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フレキシブルオフィスが切り拓くワークプレイス改革

フレキシブルオフィスは、働き方というテーマに敏感なオフィスワーカーや企業経営を関わる人々にとって注目度の高いトピックだ。柔軟であるがゆえに、どのような意図や目的でフレキシブルオフィスを活用するかで効果も大きく変わってくる。

2021年 04月 20日
高まるフレキシブルオフィス需要の背景

柔軟に働くことができるワークプレイスは従前から海外でも注目されており、フレキシブルな空間がきっかけでヒトとの交流を生み孤独を解消してきたが、日本では少し後回しになってしまいがちな要素でもあった。

しかし、働き方改革関連法が施行され、クオリティ・オブ・ライフを意識した働き方へと考え方が変わったことで、今までの常識をアップデートせざるをえなくなった。このタイミングで注目され始めたフレキシブルオフィスにはコミュニティ重視型のコワーキングオフィス、サテライトオフィス、サービスオフィスが存在し、都心のオフィスエリアだけでなく駅構内や郊外エリア等、個人の多様な働き方を実現するために様々なタイプが設置されるようになった。目に見える効果だけを追うのではないワークプレイス改革を進めていた矢先に起きた新型コロナウイルス感染拡大は、その改革スピードをさらに加速させた。

JLLが実施した調査レポートでリモートワークを経験した世界オフィスワーカーの内、58%は「働く場」の価値を再認識し始めており、従業員ニーズ等を察知した企業経営層の76.4%が、オフィスは廃止せず、現状に何らかの新しいサポートが必要だと考えているようだ。そのサポート内容は、レイアウト・改修等の既存オフィスの見直しが全体の46.8%、サテライトオフィス(自社・外部子ワーキングスペース)の設置が43.6%となっており、企業経営層のフレキシブルオフィスへの関心が高いことが顕著に現れている。

フレキシブルオフィスがもたらす企業や働き方への効果とは?

柔軟で長期的なリスクを避けることのできるフレキシブルオフィスのスタイルは今の時代の象徴

フレキシブルオフィスは具体的にどのような変化や効果、さらには利益をもたらすのだろうか?

まず最初に、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)のような考え方と柔軟なオフィスデザインによる多様な働き方の実現が挙げられる。時間や場所に縛られない、従業員個々のワークライフを尊重した働き方であり、ダイバーシティな環境が当たり前となるこれからの時代に必須とされるポイントだ。次に、コミュニケーションによるヒトとの繋がりだ。フレキシブルオフィスはきっちりと決められたオフィスレイアウトとは異なり、気軽に話せるコラボレーションスペースや、他者との偶発的な雑談が生まれるようなオープンな空間に作られているタイプが多い。そのような場で生まれる自然な会話や交流で精神的にも満たされ、モチベーション向上にも繋がってくるだろう。企業経営者側の効果としては、賃貸契約の短期間利用と初期投資費用の削減だ。定期借家契約が一般的になりつつあるオフィスに対し、フレキシブルオフィスは短期間での利用が可能で、オフィス家具やITインフラ設置にかかる初期導入費用を削減することできる。柔軟で長期的なリスクを避けることのできるフレキシブルオフィスのスタイルは今の時代の象徴ともいえるだろう。

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多様な働き方を実現するフレキシブルオフィスの種類

フレキシブルオフィスには理想の働き方を実現させるためのデザインやレイアウト、戦略が多種多様に組み込まれている

オープンスペースでリアルコミュニティを構築しやすいコワーキングスペース

従来の働き方の真逆の考えともいえる、他者と空間を共有し合い働くオープンなコワーキングスペースは、ヒトとの繋がりを重視する現代だからこそ求められている。企業の特徴によってコワーキングスペースの導入タイプは多様で、本社オフィス内へ設置することで従業員同士のコミュニケーションやイノベーションを触発させるきっかけを作るケース等が存在する。ヒトを軸に考えるコワーキングは、コミュニケーションを創発したい企業に最適ともいえるスタイルだ。

第二のオフィスとなるサテライトオフィス

サテライトオフィスは、本社オフィス以外の遠隔エリアに設置されるケースがよくみられ、郊外や地方に住む潜在的な人材発掘に繋がるだけでなく、地方創生という広範囲な効果をもたらすため国からのサポートも存在する。また、本社オフィスとは別のロケーションのサテライトオフィスを設けることで営業での出先のついでに立ち寄り、業務を行うことによる効率化に繋げるケース等様々だ。場所や時間にとらわれない働き方が理想とされつつある今、その理想を実現できるのはサテライトオフィスのような働く場だと考えられる。

フレキシブルオフィスの中には、コワーキングスペースやサテライトオフィス、シェアオフィス等、多様な課題を解決へと導く様々なオフィススタイルがあり、そこには理想の働き方を実現させるためのデザインやレイアウト、戦略が多種多様に組み込まれている。

コミュニティを重視したフレキシブルオフィスの成功事例

コワーキングスペースは、コミュニケーションや予期せぬヒトとの出会いを得られることができるため、個人事業主やスタートアップも多く利用している。コロナを経てさらに重要性が高まったリアルコミュニティの構築は、コワーキングスペースの強みの1つでもあり、そこに魅力を感じて入居を決める経営者や企業も多いスタートアップが望むオフィスを具現化しているコワーキングスペースの事例では、パンデミックを体感し再認識した、人材が集う「リアルの場」の重要性を具現化するため、質の高いコミュニティ構築に力を注いでいるという。そのような戦略は今後の企業にとっても肝心なワークプレイス改革の要素となるであろう。

フレキシブルオフィスはこれからの働き方を再考する上で、将来的な効果を生み出し、ワークプレイス改革をさらに前へ押し進める手段の1つとなるだろう。多様性、柔軟性が今後のワークライフには欠かせないからこそ、働く場も順応し、アップデートさせていくことが要となる。

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