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SDGsやESGへの取り組みが導く不動産の在り方とは?

SDGs(持続可能な開発目標)に関連した不動産業界の取り組みが加速している。2030年までに17の目標を達成するというSDGsにおいて、不動産が果たす役割は大きく、新たな価値基準も作られている。持続可能な未来を見据え、変化する不動産の在り方について解説する。

2021年 08月 10日
不動産におけるSDGsの意義と役割

2015年に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、発展途上国への支援、エネルギー開発、働きがい、人権、環境保護等の課題を解決するために掲げられた世界的な取り組みである。全世界の二酸化炭素排出量の約40%を占めるとされる不動産はSDGsに深く関わっており、積極的に環境対策を担う責任があると考えられる。この責任を果たしていくために不動産業界は様々な取り組みを実施している。例えば、JLLのサステナビリティ戦略として「ワークプレイス」を軸に展開する取り組みが挙げられる。「建物内で発生する温室効果ガス排出量を1人当たり2%削減」や「サステナビリティと心身の健康を追求し、大規模オフィスではLEEDやWELL認証取得を目指す」、「炭素排出量実質ゼロ達成を公約」等、SDGsという目標に向け、グローバル企業として明確なゴールを掲げている。これらの気候変動対策やウェルビーイングを目的とした具体的なアクションにより、様々なステークホルダーと協働することで不動産の未来形成にも寄与していく。国際的な環境イニシアティブ「RE100」によるオフィスビルのサステナブルなオール電化を実施する取り組みも活発化しており、不動産業界におけるSDGsのトピックは今後さらに盛んになっていくだろう。

ESG投資の視点で見る不動産

ESGやSDGsの要素をバランス良く取り入れ、総合的に不動産を評価する時代となっている

不動産におけるSDGs達成に向けた取り組みを評価し、企業の将来性に焦点を当てたESG投資の注目度も高まっている。2006年に国連が公表した責任投資原則(PRI)がきっかけで、投資家が環境(Environment)、社会(Society)、企業統治(Governance)の視点で事業活動等を分析し、投資先を選定するESG投資が拡大した。ESG投資が盛んになった背景として、地球温暖化対策や日本における少子高齢化等の課題が挙げられる中、これらの問題を解決することが不動産価値に直結すると考えられるようになったためだ。財務や業績等の利益だけを判断要素としていた従来の投資ではなく、ESGやSDGsの要素をバランス良く取り入れ、総合的に不動産を評価する時代となってきていると考えられる。

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SDGs達成に寄与する不動産の取り組みと事例

ヒトの生活に密接に関わる不動産だからこそ、SDGsへの取り組み策は幅広く、積極的に実践することで得られる効果は大きい

不動産テックの活用による省エネ化

SDGsという国際目標を達成するために、クライアント向けの不動産サービスでも様々な取り組みが実施されている。商業施設の事例では、不動産テックのIoT技術を活用し、施設の空調や照明等の共用部電気使用量を約30%削減するという成果を収め、省エネ施策によるサステナブル化の成功例も存在する。IoTセンサーを駆使し、測定した温度や照度を基準とした空調と照明の使用量を自動的に制御し、高い省エネ効果に繋げたのだ。ヒトの生活に密接に関わる不動産だからこそ、SDGsへの取り組み策は幅広く、積極的に実践することで得られる効果は大きいと考える。

環境に配慮したグリーンビルディング化
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オフィスビル等の資産に対し、積極的に環境性能を高め、サステナブル化の取り組みや設計を施したグリーンビルディングは、SDGsへの貢献度が高い。建物の脱炭素化という外的な要素だけでなく、オフィスビルの利用者のウェルビーイングにも配慮しているため、SDGsの目標達成に必要な要素を満たしている。不動産セクターのESG対応の国際的な評価指標となるGRESB等も制定されており、SDGs観点で不動産の価値を定める指標が重要視され始めている。不動産の新しい価値が生まれ始めていることは明確であり、SDGsが起因しているといってもよいだろう。この過渡期でいかに不動産業界の先を読み、先手で動いていくことが、これからの時代の波に乗る手がかりとなってくるだろう。

不動産におけるSDGsの取り組みは、クライアントやパートナーといったステークホルダーを巻き込み、アクションの輪を大きく広げていくことが重要だと考える。持続可能かつ責任ある施策を積極的に提案していくことで、未来への可能性が広がっていくのではないだろうか。SDGsにおける不動産業界の今後の取り組みや動向を注視したい。

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