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WELL認証が変えるオフィスの新しい価値

オフィスにおいて身体的・精神的に健康であることのウェルビーイングが重要視されるようになってきた。ESG(環境、社会、企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みが盛んになるにつれ、ヒトの健康や快適性の性能を評価するWELL認証への関心も高まっている。

2022年 01月 26日
ヒトの健康に結びつくWELL認証とは?

WELL認証はWELL Building Standard®とも呼ばれ、空間を「ヒトの健康」視点により水・空気・食べ物等を含む10のコンセプトを用いて評価するシステムで、米国にて開発された。環境・エネルギー性能といった効率的な要素だけではなく、ヒトの健康や快適性にも焦点をあて、ウェルビーイングな環境である空間のデザインや運用・構築手法等を評価する。社会的なニーズや投資家に対応するため、オフィスだけなく、ホテルや商業施設等を対象にWELL認証を取得するケースが増加している。

WELL認証が必要とされる背景

ヒトの身体的・精神的にも良好な状態を保ったオフィス環境が重要視されるようになったきっかけの1つとして、2006年に発表された責任投資原則(PRI)からのESG(環境・社会・企業統治)投資への機運の高まり、そして2015年に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)という時代の変化が挙げられる。地球温暖化に対応した環境配慮の考えが存在し、それを取り巻く建物のグリーン化やヒトのウェルビーイングが派生的に関連している。企業が果たすべき社会的責任(CSR)等の観点でも早急な対応が求められるが、特に、ESG投資による投資家からの判断基準に影響があるため、WELL認証による評価で取り組みの証明を行うニーズが高まっていることが要因と考えられる。評価基準の種類として、建物の環境配慮の性能を評価する米国発のLEED(リード)認証や環境に配慮された建物の普及を目的として開発された日本発のCASBEE(キャスビー)認証、不動産業界でESGパフォーマンスを測るGRESB(グレスビー)、景観に特化したサステナビリティを評価する米国発のSITE認証が存在し、企業の目的や戦略によって活用されるようになった。WELL認証はこれらの評価基準に比べ、「ヒトの健康」を主軸とし、働き方改革や健康経営の目的に適応する要素を評価することから、昨今注目度が高まっている。

 

企業価値向上に寄与するWELL認証

WELL認証の取得は貢献度が高い企業として、社会的な訴求や投資家へのアピールにも結びつく

WELL認証の取得によって、従業員であるヒトへ配慮したオフィス環境で生産性やエンゲージメントの改善へと繋がり、結果として企業のイメージが向上するケースも多い。このような効果は働き方改革へも寄与し、企業の重要な人財への投資に繋がり、結果として離職率の改善や優秀な人材の確保という成果を生み出しやすくなる。また、WELL認証の取得は、SDGsの目標にも掲げられている「3. すべての人に健康と福祉を」「8. 働きがいも経済成長も」の項目に該当するため、貢献度が高い企業として、社会的な訴求や投資家へのアピールにも結びつく。ヒトを重視したWELL認証取得への関心が高まりは、現代を表す流れであり、俊敏な対応によって今後の企業価値を大きく変えるきっかけとなってくるだろう。

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WELL認証取得に欠かせない評価項目
10の評価コンセプト

2018年に発表された最新版のWELL認証v2の評価システムでは「空気」「水」「食物」「光」「運動」「快適性」「音」「材料」「こころ」「コミュニティ」の10の評価コンセプトで構成される。WELL認証取得には、必須項目と加点項目で必要なスコアをそれぞれ獲得することが必要なり、スコアによってプラチナ・ゴールド・シルバーの3段階で評価される。例えば「コミュニティ」の評価要素として、新生児の両親となる従業員のサポートとして保育所や授乳室を設けるケースもあり、WELL認証の評価観点より様々な工夫が施されている。

WELL認証のプロセス

WELL認証取得までのプロセスは、認証登録後の書類審査で通過した場合のみ、現地での評価・測定等の厳重な審査が行われる。必要項目を満たすと認証となり、加点項目のスコアによって段階が確定される。WELL認証取得は、専門的な知見が必要とされるため、プロセスに精通したパートナーのサポートを得て進めるケースが増えてきている

 

WELL認証を活かしたオフィスとは?

WELL認証の評価コンセプトを考慮したオフィスレイアウトやデザインは、アフターコロナに対応した働く場づくりの要素にも深く関連している

WELL認証の評価コンセプトを考慮したオフィスレイアウトやデザインは、アフターコロナに対応した働く場づくりの要素にも深く関連している。例えば、評価コンセプトの「こころ」の要素を考慮し、従業員の息抜きとして使えるフィットネスや瞑想スペースを設置するケースが見られるが、これはアフターコロナのハイブリッド型の働き方を目指す企業でも執務の場以外の価値を従業員に提供するために設けられている。また、コロナ禍でのオフィス拡張移転の事例では、リモートワークによりリアルなコミュニケーションの価値を再定義した企業は、コミュニケーション活性化を実践できる場をオフィス内に拡充させている。「ヒトの健康」への配慮へと企業の意識が向いていることは、従業員のニーズ、社会や時代的な流れの背景から、WELL認証の評価要素が必然的に求められているということを示しているのではないだろうか。

WELL認証は様々な時代のニーズや課題が影響し合った要素を具体的に可視化し、評価できるシステムだからこそ、持続可能な企業戦略には欠かせない。取得により広義的な効果をもたらすため、背景や概要を理解し、企業独自の目的を明確に定め、進めていくことが肝心となる。

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