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コワーキングによる新しい"場"の在り方

働く場の在り方やニーズが日々変化する中、ヒトは自分のペースで柔軟に働き、コミュニケーションが取りやすい場所を求めるようになった。現代の”働く場”を表すキーワードの1つとして挙げられる「コワーキング」から時代が求める新しい”場”の在り方を感じ取ることができる。今回は時代の象徴ともいえるコワーキングについて解説する。

2021年 01月 12日
ヒトを軸に考えるコワーキングとは?
 

開かれたオープンなスペースを他者と共有しながらも、偶発的なコミュニケーションを通して情報や知識、そして知見等を交換し、様々な刺激を受けながらモチベーションの向上やアイデアやイノベーションが創発にも繋がるコワーキングスペース。新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、最近では郊外や地方エリア、ヒトの生活に密接した意外な場所へもコワーキングスペースが設置されるようになり、コワーキングという考え方とイメージも時代に沿って大きく変化してきていることがうかがえる。

 

コワーキング普及の背景

コワーキングというコンセプトが日本で普及し始めたのは、働き方改革の実現に向け、個人の働き方に適応した環境へ改善する機運が高まったタイミングだ。少子高齢化による人口減少社会において、従業員の生産性向上が喫緊の課題となっていた中、個人のライフスタイルに合わせ、柔軟な働き方を実現できるコワーキングやフレキシブルスペースのニーズが高まったことが要因の1つとして挙げられる。JLLが2019年5月に発表した調査レポート「ビジネスパフォーマンスを高める日本の企業不動産(CRE)戦略とは」内の「2018年と2020年にフレキシブルスペースがポートフォリオに占める割合」で、日本企業は2018年に14%、2020年には24%に拡大すると予想されており、この頃からコワーキングスペースやフレキシブルスペースの増加に対する期待が高かったことがうかがえる。従来の固定席で決まった時間に始業するスタイルではなく、個人のペースや気分に合わせて自由に席を選び、自分起点で業務を行うことが可能なコワーキングスペース。新型コロナウイルス感染拡大で激変する働き方など、時代のニーズが移り変わっている今、コワーキングというコンセプトは働く場所を語る上で欠かせない要素となっているのだ。

 
 
時代の流れで変化する「場所」への価値観

コワーキングのコンセプトの起点は”ヒト”であり、このような考え方に共感する人は増えてきているのではないだろうか。本拠地となるオフィスと働く場の分散化を促すコワーキングスペース、そして在宅勤務を掛け合わせたハイブリッドな働き方を取り入れている企業が増えてきている中、「ヒトとの繋がり」という価値を改めて重要視し始めているからだ。テクノロジーの発達があったからこそ実現できるハイブリッドな働き方により効率性は高まったが、逆に孤独を感じている従業員も少なくない。時代の進化から生まれたニーズに適うコワーキングは、バーチャルコワーキングというオンライン上でヒトと交流する場など、形を変えて進化しているが、「リアルな場所」に代わるものはない。便利さ故にヒト本来の要素を忘れてしまわぬよう、本質的な働き方を念頭に進化していくことがこれからの課題でもある。

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コワーキングスペース活用のメリットとは?
リアルコミュニティの構築

コワーキングスペースで得られる出会いはリアルなコミュニティの構築へも繋がる。ヒトを起点にした考え方があるからこそコミュニティを重視したアクティビティを企画しているコワーキングスペースは多く、コロナ禍では感染防止拡大を踏まえ、オンラインコミュニティの実験にも取り組んでいるという。新型コロナウイルス感染拡大で変化した働き方により、リアルコミュニティの重要性が高まったからこそコワーキングスペース活用で得られるメリットと意義は大きくなってきている。

長期的な企業経営面からのコスト最適化

外部貸しの共有スペースの活用は長期的な面でコスト最適化に寄与するケースもいくつかある。ハイブリッドな働き方の実現を目的にコワーキングスペースを利用することで、必要な座席数の確保、内装造作工事や原状回復工事が不要になること、賃貸借契約のように契約期間の縛りが緩くなるなど、コスト負担を軽減するというメリットが魅力だ。企業の経営戦略によって従業員の働き方を最適化していくのかは様々だが、コワーキング活用によるメリットも認識しておきたい。

オフィスという「場」の価値は時代と共に進化しており、コワーキングもその進化から生み出された1つの形でもある。価値的な進歩となるために、従来の大切な部分を受け継ぎ、新しい考え方を合わせていくことが意義深く、ヒトの本質的な要素を最優先とすることで、内面的な観点からもバランスの取れた働き方が実現するのではないだろうか。これからのコワーキングスペースの進化にこれからも期待したい。


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