解説

コンプライアンス・プロセスを始動させるための7つの質問

今日の事業環境はますます多面性を増している。新しい事業モデルや構造が絶え間なく現れ、発展し続ける社会の意見や価値観に遅れないよう、法律も常に変化している。この結果、コンプライアンス要件は複雑性を増している。

2017.01.01
Colleagues in office conference room in meeting

なぜコンプライアンスに注意しなければならないのか。しっかりとした包括的なコンプライアンス・プログラムは、企業の評判が損なわれたり、ボトムラインへの悪影響が生ずることを防止する。コンプライアンス違反行為を行えば、その両方について組織に大きな問題が生ずる。

ドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンの例を見てみよう。2015年9月、同社は意図的に米国のディーゼル車排ガス規制に違反したことを認め、顧客や規制当局に153億米ドルを支払った。マスコミにたたかれて評判が悪化しただけではなく、153億米ドルという決して小さくない金額はより生産的な用途に充て、あらゆる投資が非常に重要な意味を持つ競争の激しい環境で違いをもたらすことができたはずである。

コンプライアンスの舵取りは必須の条件だ。企業には厳格な基準を満たすべくコンプライアンス専門組織に相談することを推奨するが、以下にコンプライアンスの行程を開始するにあたってまず考慮すべき7つの質問を示す。

1.コンプライアンス要件の範囲は十分に理解され、定期的に検証されているか。

コンプライアンスのパートナー選択において考慮するべき重要な側面に、コンプライアンスの枠組みを構成する4つの要素について要件を明確かつ正確に理解していることの確保が挙げられる。以下の4つの分野である。

法令遵守。これには、組織の活動を国際的、地域的、国内的及び地方レベルで統制する法令や規制が含まれる。

業務及び財務のコンプライアンス。購買、財務報告、データ・ガバナンス、安全性、人事等、幅広い分野についての組織のリスクを最小化し、軽減することを目的とした方針や手続きで構成される。

契約遵守。多くの異なる様式がある。そのほとんどはマスターサービス契約、組合との労働契約か価格契約であり、通常こうした契約は長文で、複雑な法律用語を含んでいる。

倫理分野には、組織の従業員、クライアント、株主、ステークホルダー、そしてより広範なコミュニティに対する責任が含まれる。倫理に関するガイドラインは、適正な事業行為、正しい意思決定の促進と、組織全体における誠実性の奨励について、正しい基調を定める。

優れたパートナーは、知識だけではなく、情報を解釈し、理解と適用を向上させるため定期的な研修やワークショップでこれを伝えるために必要なリソースやインフラを備えている。

JLLアジア太平洋地域 コーポレート・ソリューションズ 最高経営責任者 キャメロン・スコットは「従業員は倫理規範を読んで理解することができるが、当社の経験からするとワークショップの開催はこうした知識を実際に適用する方法の理解に大きな違いをもたらす」と語る。

また、コンプライアンス環境の変化、とりわけ法令についての変化について、定期的な検証を行うことも不可欠だ。パートナー組織は変更の細部まで理解しているべきだが、自社も同様の理解を得ていることが重要となる。これは、コンプライアンス違反の防止に必要なステップである。

2.コンプライアンスの4つの主要分野について、全社と業務レベルの両方に専門家が配置されているか。

これは、コンプライアンス・プログラムが縦割り組織を超えて関係する全業務担当者に浸透していることを確保するため、コンプライアンス専門家を組織内に配置する必要性を指摘する質問だ。こうした専門家は、作業の完了を確保しつつ、複数の部署と協働でコンプライアンス・プログラムのあらゆる適切な要素に確実に対処させる権限を有する。

組織内におけるガバナンスの役割と関係の特定も不可欠だ。有力な組織は連絡体制が確立され、明確に定義されたガバナンス制度を有することが確認されている。例えば、企業は組織全体の倫理を統括する職業基準担当グループを設置し、こうした基準を業務レベルで制度化するため、管理職研修を実施することが考えられる。これは、製薬や金融サービス等、独自の法律及び倫理上の課題を抱えるセクターでは特に重要となる。

