復活の号砲が鳴った“ミナミ”
コロナ禍の3年間、雌伏の時を過ごしてきた大阪屈指の繁華街“ミナミ”が復活を迎えつつある。外国人観光客数が急速に回復するなか、リテールとホテルセクターへの注目度が高まっている。
大阪を代表する商業地ミナミ(心斎橋・難波)は、地価公示が2020年、2021年と2年連続で全国トップの下落率になるなどコロナ禍の影響を日本一受けた街といっても過言ではない。コロナ禍の約3年間、極めて厳しい環境下が続いたが、ようやく待望の回復期が到来し、復活の号砲が鳴ったといえる。
データが示す外国人観光客数の回復
関西国際空港 国際線 外国人旅客数(国際線、通過旅客は含まない)の推移 出所:大阪出入国在留管理局関西空港支局
2023年1月の関西国際空港の外国人旅客数(国際線旅客)は75万人であった。コロナ禍以前の2020年1月の142万人に対して53%まで回復。一方、2022年12月の大阪府の外国人延べ宿泊者数は84万人、コロナ禍以前の2019年12月の141万人に対して60%まで回復した。
大阪府 延べ宿泊者数と客室稼働率 出所:宿泊旅行統計調査、観光庁、JLLのデータをもとにJLL作成 ※大阪府、客室稼働率は従業員数10名以上の施設
2022年6月に観光庁が外国人観光客の受入れ対応に関するガイドラインを策定し、同年9月に早くもガイドラインを改訂し、添乗員の同行を伴わないパッケージツアーの受入れが開始するなどの施策が大きく寄与した。予想以上の回復ペースといえよう。なお、2019年12月の日本人延べ宿泊者数は254万人だったが、2022年12月は287万人と113%に増加、外国人と日本人の合計でも94%まで回復している。
ミナミの人出が明らかに増加
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コロナ禍が収束に向かうにつれて再びミナミに多くの旅行者が訪れるのは必然であるが、この回復のスピードは現地にいなければ体感できない
旅行者に人気のあるミナミや大阪城などの人出は、明らかに変化している。2022年の後半からキャリーケースを引く旅行者が増えてきたことは実感できた。昨秋の段階では国内旅行者が増えた印象が強かったが、年末に向けて日増しに外国人旅行者が増え、2023年に入ってからはコロナ禍以前を思い起こさせるような外国人旅行者の賑わいがみられている。
もともとコロナ禍は大阪の魅力を低下させたわけではなく、コロナ禍が収束に向かうにつれて再びミナミに多くの旅行者が訪れるのは必然であるが、この回復のスピードは現地にいなければ体感できない。大阪は2025年に大阪・関西万博などのイベントも控えており、コロナ禍以前の姿に戻るにとどまらず、コロナ禍以前を上回る成長期待もある。国内外の旅行者が大阪に来て、大阪を代表する繁華街ミナミに立ち寄らない選択は無いに等しい。
投資機会
注目されるリテールとホテル
商都大阪においてリテールやホテルはホットなセクターである。ミナミの復活の号砲はすでに鳴っている。大阪での投資機会を検討する投資家が、本格的な回復を待ってから投資を検討しようと考えているのであれば、投資を実現することは困難である。いかに早期に投資を決断するかが鍵となろう。
連絡先 山口 武
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