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ワークライフインテグレーションとは?ワークライフバランスとの違い、注意点

多くの企業が従業員と経営層双方に負担のかからない新たな働き方を模索している。そうしたなか、注目されているのが「ワークライフインテグレーション」という考え方だ。本稿ではワークライフインテグレーションの特徴、導入メリットなどについて解説する。

2022年 07月 26日
ワークライフインテグレーションとは?

ワークライフインテグレーションという言葉は比較的新しく、まだ馴染みがない企業も多いのではないだろうか。

時短勤務の一環としてフレックスタイム制などが導入されてきたが、ワークライフインテグレーションを導入している企業はまだ数えるほどだ。ワークライフインテグレーションとは仕事とプライベートの両方を相乗効果により充実させるという概念である。したがって、両者を完全に切り離して考えるのではなく、プライベートの中でも仕事のことを考えたり、新規アイデアを着想するきっかけになりえるのが特徴といえる。

プライベートと仕事を完全に切り離した場合、プライベートで新たな発見があっても仕事に結び付けるのが難しい。しかし、ワークライフインテグレーションを意識すればプライベートでも仕事を意識して行動する。逆もまた然り。そして結果的に日常生活の充実感をより強く感じることができ、生産性や作業効率を高めることにつながる。

ワークライフバランスの特徴と両者の違い

昨今の働き方改革の文脈から耳にする機会が増えた「ワークライフバランス」という言葉。ワークライフインテグレーションとは似て非なるものである。ワークライフインテグレーションとワークライフバランス、それぞれの具体的な内容や特徴について説明する。

ワークライフインテグレーションは、プライベートの中でも仕事に対するアンテナを張って総合的に生産性を高める方法であり、それぞれの事柄に優先順位を付けるのではなく、すべてを網羅することにより相乗効果が期待できる

ワークライフバランスとは?

ワークライフバランスとは、働き方改革が注目された際にクローズアップされたものであり、具体的には、仕事とプライベートに一線を区切り、日常生活のバランスを保つという概念だ。仕事とプライベートを完全に切り離すことにより、仕事以外の時間を充実させ、豊かな生活を送ることが最も明確な目標とされている。

例えば、仕事に追われていると家事や育児など、プライベート時間との両立が難しくなる。幼い子供を持つ親がフルタイムで働く場合、保育園への送迎時間、帰宅後の夕食の支度や掃除、洗濯など家事に追われることが多い。一方、ワークライフバランスを重視する企業では、時短勤務や育児休暇の取得、テレワークを認めていることが多い。業務負担が少なくなり、充実した日常生活を送ることができるとして、多くの子育て世代のワーカーから支持されている。つまり、ワークライフバランスを重視することで「自分の時間」の十分な確保でき、仕事への意欲、モチベーションを高め、質の高い作業を行うきっかけとなる。

ワークライフインテグレーションとワークライフバランスの違い

端的にいえば、仕事とプライベートを切り離して考えるのがワークライフバランスであり、切り離さないで考えるのがワークライフインテグレーションだ。

ワークライフインテグレーションは、プライベートの中でも仕事に対するアンテナを張って総合的に生産性を高める方法であり、それぞれの事柄に優先順位を付けるのではなく、すべてを網羅することにより相乗効果が期待できる。
 

ワークライフインテグレーションの5つのメリット

ワークライフインテグレーションを重視すると、従業員が自分で自由に働き方を選択でき、プライベート時間の確保を行えるため、日常生活の満足度、充実感が高まる

ワークライフインテグレーションを導入する際、5つのメリットが考えられる。具体的な効果を詳しく説明していく。

  1. 従業員の負担・ストレスの軽減

  2. 新たなフィールドの人材を発掘できる可能性

  3. 環境改善により生産性・作業効率が向上する

  4. 会社の社会的評価が高まる

  5. 離職率が低くなる


1. 従業員の負担・ストレスの軽減

従来の働き方であれば、勤務時間や働く場所が固定され、従業員がプライベートを犠牲にしなければならない場面があった。しかし、ワークライフインテグレーションを重視すると、従業員が自分で自由に働き方を選択でき、プライベート時間の確保を行えるため、日常生活の満足度、充実感が高まる。

2. 新たなフィールドの人材を発掘できる可能性

決まった働き方しかできない会社と柔軟に働き方を選べる会社を比較した場合、多くの人材が後者を選択するのではないだろうか。家事や育児、介護など家庭の事情で従来の働き方では厳しく、今まで離職を余儀なくされた優秀な人材を雇用できる可能性が高まる。

