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セットアップオフィスを借りるメリット・デメリットとは?特徴と押さえておくべきポイント

新しい時代のニーズに応えるオフィス形態として注目の集まる「セットアップオフィス」の意味や特徴、メリットとデメリットをそれぞれ解説。企業にとって気になる原状回復範囲や選定のポイント、成功事例などを紹介する。

2023年 03月 24日
注目されるセットアップオフィス市場

ハイブリッドワークが定着しつつあり、オフィスの広さより質を重視する企業が増加している

現在セットアップオフィスに注目が集まっている背景や、オフィス市場の動きはどのようなものだろうか。

拡大するセットアップオフィス市場

コロナ禍を経て企業のオフィス戦略は大きく転換し、より省コストでフレキシブルなオフィス形態へのニーズが高まってきた。

その潮流の中で注目が集まる「セットアップオフィス」には、現在数多くのデベロッパーが参入。首都圏や大都市圏を中心に、中小ビルのみならず大規模ビルの区分フロアをセットアップオフィス化する事例も見られ、市場は拡大中だ。

「質」が重要視されるオフィス選び

かつてのオフィスは全従業員が出社することを前提に、単一フロアに執務機能を集約させるために広大なオフィススペースが求められていたが、現在ではリモートワークとオフィス出社を組み合わせたハイブリッドワークが定着しつつあり、オフィスの広さより質を重視する企業が増加している。

企業が人材確保や長期雇用に有効なオフィスを選定する3つの基準は以下のとおりだ。

1. 採用に有利な駅近などの立地条件
2. 企業のブランディングに寄与するビルグレード
3. 社員のエンゲージメントを高められる、築浅で充実した屋内設備やしつらえ

働き方やオフィスのありかたが多様化し選択肢が増えることで、自社にとって最適な移転先を見極める難易度は上がっており、移転先の情報収集・分析がこれまで以上に不可欠となる。

次のオフィスの選択肢を考える
 

セットアップオフィスの特徴

セットアップオフィスの定義や特徴などについて確認しておこう。

セットアップオフィスの定義

セットアップオフィスとは、貸主側が受付や会議室の造作などのオフィス内の間取り工事を行い、内装付きオフィスとして貸し出す形態をいう。

通常の賃貸オフィスとは異なり、レイアウトや内装等に係る工事費用と時間が削減できることから、短期間でのオフィス移転や、担当者の業務負担の軽減・効率化を求める企業からの需要が高まっている。

なお「シェアオフィス」、「サービスオフィス」も、デザインやレイアウトが施されたオフィスを借りるという点では共通しているが、これらはテナントとして貸貸借契約を結ぶのではなく、そのスペースを使用できるというサービス契約にとどまるのがセットアップオフィスとの違いである。

セットアップオフィスと居抜きオフィスとの違い

「居抜きオフィス」も、セットアップオフィスと混同されやすい形態のひとつである。

居抜きオフィスでは、前入居者の設置したパーテーションや会議室などの設備・内装・造作物を撤去(原状回復)せず、次の入居者がそのまま使用する。

一方、セットアップオフィスの内装工事や什器の購入は貸主が行い、費用も貸主が負担するところが居抜きオフィスとの違いである。
 

【オーナー側】セットアップオフィスのメリット・デメリット

セットアップオフィスはビルオーナーや貸主にとってどのようなメリット・デメリットがあるのだろうか。

【オーナー側】セットアップオフィスのメリット

必要な設備があらかじめ用意されたセットアップオフィスは、急ぎの移転やオフィス整備の手間を削減したい企業にとって通常のオフィスよりも付加価値が高いため、一般的なオフィスよりも高い賃料を設定できることが多い。

