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【外資系ホテルの日本進出が加速】ホテル誘致に失敗しない「オペレーターセレクション」とは?

外資系ホテルの日本進出が目覚ましい。再開発の知名度向上や容積率緩和等を目的に、外資系ホテルの誘致を目指す不動産オーナーが増えていることが背景にあるが、どのようなホテルを誘致すべきか最適解を見つけるのは簡単ではない。そうした中、「オペレーターセレクション」と呼ばれるサービスが注目されている。

2023年 12月 07日
外資系ホテルの日本進出続々

外資系ホテルの日本進出が加速している。

2023年には首都圏で「ブルガリ ホテル 東京」、「ヒルトン横浜」等、関西では「センタラグランドホテル大阪」、「デュシタニ京都」等が開業した。2024年以降も日本初進出となる外資系ホテルの開業が控えており、2028年には日本一の高さになる大規模複合施設「Tokyo TORCH」高層部に「ドーチェスター・コレクション」の誘致が発表された。

都心部のみならず、地方都市への進出も目覚ましい。JLL日本が先般実施したオンラインセミナーでは外資系ホテル大手の日本市場に対する出店戦略について触れているが、例えばマリオットの「ザ・リッツ・カールトン福岡」(福岡県)をはじめ、ハイアットの「ハイアット セントリック 札幌」(北海道)、IHGの「インターコンチネンタル札幌」、ヒルトンの「ヒルトン沖縄宮古島リゾート」等が挙げられる。

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2023年以降に開業(予定)する主な外資系ホテル
開業年 首都圏・関西圏 地方
2023 首都圏:ブルガリ ホテル 東京、ホテルインディゴ東京渋谷、ヒルトン横浜、ホテル虎ノ門ヒルズ、ジャヌ東京、東京EDITION銀座
関西圏:voco大阪セントラル、ASAI京都四条、センタラグランドホテル大阪、ダブルツリーbyヒルトン京都東山、デュシタニ京都
ダブルツリーbyヒルトン富山、ザ・リッツ・カールトン福岡、シェラトン鹿児島、ヒルトン宮古島リゾート、紫翠 ラグジュアリーコレクション奈良
2024 首都圏:ハイアット ハウス 東京 渋谷
関西圏:キャノピーbyヒルトン大阪梅田、リージェント京都、シックスセンシズ京都、バンヤンツリー東山京都、ヒルトン京都、ダブルツリーbyヒルトン大阪城、キャプション by Hyatt なんば 大阪
長崎マリオットホテル、コートヤード・バイ・マリオット福井
2025 首都圏:JWマリオット・ホテル東京、フェアモント東京、キャプション by Hyatt 兜町 東京
関西圏:ウォルドーフ・アストリア大阪、パティナ大阪、カペラ京都、シャングリ・ラ京都二条城
インターコンチネンタル札幌
2026 ウォルドーフ・アストリア東京日本橋 ハイアット セントリック 札幌、キャノピーbyヒルトン沖縄宮古島リゾート、コンラッド名古屋
2028 ドーチェスター・コレクション -

出所:ホテル各社のプレスリリース、一部報道からJLL作成(開業予定を含む)

いわゆる“4大グループ”と呼ばれる外資系ホテル大手チェーンのみならず、センタラやカペラといった東南アジア系のホテルグループも日本へ初進出する等、一時的な“ブーム”では終わりそうもない気配が漂っている。

外資系ホテルが日本へ進出する理由

再開発の付加価値を向上させるために日本初進出の外資系ホテルを誘致する機運が高まっている

では、なぜ外資系ホテルの日本進出が増えているのだろうか。それは、ホテル誘致に関わる不動産オーナー、オペレーター、行政がそれぞれ下記のようなメリットを享受できるためだろう。

不動産オーナー ・再開発時に容積緩和
・開発プロジェクトの認知度
・ブランディング向上
ホテルオペレーター ・HMC契約での出店増によるフィー収益
・インバウンド急回復等の継続的な宿泊ニーズの拡大
行政 ・都市インフラの利便性向上
・インバウンド観光客の誘致
・国際的イベントの誘致
不動産オーナーのメリット


