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ビルの省エネルギー対策が求められる理由

オフィスビルの省エネルギー対策を急ぐ投資家が増えている。グリーンビルディングや脱炭素化、SDGsやESGといった環境配慮に関連した現代を象徴するキーワードが挙げられる中、「ビルの省エネ」は具体的な対応策として重要視されている。

2022年 01月 25日
オフィスビルの省エネの背景と目的

オフィスビルの省エネルギー対策が必要とされる背景の1つとして、SGDsの達成や、ESG投資に対応することが挙げられる。エネルギー消費量の正味ゼロを目指し、徹底的な省エネルギー対策と再生可能エネルギーの活用を推進するZEB(ネット・ゼロ・ エネルギー・ビル)が登場するなど、いまやオフィスビルや商業施設といった建物の省エネ対策は喫緊の課題となっているのだ。実際にZEB実証事業に認定される事例も増えてきている。また、SDGsへの取り組みが盛んになり、不動産業界が果たす持続可能な社会に向けての役割も問われる中、ビル利用者の健康増進やレジリエンスと共に省エネルギーも要件として求められている。他方、ESG投資等の多様なきっかけが影響し合い、それらのアクションとしてビルの省エネルギー対策が必要とされており、コスト削減だけでなく、二酸化炭素排出量を削減し、環境保護という社会的意義にも結びつく。広義の目的を持つ省エネルギーはオフィスビルの保有者にとっては、すでに欠かすことができない必須アクションとなっているのだ。

ビルの省エネによる脱炭素化がもたらす効果とは?

コスト削減や企業価値の向上による収益最適化と脱炭素化での環境配慮という多様な効果をもたらすビルの省エネルギー対策は、投資家にとって欠かせない対応の1つ

ビルの省エネルギーにより得られる効果は様々だ。二酸化炭素削減による地球温暖化防止への貢献以外にも、光熱費の削減、不動産価値の向上、環境に配慮していることでの企業ブランドイメージの向上、ビル利用者の健康増進等、その効果は多岐にわたる。特に不動産価値の向上の視点では、昨今注目されているグリーンビルディング化による優良テナントの確保をはじめ、海外では賃料面へのプラスの影響があることが判明しており、テナントや投資家からのニーズが拡大。ビルを保有するオーナーも省エネルギー対策を実践するケースが増えている。コスト削減や企業価値の向上による収益最適化と脱炭素化での環境配慮という多様な効果をもたらすビルの省エネルギー対策は、投資家にとって欠かせない対応の1つであるといえるだろう。

ビルの省エネとESG不動産投資の深い繋がり

環境・社会・企業統治を重視したESG投資が不動産市場でも活発になってきており、オフィスビルや商業施設の省エネルギー対策によりサステナビリティな建物へと最適化、資産価値を向上させる動きが広がっている。2006年に発表されたPRI(責任投資原則)が動機となり、投資家のESG視点での不動産投資が広がった。ESGへの対応としてGRESB等の評価指標が定められており、認定されるまでに様々な最適化が必要となる。ここでビルの省エネルギーは評価項目をクリアするための肝心な実践法となっており、ESG不動産投資への潮流に乗るためには必須プロセスであり、今後の資産の価値を大きく変えるきっかけとなるといっても過言ではない。

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オフィスビルの省エネ対策における活用ツール・プロセス

 

オフィスビルの省エネルギー対策を図る場合は、ビルの利用者である従業員の意識改革が欠かせない

不動産テックのIoTセンサーによるエネルギーの自動制御

省エネルギー対策により効果を創出するため、IoT技術を活用し、照明・空調の節約に成功する事例も存在する。IoTセンサーを駆使し、センサーで測定した温度や照度を基準として自動的に制御できるため、省エネルギーにおいて高い評価を得られたという。長期的な省エネルギーへの取り組みにより、共用部電気使用量が基準年と比べ約30%削減。不動産テックのIoTセンサーというテクノロジーを活用することで、省エネルギーに大きく寄与することができるのである。

組織内の省エネに対する意識改革

オフィスビルの省エネルギー対策を図る場合は、ビルの利用者である従業員の意識改革が欠かせない。建物全体の省エネルギー対策を効率的に行っても、ビルの利用者が浪費すると悪循環が生まれてしまう。これを防ぐためには、エネルギー使用量を見える化し、目標値等のゴールを定め、従業員が把握し、自主的に心がけることが重要となってくる。エアコンや照明の使用率の改善や節電の時間帯を設ける等、ヒトによる様々な省エネルギー対策が考えられる中、まずは自主的に動いてもらえるような意識改革を行い、考えを統一することで結果も異なる。エネルギー節約に向けた意識的な改革は、より効果的な結果を得るために要となるプロセスであることはいうまでもない。

ビル所有者にとって喫緊の課題となる省エネルギー対策によって得られる効果は大きく、収益面だけではなく、今世界中が取り組んでいる地球温暖化防止の働きかけにも寄与する。社会的な目的と同時にコスト削減等の収益面での効果を生み出していくには、多様な視点から考え、実践していくことが不可欠となるため、ESG不動産投資等に関連する新しいニーズを把握し、長期的に取り組んでいくことが必要だ。

ビルの省エネ対策により不動産の価値を高める

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