また同様の立地・ビルグレードであっても、セットアップオフィスは周囲のオフィスと比べて差別化を図れるのもメリットだ。

【オーナー側】セットアップオフィスのデメリット

貸主・オーナー側のデメリットとしては、セットアップオフィスの設備投資は貸主が行うため初期費用が多くかかることが挙げられる。

また、一般的なオフィスと比較して原状回復の範囲が分かりづらいため退去の際にトラブルになるリスクも考えられる。

セットアップオフィスの優位性をうまく訴求できないと、単に賃料の高い物件と捉えられて競争力が失われる可能性があるのもデメリットといえるだろう。
 

【テナント側】セットアップオフィスのメリット・デメリット

レイアウトや内装デザイン・内装工事が不要または最小限で済み、移転に費やす時間と担当部署の負担が減る

セットアップオフィスをテナント側として利用するときのメリット・デメリットについても整理しておこう。

【テナント側】セットアップオフィスのメリット

通常のオフィス移転で必要となるレイアウトや内装デザイン・内装工事が不要または最小限で済み、移転に費やす時間と担当部署の負担が減るのはセットアップオフィスの明らかなメリットである。

セットアップオフィスではグレードの高い内装やインテリアをしつらえていることも多く、そのようなオフィスを選択すれば従業員のモチベーション向上にも寄与するだろう。

【テナント側】セットアップオフィスのデメリット

一方でセットアップオフィスのデメリットとしては、既にレイアウトが決まっているため自由度が少ないことや、もし変更したい場合はテナント負担で工事を行い、原状回復の費用もかかるという点だ。

また内装工事や什器備品の費用は賃料に転嫁されているため、周辺相場よりも賃料設定が高いのもセットアップオフィスのデメリットといえる。
 

セットアップオフィスにおける原状回復義務 

近年はオフィスを取り巻く環境が大きく変化し、移転や再構築のスパンも短くなりがちだ。セットアップオフィスに入居後、数年でふたたび移転することも当然考えられる。その際の原状回復の範囲や費用が気になる担当者もいるだろう。

セットアップオフィスにも一般のオフィス同様に原状回復義務があるが、通常は全額テナントが負担する内装造作を貸主が行っているため、原状回復の範囲は一般オフィスと比較して少ない傾向である。

借主が独自に行ったレイアウト変更や造作に関しては借主負担になるが、それ以外に関しては時間・費用ともに抑えられるケースが多いだろう。

セットアップオフィスに向いている企業

メリット・デメリットともにあるセットアップオフィスだが、自社に向いているのかどうか、判断に迷うこともあるのではないだろうか。

セットアップオフィスが向いているのは以下のような企業と考えられる。
 

  • オフィス移転の初期コストを押さえたい企業
  • スタートアップやベンチャーなどのスピード感を重視する企業
  • 短期間で再度移転が決まっている/可能性が高い企業

移転にかかる初期コストや時間の節約、内装造作や原状回復工事における身軽さを求める企業ほど、セットアップオフィスに向いているといえる。

セットアップオフィスを選ぶ上で気をつけたい5つのポイント

移転先としてセットアップオフィスを選択しようと考えている企業が気をつけておきたいポイントを5つ挙げた。

  1. 機能性…オープンスペースエリアと個室エリアの配置、執務室、ミーティングルーム、休憩エリアなどは自社にとって使いやすいか
  2. レイアウト…従業員数や事業内容などに見合った広さとレイアウトか、動線は業務にふさわしいか
  3. セキュリティ…必要な時にプライバシーの確保ができるか、隣接するオフィスとの遮音、出入り口の状態などは安全か
  4. 立地条件…企業のブランドイメージや従業員の反応に鑑みて、自社の戦略に沿った立地かどうか
  5. 他のオフィス形態との比較…セットアップオフィスと、一般的な賃貸オフィス・シェアオフィス・居抜きオフィスではどれがもっとも自社にふさわしいか

自社のオフィス戦略をもとに各項目を検討し多角的な視点で選定したい。
 

オフィス移転を成功させる
 

セットアップオフィスの成功事例

あるサービス会社では短期間で移転先を決める必要に迫られていたが、以下のような点を条件として優先順位をつけて絞り込んだ結果、希望のスケジュールでセットアップオフィスを移転先に選定。希望通りのスケジュールで移転を成功させた。
 

●満足のいく立地条件
●初期投資が抑えられて、入居時のコスト削減ができる
●必要な会議室やミーティングスペースなどがある
●実用的で使いやすい
●会議室のサイズ感や部屋の形状が希望していたものに適合している

 

セットアップオフィスという選択により初期投資を抑え、コスト最適化も叶えることができた。
 

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