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アフターコロナの「ニューノーマルな働き方」を加速させるDX

過去の当たり前が現代に通用しない程、時代の変化のスピードは加速しており、数年前は想像もつかなかった「ニューノーマルな働き方」というキーワードがこれを体現している。個人の多様性に適応した働き方が理想とされ始めた昨今。この変化を推し進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)とニューノーマルな働き方について解説する。

2021年 03月 19日
ニューノーマルな働き方とは?

決まった時間にオフィスに出勤し、決まった固定席で業務を遂行することが当たり前だった従来の働き方。それに対し、現代のニューノーマルな働き方とは、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点からオフィス出勤を避けたリモートワーク等のデジタルを活用した非対面型での働き方を指す

ニューノーマルな働き方の中には、サテライトオフィス勤務やオフィスと在宅出勤を組み合わせたハイブリッドな働き方、フルリモートワークなど、柔軟かつ多様な選択肢が増え始めている。これらは新型コロナウイルスの影響も大きいが、働き方改革の観点から、個性の多様化に適応した働き方の選択肢の追加、そして従業員のニーズがマッチしていることも要因として挙げられる。ニューノーマルな働き方は、本質的な課題への取り組みをさらに加速させる、良い機会となっている。また、ニューノーマル時代においてデジタルを活用した生活様式や働き方を「デジタル・ニューノーマル」と呼ばれていることから、デジタルがもたらす影響は大きいと考えられる。

オフィスワーカーの現状から読み解くニューノーマルな働き方の課題

日本では38%、グローバルでは49%が在宅勤務で心理的負担を背負っているというデータが確認できた

ニューノーマルな働き方の代名詞ともいえる在宅勤務。JLLが発表したオフィスワーカーへの調査レポートによると、日本では64%、アジア太平洋地域では68%のオフィスワーカーが在宅勤務を経験した。その中で、オフィスよりも在宅勤務の生産性が高い働きができたと回答したのは17%となり、何らかの原因でオフィスワーカーの生産性が低下しているということがデータから読み取れる。その原因要素となる心理的状態についての調査で、日本では38%、グローバルでは49%が在宅勤務で心理的負担を背負っているというデータが確認できた。オンラインでのコミュニケーションが当たり前となったニューノーマルの働き方で、個人が不安感を抱えている傾向にあるのはいうまでもなく、アフターコロナを見据えた対応が企業には求められている。

 

ニューノーマルな働き方の要素となる”ハイブリッドスタイル”とは?

ニューノーマルなオフィスの価値を再定義したワークスタイル

オフィスワーカーの現状から読み取れるのは、在宅勤務を継続しつつ、オフィス出社を増やし、さらには第3のオフィスとなるサテライトオフィスでの勤務も可能な、選択肢のあるハイブリッドスタイルが理想となるのではないだろうか。このハイブリッドスタイルを実現させるには、デジタルを活用しながらヒトの体験をバランス良く統合させていくことが不可欠となる。では、ハイブリッドであるニューノーマルな働き方にはどのようなオフィス戦略が必要となるのだろうか。

 

ニューノーマルな働き方に適応したオフィス戦略

現状課題から導く鍵となるオフィスという働く場。JLLの調査では「オフィスでフルタイム勤務したい」という日本での回答は52%、「オフィスと在宅勤務のハイブリッドなスタイルを希望」は38%というデータが確認でき、日本のオフィスワーカーのオフィス回帰を望む意欲の高さが垣間見えた。従来とは異なるニューノーマル時代であるからこそ、オフィスという働く場もアップデートしていくことが必要だ。これからの働き方に根差したオフィス戦略は、従業員が求めるワークスタイルの要素を掘り下げたところにあり、DXは企業にとって俊敏に取り組むべき課題でもあると考える。

 


JLLリサーチ「新型コロナウイルスがオフィスワーカーに与えた影響に関するサーベイレポートvol.3」から抜粋

 

DXが導くニューノーマル時代の働き方

DX推進がなければニューノーマルな働き方は実現しない、といっても過言ではない程、様々な業務の効率化や非対面型での仕事はデジタル技術の恩恵を受けて成立している。時間を要する従来の会議も今では、パソコンなどのデバイスを介し、自宅や本社オフィスから離れた自宅近くのサテライトオフィス、もしくはワーケーションで滞在中のホテルから、場所に関係なくどこからでも参加が可能な新しい様式へと変化した。これらの進化は全て、デジタル技術を用いたDXがなければ実現しない。昨今においては、デジタル上でコミュニケーションの質を高めるために、様々な工夫がなされた会議用のデジタルツールが開発されるなど、近未来のニューノーマルな働き方へ向けたDXによる進化の勢いは止まらない。 

ワークプレイスへテクノロジーを活用する

 

ニューノーマル時代の要、DX実現による働き方と効果

ヒトとデジタル、両方の特徴を活かした進化が、ニューノーマル時代働き方改革の鍵を握る

最新テクノロジーの活用による安全衛生の確保

DXを紐解くと、資料データでのやり取りや保管等、業務プロセスで活用されるクラウド型のツールと、自動で清掃を行う清掃ロボットのようなAl、IoT、ビッグデータ等、様々な最新のテクノロジー技術の活用ケースが挙げられる。JLLが発表した自社管理オフィスの入居テナントに対してアンケート調査結果では「オフィスビルに求める要素」の回答として「衛生環境」がコロナ前5位から、コロナ後は1位となった。従業員の健康を守るための安全衛生の確保という企業意識が、新型コロナウイルスの感染拡大によって高まったと見られる。このようなニーズに適応し、人的資源を確保しながら遂行するにはDXが無ければ実現しない。IoT技術を駆使し、リアルタイムでオフィス環境の温度や湿度をセンサーで集積・分析・最適化を図るIoTアナリティクス衛生管理向上や人手不足解消という課題を解決する業務用AI清掃ロボットといった最新テクノロジーの活用により、ニューノーマル時代の働く環境は進歩を遂げている。今まで想像もつかなった未来がすぐそこまできており、近未来のニューノーマル時代に向け、迅速に対応することが求められているのだ。

デジタルワークプレイスによる生産性の向上

仕事の業務を一つのプラットフォームに集約するデジタルワークプレイスはDX実現に必要不可欠であり、ニューノーマルな働き方において欠かせないインフラとして役割を果たす。デジタルワークプレイスにより不要なプロセスが削ぎ落とされ、時間を費やす資料作成等の作業はデジタル化、結果として生産性の向上という効果に繋がっているのは確かな事実だ。しかし、現状の課題として浮き彫りになったのが、ヒト同士のコミュニケーションだ。JLLが世界のアジア太平洋地域を対象として実施したアンケート調査では、68%の従業員が在宅勤務を体験し、そのうち61%がオフィスに戻りたいと回答。多く挙げられた理由が「オフィスでの対面のコミュニケーションやコラボレーション」という内容であった。DXによる不要なプロセスが削ぎ落とされる中で、雑談等による偶発的なコミュニケーションが希薄となってしまうことが要因の一つとなる。ニューノーマル時代ではこのような課題を考慮し、ヒトとデジタル、両方の特徴を活かした進化が、これからのアップデートされた”働き方改革”の鍵を握る

様々な背景や現状から成り立つニューノーマル時代の働き方。アフターコロナのニューノーマルは、今と違った新しい考え方が浸透している可能性も大いにある。激変の時代を生き抜く上で、デジタルとヒト視点の考え方は、これからのニューノーマルな働き方の軸となる意義深い要素といえるだろう。

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