさらに加速。2024年上期(第1-2四半期)における大阪圏の不動産投資額は5,500億円に及び、半年間で2023年上期の2倍(100%増)、つまり2023年通年とほぼ同額にまで積み上がった。2024年上期の大阪圏の不動産投資額としては2008年のデータ観測開始以来の最高額を更新している。

大阪圏における不動産投資額の推移 出所:JLL日本

大阪に常駐する筆者の実感は、コロナ禍がほぼ終息して不動産市況を含む全般的な景況感の改善が顕著ななか、投資家の行動の鈍さを感じていたのも束の間、一気に投資家が巻き返しを図ったものと受け取っている。足もとでも様々な物件への投資が検討される状況が続いており、大阪圏の不動産投資市場は活況を呈していると言えよう。

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国内投資家、海外投資家いずれもスタンスを大きく変えることなく大阪圏で積極的に不動産投資を行っている

誰が…幅広い属性のプレーヤーが大阪へ目を向ける
 

アフターコロナを見据えた動きが顕在化し、それに伴い景気回復が鮮明となった直近3年間の傾向をみると、 “誰が”については、国内投資家、海外投資家いずれもスタンスを大きく変えることなく大阪圏で積極的に不動産投資を行っている

投資主体は多岐にわたる。J-REIT、ファンド、デベロッパー・ゼネコン等の不動産に関わる事業会社、さらに一般事業会社といった幅広い属性のプレーヤーが不動産投資を行っている。

足もとのトレンドは次のように分析した。

日本が世界で唯一といえるほど堅調な不動産投資市場として世界的に注目を浴びながらも、世界的に進展する金利上昇などの影響によって、海外投資家が売り手に回るケースが目立っていたが、投資機会が希少な優良物件の大型取引となると海外投資家による取得が散見される。大阪圏の投資額における海外投資家の比率はやや低下基調にあるものの、直近3年間で東京23区が8%まで低下しているのに対して、依然として19%と高い水準を保っている。

何を…大躍進するホテル投資
 

一方、“何を”についてはホテル投資の大躍進が挙げられる。2022-2024年の大阪圏の投資額におけるホテルセクターへの投資比率は2022年が13%、2023年が28%、2024年が46%と右肩上がりに上昇し、3年間の累計でもホテルの比率が全セクターの中で最も高い30%となっている。

中長期的な視点に立てば、コロナ禍が一過性の要因に過ぎず、国際競争力を誇る日本屈指の観光地である京都を含めた豊富な観光資源のある関西本来の評価が再び見直され、ホテル投資への安心感と期待が高まり、取引額の大幅な増加につながっていくと考えられる。

そして、これまで遠い未来のイベントのような印象だった大阪・関西万博の開催まで1年を切り、ポジティブな機運が醸成され始めたことも大阪圏固有の好材料としてホテル投資を後押ししているのだろう。

大阪圏の不動産投資額における用途別割合 出所:JLL日本

ホテルに続くのはオフィスと物流施設

ホテルに続くのがオフィス、物流施設である。オフィスについては、海外投資家が長年保有していた優良なオフィスビルを売却する動きが散見し、活発な取引が相次いでみられた。こうした動きは足もとでも継続中である。

物流施設については首都圏では賃貸市場の需給緩和がみられるものの、大阪圏の賃貸市場は安定しており、投資家の積極的な動きが目立つ。とりわけ、建築費の高騰などで新築物件への懸念が広がるなか、竣工済の物件に対する人気は高く、強含みな価格で取引されるケースが目立つ。

オフィス市場の再浮上も

画像提供:PIXTA

オフィスビルの大量供給期におけるオフィス賃貸市場の悪化が、多くの投資家に慎重さを促す要因になっていたが、新築ビルのリースアップも順調に進んでおり、オフィス賃貸市場への影響も軽微にとどまる可能性も出てきた

当面、大阪圏の不動産投資にネガティブ材料は出難い。唯一の懸念材料であったオフィスビルの大量供給期におけるオフィス賃貸市場の悪化が、多くの投資家に慎重さを促す要因になっていた。

しかし、新築ビルのリースアップも順調に進んでおり、オフィス賃貸市場への影響も軽微にとどまる可能性も出てきた。

こうした流れが続くならば、梅田を中心としたオフィスエリアの評価は一段と高まり、大阪オフィス市場の上限賃料が高額で安定し、大阪全体のオフィス賃料を押し上げる可能性もある。こうなった場合、次の注目セクターとしてオフィス投資が脚光を浴びることになるだろう。

【執筆者:JLL日本 関西支社 リサーチディレクター 山口 武】

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※大阪圏:「大阪府、京都府、兵庫県、奈良県」

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