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在宅勤務のメリットとデメリット、新しい時代のワークスタイルはどこまで定着した?

コロナ禍以降、在宅勤務が拡大し、日本の労働環境は一変した。在宅勤務の有効性については、今日までさまざまな議論がなされている。コロナ禍から2年半が経過するなか、一般的な在宅勤務のメリットとデメリットをまとめた。

2022年 07月 03日
在宅勤務のメリット

コロナ感染症の拡大を防ぐ目的で、多くの企業が自宅で仕事をする「在宅勤務」制度を採用した。当初はコロナ禍が収束するまでの緊急措置とみられていたが、在宅勤務ならではのメリットを多くの就業者が実体験したことで、アフターコロナに向けた新たな働き方として在宅勤務の存在感は高まるばかりだ。在宅勤務の主なメリットは以下の3つとなる。

1. 社員の定着率の向上
在宅勤務を導入すると従業員の定着率の向上に寄与するようだ。特にZ世代と呼ばれる若い就業者はワークライフバランスを重視する傾向が強い。彼らは粉骨砕身して高額給与を得るよりも、公私のバランスを取って暮らしたいという考え方が根強いとされる。彼らが就職・転職先を探す際に「在宅勤務の可否」を重視する傾向もみられつつある。

ワークライフバランスやSDGsの意識が高い企業であるかどうか、在宅勤務の導入は1つの指針になるだろう。従業員は個々の事情を加味して柔軟な働き方を選択でき、企業へのエンゲージメントが向上する。ひいては社員の定着率の向上にも寄与すると考えられる。

2. 通勤・賃料コストの削減

在宅勤務のメリットの1つに通勤コストの削減がある。コロナ以前の「全員出社」と比較すると交通費を削減できる他、通勤時間の削減、満員電車によるストレス緩和も期待できる。また、在宅勤務を導入することで、これまで賃借していたオフィスに余剰スペースが生じる。余った床面積を調整することができ、賃料コストを削減することができる。この 削減分のコストはITやベースアップなどの再投資に活用する他、好立地かつハイスペックなオフィスへの移転費用に転嫁するなど、再投資の機会 にもなる。

3. 遠方の人材も活用できる

完全な在宅勤務(フルリモートワーク)であれば、通勤が不要になり、地方都市や海外など、遠方の人材も採用することができる。職種にもよるが、事務系、IT系、Web系などでは出勤が全く不要な業務も含まれており、実際にコロナ以前から地方都市の優秀な人材を採用するために在宅勤務制度を拡充したベンチャー企業も存在する。

 

 

在宅勤務のデメリット

一方、在宅勤務はメリットばかりではない。デメリットも存在する。主な4つのデメリットを紹介する。

1. 仕事のオンとオフの切り替えが難しい

コロナ禍によって在宅勤務が拡大したが、オンとオフの切り替えが難しく、さらにメール主体の連絡手段が主体となるため、業務時間外に上司から連絡が来るなど、業務の長時間化が問題になった。

2. セキュリティリスクの増大

在宅勤務の場合は、オフィスだけで仕事をしているよりも情報セキュリティ上のリスクが高まる傾向にある。オフィス勤務のみの場合、オフィス内のネットワークをファイアーウォールによって強固なセキュリティ性を確保できる。ファイアーウォールとは悪意のあるハッカーからの通信をシャットアウトし、社内に入れないようなシステムである。

しかし、社内ネットワークやクラウドサービスなどにアクセスするまでには必ずインターネットを介す在宅勤務では、高度なセキュリティシステムを確立しておかなければハッキングによるパスワードの傍受や成りすましなどの危険がある。在宅勤務を導入する際にはセキュリティ体制を見直す必要がある。

3. コミュニケーションが取りにくい

JLLが2021年7月に発表したオフィスワーカーへの調査レポートによると「在宅勤務で何らかの心理的負担を負っている」と回答したのは日本では38%、グローバルで49%となり、在宅勤務では生産性が低下していることが読み取れる結果となった。

このように、在宅勤務はオフィスと比べて気軽なコミュニケーションが取りづらい。相手の顔がみえるオフィスでは、ささいな用事や質問など、気軽に声がかけやすい。しかし、在宅勤務の場合、相手の状況がみえないメールや電話で気軽にコミュニケーションを取るのは難しい。チャットやオンライン会議システムを導入していても、心理的負担は大きいのだ。さらに、偶発的な会話や雑談から新規事業のアイデアなどのイノベーションが生まれにくいのも大きなデメリットとなる。

4. 勤怠管理が難しい

在宅勤務の場合は勤怠管理も難しくなる。部下から勤務開始の報告が上がってきても、上司が勤務実態を把握するのは難しい。その半面、超過勤務にも目を光らせる必要がある。社員が終業報告を上げてからそのまま仕事を続けていても管理職は把握しにくい。これらの勤怠管理の難しさに対応するには、在宅勤務に対応できる勤怠管理システムなどを導入する企業も少なくない。

オフィスに回帰する企業も増えている

 

在宅勤務の割合は2020年5月の29%がピークで、それ以降は増減を繰り返しながらゆるやかに減少し、2022年4月には17.2%まで低下

コロナ禍も2年半が過ぎ「いつマスクを外すか」といった議論も活発になってきている。在宅勤務は果たしてこの2年半で定着したのだろうか。

公益財団法人日本生産性本部が2022年4月に発表した「第9回働く⼈の意識に関する調査」によると、在宅勤務の割合は2020年5月の29%がピークで、それ以降は増減を繰り返しながらゆるやかに減少し、2022年4月には17.2%まで低下している。

自動車大手のホンダが全従業員を対象に原則的に週5日出社に戻すなど、コロナ禍が落ち着くにしたがって、オフィス主体の働き方に回帰する企業も現れ始めた。しかしながら、在宅勤務は従業員にとってメリットが高いのも事実である。柔軟にオフィスと在宅勤務を組み合わせられるハイブリッドワークがアフターコロナに向けた新たな働き方の主流になるのではないだろうか。

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