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CRE戦略が導き出すこれからの企業価値とは?

企業の重要な経営資源を効率的に管理・運用し、企業価値を向上させていくCRE戦略が今改めて必要とされている。CRE戦略を成功に導くには、企業が保有する土地や建物の経営資源を有効的に活用し、経営サイクルを回すだけでなく、資産管理コストや企業の環境に配慮した取り組みなどが求められる。この必要不可欠な要素を取り入れた企業価値の向上を後押しするこれからのCRE戦略について解説する。

2020年 09月 01日

改めて問われるCRE戦略の定義

CRE戦略が日本企業で本格的に取り入れられるようになったのは記憶に新しい。”CRE戦略「ジャパンウェイ」の現在地”では、コストが掛かっても生産性の向上や働きやすさを重視し、長期的な利益の向上に繋げていく「働き方改革」が追い風となりCRE戦略に取り組む企業が少なからず増加したことが述べられた。

CRE戦略は、平成19年3月に発表された国土交通省「企業不動産の合理的な所有・利用に関する研究会(企業不動産研究会)報告書では、「企業価値向上の観点から経営戦略的視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させていこうという考え方を示すもの」と定義されている。企業不動産に関するトレンドが変化する今、企業価値を向上させるCRE戦略の必要性が改めて問われているのだ。

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CRE戦略を導入することによるメリット

企業不動産の最適化によるコスト削減

CRE戦略導入のメリットの1つとしてコスト削減が挙げられる。企業不動産の管理費や共益費などのコストを根本的に見直すことで企業経営にもたらす影響は大きい。ファシリティマネジメントチームによる戦略総務や、昨今話題となっている不動産テクノロジーを有効活用することで、オフィススペースの最適化に繋がる。企業内部の現状を見直し、CRE戦略による最適化で得られる長期的な企業のメリットは大きいと考えられる。

ESG情報やCSR視点でのCRE戦略による社会的価値の創出

CRE戦略を最大限に活用することで企業の社会的なイメージを向上させることにも繋がる。 企業不動産の投資判断として重要視されているESG情報やCSR(企業の社会的責任)からの視点は、CRE戦略を実践する上で必要不可欠だ。企業が利益追求のためだけでなく、環境や社会、企業を取り巻くステークホルダーに対して課題解決などの働きかけを継続的に実践することの必要性が高くなってきているからだ。ESG情報やCSR視点でCRE戦略を実践していくことにより、企業の社会的価値が向上する。

遊休不動産の活用・再生による不動産投資の効率化

時代のトレンドと共に経営資源を最大限に有効活用することで、不動産投資の機会も増加する。昨今 遊休不動産の活用・再生により、収益化できない不動産を再生し、資産価値を高めていく経営戦略が日本企業のCRE戦略で重要視されており、これは不動産投資の効率性向上にも大きく寄与する。こうした経営資源である不動産の価値を有効活用、最適化することで収益最大化が実現できるのだ。

 

不動産投資を最大化させるESG観点のCRE戦略

ステークホルダーの「安全衛生」を最優先に

サステナビリティを向上させるためESG = 環境・社会・企業統治に配慮する企業に重視した投資が昨今のトレンドともいえる。例えば、オフィスビルの「安全衛生」が挙げられる。JLLが2020年6月に実施した「 新型コロナウイルスによるオフィスに求める要件に関する意識調査」ではオフィスビルの資産価値を維持するための「安心への投資」の重要性が明らかとなった。ステークホルダーの「安全衛生」を最優先事項に置いたオフィスビルを維持し、管理していくCRE戦略の実践は今後必須となるであろう。

社会的配慮における企業価値の最大化

ESGの「社会」にあたる観点でのCRE戦略は、CSR活動の内容や成果に結びつく。従業員やテナント、パートナー、地域コミュニティなど、企業を取り巻くステークホルダーに対して、社会的な責任があり、そのステークホルダーも巻き込んだ取り組みを継続的に展開することが必要となる。例えば、社内での女性管理職登用を促進する目標を掲げ、具体的な数値目標設定し、取り組むことで企業の社会的イメージの向上に繋がり社会的価値の創出を実現できる。

環境に配慮した省エネ対策で高める不動産価値

ESG観点での省エネ対策は長期的に持続可能な経営へ寄与するだけでなく、環境配慮への効果にも繋がる。ESG投資の機運が高まることでオフィスのグリーン化が注目されているのは、省エネ対策のために設備投資に対し長期的に費用対効果が得られるなど、コストを負担して省エネ対策を実行しても十分なメリットが見込めるからだ。
「環境配慮に欠いた不動産は今後取り残される」といわれるように不動産投資の評価でESG観点の重要性は今後ますます高くなるであろう。これらの要素を網羅するにはCRE戦略の実践でさらなる知見やノウハウが求められるのは顕著であろう。

企業を取り巻く環境が激しく変動する中、企業の経営資源を最大限有効に活用するには、CRE戦略の実践がこれから必須条件となることはいうまでもない。日々の変化と共に柔軟かつスピーディーに適応・進化し続けることが企業を成長させ、激動の時代を生き抜く鍵になるだろう。

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