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アフターコロナ時代のオフィスビルの条件とは?

衛生環境、テクノロジーの導入、脱炭素化等、オフィスビルを取り巻く環境は日々変化している。その変化を俊敏に捉え「選ばれるオフィスビル」になるためには、アフターコロナ時代を見据えた需要をもとにアップデートすることが要となる。

2021年 04月 19日
オフィスビルが果たす役割とは?

オフィスビルはテナントや投資家、そして建物オーナー等、様々な立場の関係者で成り立っているからこそ、それぞれの視点を持つことが重要であり、そこから多種多様な役割が見えてくる。オフィスビルはコロナによってその役割が明確になったともいえる。

例えば、建物やワークスペースが安全かつレジリエントである体制を確保することがテナントへの役割として挙げられる。パンデミックの脅威を経験し、目に見えないウイルス感染に対する不安により、他者との距離感がコロナ前と比べて変化したことは確かだ。ここでオフィスビル側は、ソーシャルディスタンスが維持できるような物理的スペースを確保することが必要となる。このような機敏な対応を講じるオフィスビルはテナントにとっても安心できる存在となる。その他にも、従業員やテナント、ビジターの健康やウェルネスを尊重し、「人間の健康」視点でビルやオフィスを認証するWELLビル基準の評価をアップデートする等、様々な対応策がある。テナントへの役割を理解し、オフィスビルの価値を最大化させ持続可能にしていくには迅速な対応がさらに求められるだろう。

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今まで以上にオフィスビルという環境は、個人を繋ぐ流動的な交流拠点として捉えられる

オフィスビル需要の変化

新型コロナウイルス感染拡大の影響による社会環境、企業環境の変容に適応し、オフィスビルの需要も変化している。オフィスビル需要の要素として挙げられるのが、モビリティ、フレキシビリティ、アジリティだ。これらは時代を象徴するトピックともいえる。コワーキングスペース、シェアスペース、フレキシブルスペースタイプのオフィスへの関心が高まっていることから、今まで以上にオフィスビルという環境は、個人を繋ぐ流動的な交流拠点として捉えられるようになると考えられる。需要の急速な変化を根底から支え、テナントとのリレーションを構築するためにも強固なオフィスビル管理・運営が必須となるだろう。2つ目の要素は、テクノロジーだ。昨今注目されているスマートビルは、管理・運営の効率化だけでなく、省エネ化による環境問題というトレンドトピックにも適応している。様々なテクノロジーアプリケーションがオフィスビルへ取り入れられている中、不動産テックの需要も大きく伸びてきている。IoT技術を活用したセンサーで照明、温度、換気、空気濾過、清掃等の状況を可視化し「ビルの健康」のモニタリングを拡大するというアフターコロナに備えた未来のソリューションを活用したオフィスビルの実現に繋げたいという意図があることが予想できる。

 

アフターコロナで欠かせないオフィスビルの要素とは?

予測不可能な出来事に柔軟かつ機敏に対応するビル管理者の手腕が今後ますます問われる

「衛生環境」づくりへの徹底対策

JLLが発表したオフィスビルに関するテナントサーベイでは「今後のオフィスビル運営でのウイルス対策を重視するか」という質問に対し、約90%弱が重視すると回答<した。新型コロナウイルス感染拡大により、利用環境が定期的に清掃・消毒されているのか、また、ソーシャルディスタンス等の新しい常識への対策が講じられているのか、というポイントを優先的に考慮するというテナントの意図がこのアンケート調査から読み解くことができる。

環境に対応した強固なビル管理

予期せぬ緊急事態によるビル閉鎖等の迅速な対応で、ビル管理者の存在の大きさに気づいたテナントも多いのではないだろうか。コロナ感染者がもし出てしまった際の対応やソーシャルディスタンス対策をどのように周知させるのか等、パンデミックを通して管理・運営の重要性が高まった。予測不可能な出来事に柔軟かつ機敏に対応するビル管理者の手腕が今後ますます問われると考えられる。

環境を考えた脱炭素化等によるグリーンビルディング

昨今ESG不動産投資が注目を集めており、深刻化する地球温暖化等の危機に応えていくための動きが活発になってきていることが大きく影響している。それに伴い、温暖化要因の1つである二酸化炭素を排出するオフィスビルの”脱酸素化”を宣言する企業も増えており、グリーンビルディングを意識するテナントの需要の高まりが垣間見える。このような環境に配慮した対策を講じていくには、テクノロジーを活用したスマートビルの存在も欠かせない。様々な背景によりオフィスビルの需要傾向が変化していることについて敏感に察知していくことが必要不可欠となる。

オフィスビルは働く環境を形成する基盤となるからこそ、ヒトの行動変容や社会環境の変化に敏感にならなければならない。テナントが安心できるようなオフィス環境を構築し、より強固なテナントリレーションを築いていくことが、この激動の時代を生き抜く鍵となるだろう。

オフィスビルのパフォーマンスを向上させる

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