ホテル誘致に関するアドバイザリーサービスを提供しているJLL日本 ホテルズ&ホスピタリティ事業部 エグゼクティブヴァイスプレジデント ヘッド・オブ・アドバイザリー 大橋 蔵人は、外資系ホテルが日本へ進出する理由について次のように説明する。

大規模再開発の一部として「ビルインタイプ」でホテルを誘致することによって容積率が緩和されることが追い風になっている。大規模再開発を主導するデベロッパーや鉄道会社等がホテル開発に本腰を入れるようになった。そして、日本初進出の外資系ホテルを誘致することで再開発全体の認知度やブランディングが向上する等、再開発の付加価値を向上させるために日本初進出の外資系ホテルを誘致する機運が高まっている

オペレーターのメリット

多くのホテルオペレーターは宿泊需要の長期的成長が期待される日本市場を高く評価している。

2014年頃から本格化した政府の観光立国政策が奏功し、コロナ前の2019年における訪日客数は3,188万人に達した。コロナ禍による行動制限等によって訪日客数は激減したが、2022年10月に水際対策が大幅に緩和されたことで訪日客数の急回復。将来的に宿泊需要の拡大が見込まれており、日本は有望なマーケットとしてオペレーターを惹きつけている。

加えて、外資系ホテルならではの契約形態もオペレーターが出店を加速させる1つの要因になっている。外資系ホテルの出店形態は運営受託契約(ホテルマネジメント・コントラクト、以下HMC)が一般的だ。ホテルを保有するオーナーはホテル経営会社を設立し、内装造作物や什器、備品等を投資する一方、オペレーター側は運営ノウハウを有した人材を送り込み、実質的にホテル運営を統括する。オペレーターは出店時のコスト負担を抑えられ、出店機会が増えるほどフィー収益が積みあがるため、出店増につながっている。

行政のメリット

富裕層の日本観光を促すための受け皿として、世界共通の会員プログラムを持ち、訪日客の利便性が高い外資系高級ホテルの存在が欠かせない。また、国際会議等を誘致する上でも高級ホテルの充実度が都市機能を測る1つの指針となっており、都市の利便性やブランド価値を高めるために外資系ラグジュアリーホテルを誘致したいと考える自治体は少なくない。

しかし、収益を生み出しにくい付帯設備を必須とするラグジュアリーホテルはスタンドアローン型(1棟もののホテル)の新規開発では採算性が見込みにくく、なかなか供給が進まない。そのため、行政は容積率の緩和によってホテル開発を促している。

外資系ホテルを誘致するための注意点

誘致したい外資系ホテルのグレードに見合った開発計画を策定しなくてはならない

とはいえ、日本進出を目指す外資系ホテルが増えているからといって簡単に誘致できるとは限らない。そもそも日本ではホテルオペレーターが不動産オーナーと賃貸借契約を結び、ホテルを開業・運営するのが一般的だったため、大橋は「候補となるホテルオペレーターをいかに選定し、条件交渉等を経て最終的に契約合意に至るか、外資系ホテルを誘致するための交渉ノウハウを持っておらず、それゆえ誘致したくても躊躇する不動産オーナーは依然として少なくない」と指摘する。

「例えば、外資系ホテルの場合はブランド毎に細かく標準客室面積が規定され、ラグジュアリーであれば、原則、スペシャリティレストランやプールなどが求められるなど、開発の初期段階でそれらを見込んで開発計画を策定しなければならない」(大橋)

外資系ホテルの誘致活動を支援する「オペレーターセレクション」

そうした中、JLLでは外資系ホテルを誘致するための要件整理を行い、オーナー側に立ってオペレーターとの交渉締結までを支援する「ホテル会社選定契約交渉支援(オペレーターセレクション)」サービスを提供している。「ブルガリホテル東京」「フェアモント東京」の出店支援事例がその一例だ。

JLLが提供するオペレーターセレクション・サービスの一般的なプロセスは下記になる。どういったホテルを誘致するのか、要件整理から契約締結まで包括的にサポートする。
 

  1. ホテル会社選定条件整理
     

  2. 提出所提案依頼書(RFP)作成

  3. 候補者リストアップ

  4. 候補者打診

  5. 質疑応答対応

  6. 提案書受領・候補選定

  7. 基本合意書交渉・締結

  8. 契約書交渉・締結

大橋は「オーナー次第」と前置きしながらも、オペレーターセレクションにかかる一般的なHMCを前提にしたホテル誘致活動は本契約の締結に至る目安はおおよそ1年強かかるという。

