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「ヒト」を重視するこれからのファシリティマネジメントとは?

リモートワーク、サテライトオフィス . . . 働き方が目紛しく変化する中、ワークプレイスの在り方が再定義されている。そしてその価値を引き出すファシリティマネジメントが今後さらに必要不可欠な存在となる。コスト改善や業務効率化だけではなく、ヒトの体験を重視し、時代に適応させていくこれからのファシリティマネジメントについて解説する。

2020年 07月 14日

これから求められる「ファシリティマネジメント 」の定義とは?

多様な働き方が認められるようになり、従来のオフィスで同じ時間に同じ場所で働くという概念がアップデートされ、「働く場所」はより広義に捉えられ「ワークプレイス」へと変化した。同じ時間に同じ場所で働くという概念が変化してきたからこそ「ワークプレイス」でのコミュニケーションを活性化させ、従業員のモチベーションを引き出すことがますます重要になってくる。また、リモートワークやサテライトオフィスの導入が進むに伴い、オフィス機能が分散することによるコスト改善も課題となる。ワークプレイスの最適化による継続的かつ根本的なコスト削減も急務となる中で、企業の目標を戦略的にまとめ、従業員や顧客といったいわゆる「ヒト」の体験を向上させ、優れた体験を提供する「ヒューマン・エクスペリエンス」を重視していくことが欠かせないポイントとなる。

ヒューマン・エクスペリエンスを最適化させるテクノロジーソリューション

ワークプレイスを最適化しヒトの体験を最大化させる不動産テクノロジー

リモートワークやサテライトオフィス導入によるオフィスの分散・効率化を進める企業にとっては、その環境に対応できるITインフラや、リモートでもオフィスや施設のデータを管理できるシステム構築など、テクノロジー化がさらに進んでいる。その中でも、次世代を担うテクノロジーソリューションが課題に合わせて生み出されており、ファシリティマネジメントがそれらを用いてワークプレイス最適化を実践していくことが求められている。

具体例として、様々なセンサーを用いて着席状況や会議室の利用率など、オフィススペースのデータを可視化し、今後のスペース利用の最適化を行い、ヒトの体験を改善し、最大化させる「IoTアナリティクスが挙げられる。その他にも、ワークプレイス管理テクノロジーを用いることでスペース、リノベーション、移転、メンテナンスなど、ヒトのエクスペリエンスの管理を改善し、全ての従業員に理想的なワークプレイス体験を提供できるようにするシステム「FM:Systems(FMシステムズ)」、ディープラーニングセンサーを用いて、デスクの利用率や社員の動向などを計測し、ワークプレイス環境最適化のサポートをする「Vergesense(ヴァージセンス)」などテクノロジーによるファシリティマネジメントのアップデートの時がもうすぐそこまで来ているのだ。

ファシリティマネジメントとESGの関係性

見えない価値・ESGの視点を取り入れた経営資源の最適化

事業用不動産の投資を判断する上での評価項目として重要度が増しているESG投資。「環境(Environment)」、「社会(Social)」、「企業統治(Governance)」の3つの観点で長期的成長を促す重要要素と位置付ける考え方だ。これまで投資は、企業の業績や財務状況など定量的な情報のもとに投資判断がなされてきたが、企業や投資家に対して社会的意義のあるこのESGの要素を加えて判断されるようになりつつある。「環境問題の改善への取り組み」「従業員への配慮」が具体的な取り組み内容として挙げられるが、ファシリティマネジメントがこれらの課題に対し、十分に機能、そして貢献していくことが今後さらに求められる。

企業のファシリティマネジメントに対する意識

では、企業のファシリティマネジメントに対する意識や関心レベルはどうなのだろうか?オフィス改革等に関する調査を行ったJLLx日経BPコンサルティングx東洋経済 のレポートによると、「関心があるテーマ」の設問で「総務業務に関するコンサルティング(業務効率化、コスト改善など)」を挙げた企業が1位となった。また「オフィス移転の目的」の質問では「社員の労働環境の改善」を目的としている企業が35.6%で1位となっている。

コスト削減や業務効率化だけでなく、従業員の労働環境を改善し、一人ひとりの満足度を向上させることで雇用の定着率を引き上げるという、長期的な戦略を担うファシリティマネジメントは、ヒトの体験 = ヒューマン・エクスペリエンスを最適化する上で、企業の中でなくてはならない存在として認識され始めているのだ。 

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