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【みんなのマーケット】オフィスで猫と一緒に働くメリットとは?

日本のオフィス市場において「ペット可」の賃借オフィスは皆無とされるなか、生活に特化したマーケットプレイスの運営企業、みんなのマーケットは渋谷の本社オフィスで猫2匹を飼育している稀有な存在です。猫と一緒に働くことでどのようなメリットがあるのでしょうか?

2024年 06月 20日

コロナ禍で在宅勤務を強いられた従業員が心理的な癒しを求めてペットを飼育するケースが世界的なトレンドになったそうですが、欧米企業はオフィス回帰を推進するために「ペット同伴出勤」や「ペット飼育可能なオフィスづくり」を進めるようになりました。

一方、日本のオフィス市場では「ペット可」物件が皆無であり、ペットと一緒にオフィスに同伴出勤したり、働いている企業は非常に珍しいのが現状です。そうしたなか、本稿では、賃借オフィスで猫2匹を飼育しているIT企業にインタビューを行い、猫と一緒に働く魅力などについてうかがいました。

猫と一緒にオフィスで働くIT企業「みんなのマーケット」

「私が入社するずいぶん前から在籍する“大先輩”。なので『さん』づけで呼ばないといけないですね」

こう語るのは、生活関連のサービスに特化したプラットフォーム「くらしのマーケット」を開発・運営しているIT企業、みんなのマーケット株式会社 コーポレート本部に所属する中野さんです。

2011年にサービスを開始した「くらしのマーケット」はリフォームや引っ越し、庭木の剪定、出張カメラマンなど、生活に関わる多種多様なサービスを提供する“インターネット商店街”。オンラインで予約することが可能で、口コミや料金で比較しやすく、その利便性の高さから2021年12月時点で累計作業数200万件を突破。2024年1月には登録出店者数90,000店超、サービスの種類は400以上に拡充しています。

そんな人気プラットフォームを運営するIT企業の創業期を知るメンバーとなると、どんな大物かと思いきや、その正体は2匹の猫なのでした。

そう、みんなのマーケットはオフィスで猫を飼育している企業として愛猫家の間では知られた存在なのです。

猫の名前は、IT企業らしくプログラミング言語を由来とする「シー(メス)」と「ジャンゴ(オス)」。共に2013年生まれの10歳になります。

中野さんによると、2匹がオフィスにやってきたのは2013年12月に遡るとのこと。同社のCTO(最高技術責任者)の秋田県にある実家近くで6匹の子猫が保護されたことを知り、そのうちの2匹をオフィスで引き取ったといいます(1匹は同社のCEO(代表取締役)の実家へ、他3匹は地元で引き取り手がみつかりました!)。

「当時のオフィスはペットを飼育可能で、メンバー全員が動物好き。以前からオフィスでペットを飼いたいと話をしていたそうです」(中野さん)

以来、2匹の猫は現在まで同社のオフィスで生活してきました。

オフィスが住処

猫たちは自由に席を選択できるフリーアドレスのメリットを最大限享受している

コロナ禍を受けて、それまで東京都品川区に構えていたオフィスを解約し、フルリモートに切り替え、2匹の猫は同社CEOの実家に身を寄せていました。その後、コロナが収束に向かったことでオフィスを再開することに。オフィス出社とリモートワークを組み合わせたハイブリッドワーク制度を採用するなか、出社人数に見合ったオフィスを構築することになりました。

現在のオフィスは東京・渋谷の賃貸オフィスビル「渋谷プレイス」10階に位置しており、2021年1月から稼働しています。

スタッフのコミュニケーションを阻害しないようにワンフロアに集約し、執務席は固定席(一部フリーアドレス)としています。オフィス内を一望できるように背の高い什器などはありません。また、福利厚生の一環で、オフィスの一角にダンベルなどでトレーニングができるスペースを設けており、昼休みなどでは筋トレに励むスタッフも少なくないそうです。

2匹の猫はスタッフが家へ連れてかえることはなく、オフィスが住処。その過ごし方について、中野さんは「まさに猫まかせ。本当に自由気ままです」と微笑みます。

オフィス内を悠々自適に闊歩しているかと思えば、突然デスクの上に飛び乗りPC画面をのぞき込んでスタッフに“圧”をかけてきたり、ミーティングから戻ってくると座席を占拠されていることも日常茶飯事だとか。猫たちは自由に席を選択できるフリーアドレスのメリットを最大限享受しているようです。

また、スタッフが働いている時間はオフィス内を自由に移動することができるのですが、夜間は無人警備システムを稼働させる目的もあり、執務スペースから独立したミーティングルーム限定で過ごせるようにしています。
 

猫がオフィスにいることで様々なメリットがある

オフィスで猫を飼うことに対して、どのように感じているのでしょうか? 中野さんは次のようなメリットを挙げています。

  • 社内コミュニケーションが活性化

  • 猫と接することで、スタッフの精神的な癒しになっている

  • 来客時に猫が話題となり、アイスブレイクになる

  • 「猫と一緒に働くことができる会社」として採用活動に寄与

  • メディアの取材が増え、PR活動に貢献

  • マスコットキャラクターとして動画配信しブランディングに繋がる
     

実は、中野さん自身も猫と一緒に働きたいと考え、3年前にみんなのマーケットに就職したのだといいます。こういった“猫好き”スタッフも少なくありません。

猫と一緒に働くことができるオフィスは希少

自身も保護猫を飼育し、コンサルタントとして外資系企業のオフィス戦略を支援しているJLL日本 オフィス リーシング アドバイザリー事業部 マネージャー 山本 聖梨奈によると「そもそもペット飼育を許容しているオフィスビル自体が珍しい」といいますが、みんなのマーケットも移転を検討するたびに、猫を受け入れてくれるオフィスを探すのに苦労しているそうです。

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オーナーとの交渉の末、何とか許可を得ることができているそうですが、山本は「他のテナントへの影響や、専有部内の猫によるひっかき傷などを懸念するオーナー・管理会社は非常に多いのが現状。また、オフィスに猫を連れてくるのはまだしも、常時オフィス内で飼育することを許容するケースはさらに難しい」と、オフィスで猫を飼育するには高いハードルがあることを指摘します。

「先進的なワークプレイス戦略や働き方を採用していることが多い外資系企業は、その資金力でオフィスビル1棟を賃借し、ペットと共生できるオフィス環境を整備することがありますが、そこまで投資するのは多くの企業にとって難しいと思われます。そのため、オーナーや管理会社に対してリスク対策を示すことが第一歩になるのではないでしょうか」(山本)

最近では、ペットの飼育を前提としたペットフレンドリーなセットアップオフィスが登場するようになりましたが、日本のオフィスで自由に猫が過ごせる世の中になるのか、今後に注目したいと思います。

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