3. 環境改善により生産性・作業効率が向上する

そもそもワークライフインテグレーションに取り組む際には、業務における無駄を解消する必要がある。柔軟に作業ができるよう適切なOA機器やITネットワークを用意する他、オフィスレイアウトを整備することなどが具体的な改善策となる。執務環境を少し改善しただけでも、従業員の意欲が向上し生産性、作業効率が高まる。

4. 会社の社会的評価が高まる

多種多様な働き方ができるという特徴を持っていることで会社の社会的評価は高まり、注目度も高まる。企業価値の向上により、ひいてはより良い人材確保を実現できる。

5. 離職率が低くなる

働き方が一通りしかないよりも、従業員一人一人が自由に働き方を選べた方が個人の生活やビジョン、自己実現に資する仕事の向き合い方ができるようになる。その結果、企業への帰属意識が強くなり、働くことへの満足感や仕事のやりがいが生まれ、離職率が低くなるだろう。

ワークライフインテグレーションの4つのデメリット

新たな取り組みを行う際には良い面だけではなく、悪い面も理解しておく必要がある。ワークライフインテグレーションのデメリットとして下記の4点が考えられる。

  1. 従業員に理解されにくい

  2. 従来の評価が適用できない

  3. 仕事とプライベートを補完し合うことが難しい

  4. すぐに効果が出ない、もしくは逆効果となる可能性がある

1. 従業員に理解されにくい

ワークライフインテグレーションに限らず、新しい取り組みを行う際には従業員の理解を得る必要がある。そもそもワークライフインテグレーション自体、ここ数年で知られるようになった概念であるため、導入する際には従来の働き方、考え方との違いや具体的な行動指針を示す必要がある。

2. 従来の評価が適用できない

日本では従前から労働時間の長さが評価されやすいケースが少なくなかった。しかし、ワークライフインテグレーションなどの新しいシステムを導入した場合、「長時間働く」という基本的な評価方針が覆されてしまうため、人材評価を改める必要がある。例えば、労働時間の長さで評価をするのではなく、契約数や成果物のクオリティ、仕事に取り組む姿勢など、従業員が納得する評価方法が必要不可欠となる。

3. 仕事とプライベートを補完し合うことが難しい

仕事とプライベートを高次元で連携させるワークライフインテグレーションを導入した当初は、従業員が戸惑うかもしれない。仕事とプライベートのバランスや優劣を付けるのが難しい。「両者を補完し合う」というワークライフインテグレーションの目的を、従業員に丁寧に説明・理解してもらう必要がある。

4. すぐに効果が出ない、もしくは逆効果となる可能性がある

どんなシステムであっても目に見える効果が出るのは時間がかかる。むしろ導入したての頃はトラブルも多く発生するかもしれない。スムーズな導入に繋げるためにも、具体的な必要要素や従業員との共有事項を再度考え直してみてほしい。

ワークライフインテグレーション導入時の注意点

ワークライフインテグレーションを導入するなら、どのような点に注意すればいいのだろうか。以下に注意すべきことをまとめてみた。

  1. 従業員に正しく認識させる

  2. システム導入時におけるOA機器やレイアウトの整備

  3. 従業員の意見をヒアリングする

1. 従業員に正しく認識させる

今までの働き方や仕事への考え方から、大きな変化を感じるのがワークライフインテグレーションだ。それゆえに従業員にシステムの概要や導入メリット、考え方、行動、個人の在り方など正しく認識してもらう必要がある。既にワークライフインテグレーションを導入している企業のセミナーや説明会に参加させるのも効果的だろう。

2. システム導入時におけるOA機器やレイアウトの整備

システム導入後スムーズに業務がはかどるように、必要なOA機器を揃えたり、オフィスレイアウトを整備する必要がある。適切なツール、環境が整っていないと社内環境が改善するどころか、社内が混乱するなど、マイナス効果となる可能性もある。

3. 従業員の意見をヒアリングする

経営層だけが盛り上がってワークライフインテグレーションに取り組んでいても会社として機能しない。経営層と従業員の考え方や認識の違いを埋めるためにも従業員一人一人の意見をしっかりと聞く必要がある。従業員目線ならではの気づきや新たな発見が、会社をよりよくするヒントになるかもしれない。

まとめ

ワークライフバランスが発展して生まれたワークライフインテグレーションだが、円滑なシステムとして稼働するためには適切な理解、準備が必要だ。実際に業務を遂行する従業員と向き合い、調整や改善を行いながら「働きやすい会社づくり」を目指していただきたい。

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