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モチベーションを向上させる職場環境の改善ポイントとは?

働き方が変化する時代、従業員のモチベーションの維持や向上のための職場環境改善はどのように行われているのだろうか? 効率化ばかりが重要視され、ヒトとの繋がりを感じられるリアルなコミュニケーションが少なくなっている企業も多い。時代の変化に合わせた職場環境へと改善を促し、モチベーションを向上するポイントについて解説する。

2020年 12月 03日

本質的な職場環境改善とは?

昨今、職場環境改善に力を注いでいる企業が多く見られるようになった。背景には、働き方改革推進による社内の生産性向上を目指す最中に起こったコロナの影響で、従業員の精神面・身体面を健康に保つことやオフィスの安全衛生管理等、幅広い領域での職場環境改善が重要視されるようになったことが挙げられる。コロナによって変化したオフィス環境要素の優先順位により、ヒトを感じられるリアルな側面が薄れている中、従業員のモチベーションを保つことが難しくなっておりニューノーマルな働き方に適した職場環境改善が企業には求められているのだ。また、SDGsやESGへの取り組みが活発となってきていることから、従業員が幸せに働くためのウェルネスオフィスの構築も主要トピックとして挙がっている。時代によっての価値観や概念が変化する中で、ヒトの内面的な要素を軸とするヒューマン・エクスペリエンスに基づいたオフィス改革や、組織全体での意識改革等の本質的な職場環境改善がこれからの時代は欠かせない。

時代に順応した職場環境へのアップデート

職場環境は従業員にとって様々な効果をもたらしている。ヒトとの繋がりや偶発的な会話が生まれることでのモチベーション向上やイノベーション創発など、内的な面での効果が挙げられる。これは、リアルな場所で実際に顔を見合わせ、雰囲気を体感することで得られる効果であり、コロナ禍でのリモートワークという働き方では機能しづらい。週の半分はリモートワーク、もう半分はオフィス出社という働き方へと徐々にアップデートしている企業も増えている中、非対面・非接触というバーチャルでは得られない体験を職場環境は従業員に対して提供していくことが、社内の士気向上にも繋がり、これからの組織形成にも貢献していくのではないだろうか。

職場環境に対する企業の現状意識

リモートワークという新しい働き方から生まれた、オフィスへの人間的なニーズが浮き彫りとなり、職場環境改善に欠かせない要素となっている

 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言により、緊急対応でのリモートワークを日本のオフィスワーカーは体験した。2020年5月にJLLが実施した「新型コロナウイルスによるリモートワークとオフィスに関する意識調査」では、緊急事態宣言発出後、リモートワークの導入は全体の98.7%にという結果が見られた。この緊急事態下での体験により「オフィス環境は変わる、変えていきたいと思う」の回答が58.1%、「オフィス環境は変わる、すでに検討を進めている」の回答が23.8%となり、職場環境の改善を検討している企業が多いという結果が確認できた。また、今後のオフィスの役割を問う設問では、Face to Faceのコミュニケーションや、従業員の帰属意識の醸成、イノベーションの創発等、コミュニケーション要素の多い回答が得られ、リモートワークという新しい働き方から生まれた、オフィスへの人間的なニーズが浮き彫りとなっている。このような従業員のニーズを察知し、職場環境改善へと動き出している企業も多い。JLLが国内企業の経営層を対象に行った「コロナ禍に適応したオフィス環境」に関する調査レポートの回答から、具体的な”オフィス環境を変える”項目が様々な角度から得られた。コロナの影響を考慮した職場環境改善への企業としてのサポートには、既存のレイアウト・改修等によるオフィスの見直し、自社・外部コワーキングスペース等によるサテライトオフィスの設置、リモートワークに適したインフラ・テクノロジーの整備・改善が挙げられ、オフィスの改革で環境改善に導こうとする経営層の意図が窺える。

従業員の働き方を改善し、モチベーション向上から人材確保や離職率改善に繋げるための戦略の1つとして職場環境という場所の改善が以前から注視されていたが、コロナという予期せぬ緊急事態により根本的な「場」の意味が改めて問われている。その問いに対して、企業文化や特徴を活かした職場環境の改善が企業の喫緊の課題として求められているのではないだろうか。

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アフターコロナに適応した職場環境の改善ポイント

デジタルでは得ることのできないリアルなコミュニケーションを体験できる場の構築

職場でのコミュニケーションは以前から必要とされていたが、コロナ禍でのリモートワークを経験し、その重要度がさらに高まったのは確かだ。ニューノーマルな働き方へとシフトする中で、従業員のモチベーション向上、また、会社への帰属意識を高めるため、オフィス環境へのコミュニケーションスペースの設置など、リアルなコミュニケーションを重視した場の再構築が見られ始めている。コミュニケーション活性化だけが1人歩きせず、なぜ従業員がオフィスという場所で働きたいのか、という課題・背景を理解し、目的に繋げていく職場環境の改善が、モチベーション向上という結果に結びつくであろう。

ヒトの体験と安全衛生を重視したオフィスデザイン

アフターコロナに向けた職場環境の改善を図る上で、安全衛生を確保することの優先順位は高い。コミュニケーションスペースを設けると同時に、ヒトとの距離を十分に確保するソーシャルディスタンス戦略を念頭に置くことが不可欠となる。また、サテライトオフィスやリモートワークという非接触型の働き方が今後も重要とされる中、デジタルコミュニケーションの効果を最大限に発揮させるため、テクノロジーのインフラを十分に整えておく必要がある。10年前は考えられなかったような職場環境の改善ポイントが、アフターコロナでは肝要となる。

 

新しい働き方を見据えた職場環境改善の成功事例

企業独自のオフィス戦略を策定した職場環境の改善は、短期的ではなく、長期的にも組織全体への効果を生み出し、価値ある効果が得られる

職場環境改善の取り組み方は企業によって様々だが、コロナによって激変した働き方を考慮し、未来への投資として、オフィス移転やリノベーションを行う企業も少なくない。利便性や意匠性の観点で時代にそぐわないオフィスによって従業員間の何気ない交流が難しい状況にあったことから、コミュニケーションの活性化を念頭に多目的のコラボレーションスペースを設置する等のオフィス移転プロジェクトで、従業員の帰属意識の向上、優柔な人材確保、長期雇用の成果に繋がった企業事例も存在する。企業独自のオフィス戦略を策定した職場環境の改善は、短期的ではなく、長期的にも組織全体への効果を生み出し、価値ある効果が得られるということが、この成功事例からも窺える。

ヒトの個性が無数にあるほど、企業の文化や特徴も様々であり、職場環境で重視すべきポイントもその個性によって変わってくる。働く環境が日々変化する中で、その個性をベースにオフィスというハブスポットを敏感にアップデートしていくことはアフターコロナ、さらには長期的な企業の”今後”の成長へ寄与するであろう。不確実かつ変化の激しい時代だからこそ、職場環境を堅実に改善し、従業員のモチベーションを維持、そして向上させていくことがこれからを生き抜く秘訣にもなるのではないだろうか。

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