3.コンプライアンス研修要件は満たされており、研修はクライアントのニーズに応える内容となっているか。

従業員がコンプライアンス要件についての理解を共有していることは、非常に重要だ。また、コンプライアンス・パートナーがコンプライアンス・プログラムの継続的研修に一貫して投資していることと、自社の従業員の認定状況、とりわけ職業免許や資格が必要な地位についてこれを記録していることを確認するべきである。

多くの場合、コンプライアンス・パートナー組織との契約に、必要な研修の頻度と目的が定められるべきだ。効果的な研修プログラムの例としては、規制の発展状況監視、営業拠点に対する日常的なガイダンスとコンプライアンス・サポートの提供、あるいは定期的な機能分野別の全社的カンファレンス/ラウンドテーブル会議が挙げられる。

4.パートナー組織は、機能的コンプライアンス計画及び報告制度を制定しているか。

効果的なコンプライアンス・プログラムには、徹底的な計画と報告制度が必要である。

効果的なコンプライアンス・プログラムには、徹底的な計画と報告制度が必要である。こうした制度を確保する方法としては、各機能分野に適用される全社的コンプライアンス要件を特定して計画を作成する、機能分野別の運営委員会設置が考えられる。コンプライアンス・パートナーは、こうした委員会の設置と運営の経験を有しなければならない。委員会は、コンプライアンス上のニーズを特定し、プロセスや手続きを策定し、進捗状況を管理してマイルストーンの報告を行う責任を負うべきである。定期的な報告により、あらゆる重大なコンプライアンス関連の問題に速やかに対処し、迅速な対策を講ずることが可能となる。

5.コンプライアンス組織は、継続的な改善を促すべくパフォーマンス計測と報告を行っているか。

事業環境は常に変化しているため、新しいリスクが出現する。従って、コンプライアンス・プログラムの指標の計測や定期的評価が非常に重要となる。コンプライアンス・パートナー候補と性急に契約を締結する前に、まず相手のコンプライアンス・プログラムが管理されていることを確保しなければならない。確認するべき主な基準は以下の通りだ。

コンプライアンスのパフォーマンス向上を促す適切な指標が特定されているか。

目標は現実的で達成可能か。

パフォーマンス向上を支えるため、どの程度定期的な計測・報告が行われているか。

コンプライアンス問題に関するデータは定期的に収集されているか。その場合、重要な課題や是正計画は定期的に組織全体に伝えられているか。

6.サービス業者は、コンプライアンスのモニタリングと監査のプロセスを有するか。

パートナーは、コンプライアンスについて評価するため活動の監視と監査を行い、コンプライアンスを確保し違反に対処するための是正措置を定めてフォローアップのサポートを提供しなければならない。この精査とリスク管理が下請け業者や外部のベンダーも対象に含める場合は、複雑性が増す。このようなプロセスは、あらゆる潜在的ベンダーについての厳格なスクリーニングや、コンプライアンスを執行する妥協のないプログラム、違反行為を特定し是正措置を定めるための継続的な監視と監査が含まれるべきである。

7.パートナー候補は、どのようにして組織内における方針やその他の要件の執行の一貫性を確保しているか。

コンプライアンスとは積極的かつ継続的なプロセスであり、これについて組織の全員が責任を負う。

コンプライアンス組織候補者が、社内に力強い基盤を備えていることを確認する。理想的には、全従業員が読んで確認し、リーダーシップによる誓約に支えられた行為規範、方針及び手続きを持っているべきだ。これらに加えて、研修で強化される全組織的な意識向上プログラムも必要である。

パートナーは、重要分野におけるコンプライアンスの成功について適切なインセンティブだけではなく、違反行為やその防止失敗に対する懲戒処分も定めていることを証明するべきである。コンプライアンスとは積極的かつ継続的なプロセスであり、これについて組織の全員が責任を負うことが明らかでなければならない。

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