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オフィスコンセプトが創る企業の未来

ニューノーマルな働き方へのシフトにより、働く場所の価値が再定義され、オフィスコンセプトを刷新する企業が増え始めている。企業の存在意義を象徴するオフィスの在り方次第で、人材となる従業員のモチベーションも変わってくる。

2021年 09月 24日
職場環境の改善に欠かせないオフィスコンセプトとは?

職場環境は従業員のパフォーマンスやウェルビーイングに直結するといっても過言ではない程、企業とヒト、上司と部下、同僚やクライアント等、ヒト同士を繋ぐヒューマン・エクスペリエンスが存在する場だ。リモートワークの急拡大により、個人の好きな場所で働くことが可能となった今、オフィスに集うことの意味を再定義し、場をアップデートするため、オフィスコンセプトの重要性が問われている。オフィスコンセプトは、オフィスを通して企業理念やメッセージ、ミッション等を伝えるための意図である。企業の歴史やブランドの意味、方向性が随所に散りばめられたオフィス空間で働くことは、従業員の帰属意識やモチベーション向上に寄与すると考えられる。JLLがコロナ禍で企業の従業員向けに実施した「新型コロナウイルスによるリモートワークとオフィスに関する意識調査」では、今後のオフィスの役割に対する質問で「社員の帰属意識を醸成する場所(快適なオフィス を社員に提供することが福利厚生の一環)」や「会社の信用力を示す(世の中やクライアントに対して、リクルートの場面で)」という回答が上位5位内にランクインしている。オフィスの価値が再定義されると同時に、従業員は企業側の俊敏な意思表示や対応を求めていることがデータから読み取れる。オフィスコンセプトの再策定は、従業員の働く環境をアップデートしようと検討する企業にとっての課題であり、近い未来に備えて欠かせないステップともいえるだろう。

オフィスコンセプトがもたらす従業員、企業への効果

オフィスコンセプト策定は、企業戦略として重要な役割を果たしているからこそ、経営戦略の観点等、多角的な視点が必要であり、そのプロセスが企業を象徴するオフィスの刷新に繋がる

オフィスコンセプトを策定し、企業文化やメッセージを提示することによる効果は、どのようなものがあるのだろうか。当然ながら、企業が求める目的によって効果の種類は様々だが、代表的な例として人材採用が挙げられる。人材不足が年々深刻化する中、企業側から人材を求め「この企業で働きたい」と思ってもらえるようなブランディングを行うことが不可欠であり、オフィスはここで大きな役割を果たす。アフターコロナを見据えた人材獲得を目的としたコロナ禍でのオフィス移転拡張を行うケースも少なくない。短期的には大きすぎる投資だったとしても将来的な企業の方向性を見極め、先手を打ってアクションを起こしている企業も見られるようになった。これらの成功事例には、明確な企業のアイデンティティのもと、唯一無二の存在として企業ブランディングしていけるようなオフィスコンセプト・戦略策定が行われている。オフィスコンセプト策定は、企業戦略として重要な役割を果たしているからこそ、経営戦略の観点等、多角的な視点が必要であり、そのプロセスが企業を象徴するオフィスの刷新に繋がるのだ

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オフィスコンセプト策定プロセスの要点
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プロジェクト全体の目標の明確化

長期的な視点における企業の効果を生み出すには、戦略的なオフィスコンセプト策定が欠かせない。デザインは華美だが、使い勝手が悪ければ、事業活動に対して現実的な効果が得られない。企業内の現状と改めて向き合い、ヒアリングやアンケートを行うことで、現場の課題を見つけ出し、本質的な目標設定が可能となる。ヒトを中心に考えたオフィスコンセプトを再定義した移転の成功事例では、従業員同士のコミュニケーション低下やブランドへの理解不足といった現状課題を解決するため、人材に投資する一貫した戦略のもとオフィス改革を進めた。自社ブランドの世界観を体感できるブースの設置や従業員が主体的に働き方を選べるABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)型オフィスの導入等、従業員のニーズや現状課題に寄り添った改革により、移転後には非常に良い評価結果を得ることができた。現状課題の本質を見極め、企業にとって価値のある目標を設定し、オフィスコンセプトを策定していくことが成功の鍵となる。

オフィスコンセプトを視覚化したオフィスレイアウト・デザインの設計

オフィスレイアウトやデザインは、社内メンバーだけでなくクライアントやパートナー等のステークホルダーに対し企業の特徴を提示することができるため、イメージにずれが生じないよう、慎重な設計プロセスが必要となる。コロナ禍でもオフィスを将来的な成長戦略の重要拠点として拡張させた成功事例では、初見で10以上の驚きがあるようなデザイン性に富んだ内装工事を行い、若者たちの心を掴み「働きたい会社」として就活生からの絶大な人気を博している。この成功事例の背景には、オフィスを新たなビジネスの場とするという明確な戦略と一貫したオフィスコンセプトが存在する。企業の象徴ともいえるオフィスには戦略的なコンセプト策定が欠かせない。

オフィスコンセプトの刷新で「従業員の居場所」を作り価値転換に繋げた成功事例

ヒトを繋ぐオフィスという場を用いて企業コンセプトを発信していくことは、これからの時代に欠かせない要素となる

コロナ禍でオフィスの価値をいち早く見出し、近い将来に向けたオフィス拡張移転を行う企業も見られる。オフィスの一部縮小や解約を検討する企業が増えているからこそ、リアル空間であるオフィスの価値を重要視し、従業員と企業が対等な関係を構築するというオフィスコンセプトへ刷新した。正解のない不明確な時代だからこそ企業の底力が問われる中、ヒトを繋ぐオフィスという場を用いて企業コンセプトを発信していくことは、これからの時代に欠かせない要素となるのではないだろうか。

ヒトとの繋がり合いが今まで以上に貴重となっているからこそ、オフィスコンセプトの重要性が増している。根底には必ずヒューマン・エクスペリエンスの考え方が存在し、人材とどのように向き合い、環境をアップデートしていくかによって企業の未来は変わってくる。

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