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【イベントレポート】ホテル業界の次世代向けイベント「NextGen」開催

2024年5月、JLLはホテル業界の次世代を担う若手の交流を目的とした招待制交流イベント「NextGen」を開催しました。当イベントにおいて行われたパネルディスカッションの模様をレポートします。

2024年 06月 19日
ホテル業界の次世代を担う若手が多数参加する交流イベントを開催

JLL日本 ホテルズ&ホスピタリティ事業部は2024年5月30日、ホテル業界の活性化を目的にしたイベント「NextGen」を開催しました。

同イベントはその名が示す通り、ホテル業界を牽引することが期待される「Next Generation(次世代)」の若手人材の育成・情報交換などを目的にしたセミナー型交流イベントです。

アジア太平洋地区ではオーストラリア、タイ、シンガポールで開催実績があり、日本では2023年9月の初開催時に参加者から大好評をいただいたことから、2回目となる本イベントを開催することになりました。

ホテル開発における環境配慮と社会貢献

ESG(環境・社会・企業統治)の価値観を重視する意識が消費者の中で高まる中、宿泊者に選ばれるための施設づくり…ホテル開発における差別化戦略が求められている

ESG(環境・社会・企業統治)の価値観を重視する意識が消費者の中で高まる中、インバウンドの急回復などを背景に再び活況に転じた日本のホテルマーケット。宿泊者に選ばれるための施設づくり…ホテル開発における差別化戦略が求められています。

パネルディスカッションでは「環境と社会に配慮したホテル開発の現在と今後」をテーマに、竹中工務店 大阪本店 設計部 スペースデザイン部門 インテリアグループ長 黒栁 亮氏と、JLL日本 エナジー&サステナビリティサービス事業部長 松本 仁が登壇。現在及び今後のホテル開発における環境配慮と社会貢献について議論しました。

下記よりパネルディスカッションの一部をレポートします。

デザインだけでは語れないホテル開発の今

デザインだけではない総合的な魅力創出…環境配慮や地域連携など、付加価値の提供を含めた総合的なプロデュース力こそが、今後のホテル開発において鍵となる

竹中工務店 設計部 黒栁 亮氏

黒栁氏は、ホテル開発の課題として建築費・人件費の高騰や長時間労働の是正を目的とした「2024年問題」について言及。プロジェクトスキームそのものを見直すレベルの業務効率化と、選ばれるための魅力の創出、その効果の最大化の両立が求められる時代に突入したとの所見を述べました。

また、建設における環境負荷低減は「スタンダードなミッション」と位置づけ「ESGの観点も含めた上で総合的な魅力を生み出せるかが問われています。例えば、企画時点から環境負荷低減を建築計画に盛り込んだり、再生素材からつくられた建材や家具の活用などにより、環境負荷低減を可視化し宿泊客へのダイレクトアピールも必要」と提言します。

こうした背景を踏まえて、黒栁氏は今後のホテル開発に必要な視点として「ホテルはデザインだけでは語れない時代になってきた」と指摘。そうした時代を勝ち抜くために、1つの施策として立地場所のポテンシャルを最大限に活かすことをアドバイスします。

黒栁氏が直近で手掛けたプロジェクトには、地域の伝統産業と連携し、その土地ならではの「モノづくり」を体感できるというホテル開発事例があります。ホテル開発に地域の人々が顔を出して参画するというスキームが重要であり、ギャラリーや茶室といった「伝える場、体験の場」を設けることで、ホテルが情報発信拠点となり、宿泊客と地域が繋がるためのハブとして機能することを目指しているそうです。

「デザインが良いのは勿論であるが、今後はそれだけでは選ばれない。環境配慮、地域連携を含め、それぞれのホテルならではの独自の付加価値をいかに「体験」として提供するかを考える必要があります。プロジェクト上流でのプロデュース力が今後のホテル開発において最も重要ではないでしょうか」(黒栁氏)

ホテル開発の早期段階で環境配慮を検討すべき

見た目だけでなく、性能も含めた全体的なホテルの発展を視野に環境対策を進めていくべき

JLL日本 エナジー&サステナビリティ事業部長 松本 仁

不動産セクターの中でもエネルギー消費量が膨大なホテル業界において環境配慮の重要性は高まり続けています。不動産のサステナビリティ戦略において数多くのクライアントを支援してきた松本は「環境配慮は『やれば何か得することがある』ではなく『当たり前のようにやらなければならないこと』になりました」と指摘します。

そうした中、松本は「ホテル開発の早期段階で環境配慮も検討するべき」との見解を示します。象徴的なのはグリーンビルディング認証の取得だといいます。

例えば、窓を小さくすれば熱の出入りを抑制でき、空調負荷が低下しますが、屋外への眺望への配慮が疎かになります。LEEDの高ランクを取得するためには敷地選定から計画的にプロジェクトを進めていく必要があります。これら環境配慮の要素をバランスよく設計仕様に散りばめていくことが肝要です。

「LEEDやWELLにはそれぞれガイドブックが存在し、なぜそれを行うべきか、学術的な根拠が示されています。それらをきちんと読み解いていくことで認証取得を達成し、いかに環境や健康に配慮した空間を形成するかを知ることができます。ホテル開発において設計段階の設備構築・更新コンセプトが非常に重要になります。見た目だけでなく、性能も含めた全体的なホテルの発展を視野に環境対策を進めていくべきでしょう」(松本)

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まとめ

今回のパネルディスカッションを通じて、これまでデザインの優劣で評価されてきたホテル業界において価値観が変化しているように感じられました。環境配慮や地域社会とのつながりはホテルの魅力向上にも寄与します。

そして、このような差別化戦略を実現するためには、ホテル開発の初期段階からプロデュース力を発揮していくことが何よりも重要であることがわかりました。

今回のパネルディスカッション終了後、登壇者とセミナー聴講者が懇親会に積極的に参加し、情報交換など交流の場として大いに盛り上がりました。

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