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ニューノーマルな働き方を実現するオフィスとは?

ニューノーマル時代の働き方について、企業は迅速かつ柔軟な対応を求められている。リモートワークを導入する企業も増えてきたが、働く場の価値を再定義しオフィスへ戻り始めている従業員も少なくない。今回はニューノーマル時代の働き方とオフィスの在り方について解説する。

2021年 02月 19日
ニューノーマルな働き方の背景と現状

ニューノーマルとは、今まで常識ではなかったことが新しい常識となる状態を指す言葉だ。新型コロナウイルス感染拡大を防止するため厚生労働省が公表した行動指針である”新しい生活様式”により、ヒトとの密を避けたソーシャルディスタンスが当たり前になるなど、

生活が一変し”ニューノーマルな働き方”というキーワードも生まれた。デジタルを活用することでリモートワークが可能となり、非対面型の業務進行や会議、資料共有などの新常態が当たり前となるニューノーマルな働き方を世界中のオフィスワーカーの71%が経験したというデータも確認できた。リモートワークにより業務効率も向上し、働き方改革へと繋がると期待が高まっていたが、現場の声は意外なもので、JLLの世界のオフィスワーカーに対する調査レポートにおけるAPAC(アジア太平洋地域)でオフィス回帰志向に関する質問では「オフィスへ戻りたい」と感じているという回答が61%であり、また、その回答者の66%がミレニアル世代であることが分かった。これらのデータから、オフィスという「場」がニューノーマル時代においても不可欠であり、仕事はヒトとヒトの関係性から成り立っているからこそ、人間の本質的な要素を優先し、これからの働き方に活用していくことが必要なのではないだろうか。

 

ニューノーマルの働き方に対応した企業の取り組み

ニューノーマルの働き方に対応するには、企業の独自性を活かした戦略が要

リアルの場の価値を優先しつつ、ハイブリッドワークを実現

企業としてニューノーマルな働き方に適応していくには、従業員の働く場を最適化することが喫緊の課題とされる。リアルに集うことの価値を改めて再認識し、移転におけるオフィス戦略へ取り入れることで「心理的価値」の提供を目指した人材サービス事業の企業事例では、顧客からスタッフの質の高さについて高評価を得るという結果に結びついている。具体的なオフィス施策は、フリーアドレスの執務席やオンラインミーティングに対応した個室を設ける等、ハイブリッドワークをサポートする機能を備えニューノーマルな働き方に対応した場へとアップデートを行った。企業独自の取り組みとして、ゲストへの「おもてなし」を重視し、将来に見据えた有人対応型の受付やリレーション強化のためのキッチンやワインセラーを整備したゲストルームを完備。その他には、従業員のモチベーション維持や企業カルチャーを継承できるよう、社内イベントを開催できる大型の会議室も設置。コロナ禍でリアルの価値を再認識したからこそ、先を見据えたオフィス戦略を展開し、実際に結果に寄与している。ニューノーマルの働き方に対応するには、企業の独自性を活かした戦略が要となってくる。

従業員のウェルビーイングを構築するためのオフィスづくり

ニューノーマルの働き方がヒトに与える影響は大きく、企業は柔軟かつ俊敏に対応することが求められている。JLLが発表した「新型コロナウイルスがオフィスワーカーに与えた影響に関するサーベイレポートvol.3」では、リモートワークにより多大な心理的な負担と個人的な責任感を感じているとの回答がグローバル平均で49%、日本では38%と、少なくない従業員が精神的な負担を感じていることが明らかになった。この問題に対する解決策がいくつか挙げられる中、従業員の身体的・精神的な健康状態を向上・維持するウェルビーイングな環境づくりを目指す企業が増えてきている。例えば、執務中でのリフレッシュとなるよう、フィットネスルームを設置したり、コミュニケーションを活性化させるためのコラボレーションスペースを設ける等、ウェルビーイングの観点でオフィス内の設備をアップデートすることができる。最近では、オフィスでのヒトの健康や快適性の性能を評価するWELL認証取得を目的にしながらウェルビーイング構築を図るケースも少なくない。ニューノーマルの働き方への対応は、企業の考えが反映されるため様々な視点で学べる機会となるだろう。

