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理想の職場をかなえるオフィスコンセプトとは?従業員が満足するオフィス作りの秘訣

企業の経営者や人事総務責任者などオフィス環境の責任者に向け、効果的なオフィスデザインの基となる「オフィスコンセプト」について、定義や重要性、決め方からオフィスデザインへの活かし方までのステップ、成功事例などについて解説する。

2024年 05月 09日
オフィスデザインに不可欠な「オフィスコンセプト」とは?

オフィスコンセプトは、オフィスの全体的な哲学や目的、ブランドイメージ、働く環境を形成するための指針やアイデアを示す

近年、世界的に時間や場所を柔軟に選べる働き方がコロナ禍を機に劇的に広がった。日本でも働き方改革が進み、ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)やフリーアドレス制を導入する企業が増加している。

このような柔軟な働き方を可能にするためにオフィスデザインの再構築を迫られている企業も少なくないだろう。企業の経営者や人事・総務などワークプレイス管理を担う部署の担当者にとって、時代の変化に適応したオフィスデザインの整備は重要課題であり、急務である。

ここでのオフィスデザインとは、オフィス空間の物理的なレイアウトや装飾、家具の配置などの視覚的・機能的な側面を指す。

一方、オフィスコンセプトは、オフィスの全体的な哲学や目的、ブランドイメージ、働く環境を形成するための指針やアイデアを示す。

言い換えるとデザインとはコンセプトを物理的に具体化する手段であり、デザインの背後には企業から従業員などのステークホルダーへのメッセージとなる戦略的なコンセプトの存在が欠かせない

オフィスコンセプトの策定が企業にもたらすメリット

自社にとって最適なオフィス構築の起点となるオフィスコンセプト。オフィスコンセプトの策定には、具体的にはどのようなメリットがあるのだろうか。

企業理念を常にアピールできる
 

適切なオフィスコンセプトがオフィス環境に反映されている場合、それだけで企業文化やメッセージを言葉にしなくても社内外に伝える手段として機能する。企業のブランディングはもちろん投資家への訴求にも有効だ。

優れた人材の採用や確保

オフィスコンセプトを通じて自社の理念や姿勢や明確にできていれば、それに共感した優れた人材の採用につながるだろう。また従業員の働きやすさやウェルネスを重視したオフィスコンセプトを落とし込んだ現場では、従業員のエンゲージメントが向上し、離職率の抑制も期待できる。

多様な働き方の実現

リモートワークやサテライトオフィスでの勤務、フリーアドレス制など、時間や場所にとらわれず働けるようなオフィス環境の構築は、さまざまな立場の従業員へ多様な働き方の選択肢を提供する。明確なオフィスコンセプトの策定があってこそ、このようなフレキシブルなオフィスデザインが実現できる。

オフィスコンセプトの決め方

続いてはオフィスコンセプトの具体的な決め方を確認してみよう。各ステップの注意点も紹介する。

プロジェクトチームを立ち上げる

会社の規模にもよるが、従業員の生産性やモチベーションにも関わるオフィスコンセプトの策定には、経営層だけではなく現場の意見も取り入れて進めていきたい。様々な意見を集約するために部門横断型のチーム構成となればベストだろう。

社内のリソースや知見が不足する場合は、外部コンサルタントなど専門家にチームに参画してもらうのも有効な手段だ。

課題と改善点を洗い出す

オフィスコンセプトの中には、現状で課題となっている点を解消するような要素が含まれていることが望ましい。従業員へのヒアリングなどを通じ、改善すべき点を明確にして事業の成長につなげよう。

ゴールを設定する
 

最後にゴールの設定と検証を行う。オフィスコンセプトに基づいたオフィスデザインが自社にどのようなメリットや進化をもたらすのかを、つねに頭に置いてコンセプト策定を進めていきたい。

オフィスコンセプトからオフィスデザインへ

企業理念やメッセージを表すオフィスコンセプトが完成すれば、いよいよそれを基点としたオフィスデザインの構築に進む。

次のようなステップで進めていくのが一例となる。

  1. コンセプトにそった内装・レイアウト・インテリアなどの条件を設定する

  2. コーポレートカラーやトレードマークなど、取り入れたいモチーフを準備する

  3. オフィストレンドをチェックし、採用するかどうか判断する

  4. デザイン会社・施工会社の候補を選定し見積もりを取る

  5. デザイン会社・施工会社を決定し発注する

1-4の各ステップで最適な選択に迷う場合は、早い段階でデザイン会社や施工会社などに入ってもらい、自社に合った選択を行うサポートを受けるのも良い方法だ。

イノベーションをもたらすオフィスデザイン

従来の型にはまらない自由な発想や新しいアイデア・手法・技術・プロセスなどから生まれる価値、つまりイノベーションの創出が不可欠

新しい時代の中でビジネスを成長させていくには、従来の型にはまらない自由な発想や新しいアイデア・手法・技術・プロセスなどから生まれる価値、つまりイノベーションの創出が不可欠である。