具体的には、誘致したいホテル会社と、ホテルのグレードに見合った開発計画等の要件整理を行い、RFPを作成。要件に合致する応札候補者を選定し、候補者へ打診。候補者から提出された提案書を比較検討(ホテル運営時の収支予測やオペレーターが得るフィー比率等)し、各社の提案に対して評価を行う。オーナーは評価を参考に最終的に1社を選定し、基本合意書(独占交渉契約)を締結。基本合意書を締結した後、本契約の交渉・締結まで支援する。

大橋によると「HMCに馴染みのないオーナーは賃貸借契約を好む傾向が強いが、どうしても外資系ホテルを誘致するのが難しい。そのため、賃貸借契約とHMCの違いや、それぞれのメリット・デメリットを解説するレポーティング・サービスも提供する他、本契約交渉時には、オペレーターから提出されるHMCの内容を精査し、オーナーのリスクとなりえる条件等に対してのアドバイスの他、クライアントニーズに合わせて、オペレーターの興味打診や入札プロセスの実施、相対交渉、交渉支援等も行っている」という。

また、物件タイプもビルイン型の再規模再開発のみならず、リゾートホテルやサービスアパートメント、旅館、ライフスタイルホテル等、既存物件の契約更新・リブランド時まで対応する。

外資系ホテル誘致後の運営もオーナーの悩みに

HMCを締結した場合、オーナーの収益アップサイドが見込める代わりに、契約内容によっては不利益になる可能性も少なくない

一方、オペレーターセレクション・サービスを活用し、お目当ての外資系ホテルとの契約締結に成功したとしても、それがゴールではない。特にHMCを締結した場合、オーナーの収益アップサイドが見込める代わりに、契約内容によっては不利益になる可能性も少なくない。オーナーはホテルの収益リスクを負う一方で、その収益がどうな
るかはオペレーターのマネジメント能力に依拠している。

大橋は「例えば、オペレーターから予算に達しないホテルのパフォーマンス実績についてマーケット全体が悪いといった説明を受けても、近隣ホテルの運営状況を把握していないオーナー側はその売上や利益が妥当なのか判断がつかない等、オペレーターから言われるがまま、予算未達の実績を受入れざるを得ない」と指摘する。

また、HMCの場合、オーナーがホテル収益の最大化を優先したくとも、オペレーターはホテルブランドの価値が棄損することを恐れ、コスト削減などを拒否する可能性もありえる。

最終的に、オーナーがホテル運営に通じていないとオペレーターと建設的なやりとりすらできなくなるのだ。

外資系ホテルが好むHMCの解説記事を読む

そのため、外資系ホテルを誘致する際、オペレーターセレクション・サービスと共に、オーナーに代わって、オペレーターと対話し、ホテルのパフォーマンスと価値を最大化する「ホテルアセットマネージメント・サービス」について、JLLに問い合わせするオーナーが急増してきているという。

JLLは外資系ホテルに関するサービスを拡充

JLLでは全世界20カ国、約350名のホテル投資関連専門スタッフを配置し、グローバルネットワークを駆使してホテル不動産に対する多種多様なサービスを提供しています。日本では2000年6月にホテルズ&ホスピタリティ事業部を設立して以来、外資系ホテルの誘致をはじめ20年超の業務実績を積み上げてきました。2023年7月に開業した「センタラグランドホテル大阪」の開業準備支援等はその好例になります。

センタラグランドホテル大阪の事例記事を読む

ホテル不動産の開発検討段階におけるアドバイザリーレポート業務をはじめ、ホテル設計・開発・運営、売却・買収に関わる各種サポートなど、ホテル不動産における各種サービスをワンストップで提供、クライアントのニーズに合わせてフレキシブルに対応しています。JLLのホテル不動産サービスにご興味の方は下記をご覧ください。

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連絡先 大橋 蔵人

JLL日本 ホテルズ&ホスピタリティ事業部 エグゼクティブヴァイスプレジデント ヘッド オブ アドバイザリー

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