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ニューノーマル時代がもたらした働き方とオフィスの変化

ニューノーマル時代では、オフィスに対してリアルなコミュニケーションや企業への帰属意識を感じられる働き方が今まで以上に求められている。

ニューノーマルな働き方は、ヒトとのコミュニケーションに大きな影響と変化を与えた。従来のオフィスでの働き方は、同僚や上司との会話や偶発的なコミュニケーションがモチベーションやイノベーションに繋がるなど、ヒトから生まれるリアルな体験が与える価値が大半を占めていた。ニューノーマルな働き方ではデジタルを介した、リアルとは相対するコミュニケーションが生まれている。テクノロジーの発展により、デジタル上でのコミュニケーションツールは利便性を増しているが、大事な打ち合わせや肝心な議題での取り決めなどはデジタルではなく、リアルで話し合って決めるというケースも増えてきているのは確かだ。ニューノーマル時代では、ヒトを取り巻く環境の変化に適応し、オフィスに対してリアルなコミュニケーションや企業への帰属意識に関連する要素や価値が今まで以上に求められているのではないだろうか。

企業の経営層が考える、ニューノーマル時代のオフィス戦略
オフィスとリモートワークのハイブリッド化

JLLが企業の経営層を対象としたアンケート調査結果では、「今後のオフィス出社率はどのぐらいが好ましいと考えているか?」という質問に対し、「週1-週3日が好ましい」の回答が全体の約70%を占めていることから、リモートワークはあくまでも働き方の1つとして考え、オフィス出社とリモートワークを融合したハイブリッドな働き方を模索しているのではないかとも推測できる。デジタル活用や従業員の安全衛生を重視する時代だからこそ、進化のメリットを本質的な要素へ取り込んだニューノーマルな働き方を企業の経営層は策定しているのではないだろうか。

ニューノーマル時代におけるオフィス改善に関する経営層の意識

それでは、実際にどのようなオフィスがニューノーマルな働き方に適切なのだろうか?ニューノーマル時代のオフィス戦略については様々な考え方が挙げられる。JLLの調査レポートでは「with/afterコロナの働き方を実現するには、会社としてどのようなサポートを考える必要があると思うか?」との質問に対して、「働き方改革に合わせた 既存オフィスの見直し(レイアウト・改修など)」(46.8%)、「サテライトオフィス(自社・外部コワーキングスペース)の設置」(43.6%)、「リモートワークに適したインフラ・テクノ ロジーの整備・改善」(37.6%)という回答が得られ、経営層はオフィスをどのようにアップデートさせるかについて、企業に合ったそれぞれの対応策を考えていることがうかがえる。 

アウトソーシングによるオフィス改革

ニューノーマルな働き方に適応したオフィスへの改善とはいっても、前例のないオフィス改革となるため専門的な知見と戦略が必要となる。これは短期的ではなく長期的な視点で従業員の働き方改革を進めてく上でも重要な役割を果たすため、コストをかけてでも外部の専門的なプロフェッショナルチームをアウトソーシングするという考えを持つ企業の経営層も少なくない。JLLの調査レポートでは「オフィス改革にコストをかけてもいい」という回答が65%以上も得られた。

ニューノーマルな働き方に関する経営層のアンケート調査結果を見る

ニューノーマル時代に求められるオフィスとは?

前例がない中でも企業なりの答えでニューノーマルな働き方を実現している事例も見られるようになった。柔軟な働き方を象徴するABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)型のオフィスはその一例ともいえ、時間や場所に捉われない考え方はニューノーマル時代そのものを表しているのではないだろうか。

ニューノーマルという予期せぬ事態に直面したことで、今まで取り組まなければならない課題への対応を後押しするきっかけとなっているのも事実だ。時代の変化が加速しているからこそ、迅速で柔軟なアクションによって企業の今後が決まるのではないだろうか。

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