オフィスデザインの観点でイノベーションを創出するには、以下のようなアプローチが有効だ。

フリーアドレス制やABW型レイアウト

日によって異なる座席を利用することで別部署の従業員との交流が生まれ、自分のセクションの課題について新しい視点の解決方法を思いついたり、アイデアのヒントをもらえたりする。

コラボレーションスペース
 

カフェや休憩スペース、自由に使えるミーティングスペースなどを設けることで、コミュニケーションが生まれ、新しい発想が創出される。

オフィスコンセプトをオフィスづくりに反映させた成功事例5選

最後に、優れたオフィスコンセプトを策定し、オフィスデザインに落とし込むことでオフィス改善に成功した5つの企業の事例を紹介する。

エイコー - 360°Communication

オフィス関連のソリューションを提供するエイコーは、2022年、創業50周年の節目に東京本社オフィスを移転。プロジェクトチームによって「360°Communication」と名付けられた移転コンセプトを軸に8つのワークスタイルを掲げ、タテ(会社と従業員、上司と部下)・ヨコ(他部門や他拠点)・ナナメ(社員同士)で人・情報が繋がるよう、コミュニケーションの活性化や従業員の快適性を考慮したオフィスデザインを策定した。

「Fo-me」と命名された新オフィスはコミュニケーション活性化に重きを置いたフリーアドレス型オフィスで、ワンフロアへの統合、立地、駐車場、低層階といった入居要件を満たしながら、理想とするワークスタイルを実現できる移転先を確保することに成功した。

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資生堂 - GLOBAL VISION CENTER

化粧品・スキンケア大手の資生堂は2021年、3年におよぶ全社的なリニューアルを完了し、東京都港区の資生堂グローバル本社オフィス「GLOBAL VISION CENTER」を開設した。

「ビジョン・戦略を構築し世界へ発信する場」、「グローバルブランドの世界観を構築し、感じる場」、「PEOPLE FIRST実践の場」という3つのコンセプトに基づき、すべての従業員がブランドビジネスを実感し、企業使命である「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」に貢献できるようなオフィスへと生まれ変わった。

アサヒグループホールディングス - フラッグシップ・シンボルとして情報発信拠点へ

飲料・食品メーカー大手のアサヒグループホールディングスは、2021年より全国の営業拠点55カ所を26カ所へと統合集約2022年2月には吾妻橋本社オフィスの全面改修を完了させた。

新たなワークプレイス戦略のコンセプトは「フラッグシップ・シンボルとして情報発信できる環境の創造」、「グループシナジーを創出する『ハブ』となる環境の創造」、「社員が新しいワークスタイルを体感し、誇りを持てるワークプレイスの創造」の3つを策定。基本コンセプトは統一しつつも各グループに必要な機能・デザインへと落とし込むことで、グループ一体となって企業価値の向上、お客様満足度の向上を目指すという同社の新たな働き方を体現した。
 

ジョーンズ ラング ラサール - Future of Work

総合不動産サービス大手JLLは、2022年、東京本社および関西支社を移転。JLLが提唱する理念「Future of Work」をワークプレイスで具現化することを目指した。

各オフィスは、5つのコンセプト「New Workstyle & Premium Experience」、「Technology & New Discovery」、「Connectivity & Networking」、「Wellbeing & Creative Recharge」、「Sustainable Thinking」を中心に構成され、2023年の「第36回日経ニューオフィス賞」にて、本社オフィスが「クリエイティブ・オフィス賞」を、関西支社オフィスは「近畿ニューオフィス奨励賞」を受賞した。

JLL東京・大阪オフィスツアー絶賛開催中

第36回 日経ニューオフィス賞・ 2023年度グッドデザイン賞 W受賞 オフィス移転、働き方改革の取り組み、ワークプレイスのデザインなど 詳細をご紹介させていただきます。是非ご参加お待ちしております!

オフィスデザインを成功に導くプロとは

これからの企業の成長に欠かせない多様化に対応したオフィスデザイン構築には、企業理念とマッチしたコンセプトの策定が基盤となる。

しかし、企業理念をオフィスコンセプトに言語化し、さらにオフィスデザインへと落とし込むには、さまざまなポイントで難しい判断が求められる。初めての移転やオフィス改善では「本当にこれで良いのだろうか?」と頭を悩ませる経営者や担当者もいるかもしれない。

そのような場合には、プロのサポートを受けるのも一考に値するのではないだろうか

豊富な実績と事例から、ベストな選択を導き出せるのがプロの強み。さまざまな分野で不動産やオフィス関連のソリューションを提供しているJLLに相談してみてはいかがだろうか。

企業文化を反映させたオフィスコンセプト

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