「働く場」の価値を最大化するオフィスレイアウトに必要なポイント
オフィスレイアウトは「働く場」を形成する上で重要な要素の一つであると共に、レイアウトデザインによって働き方の生産性も大きく変わってくる。長期的な視点で価値を生み出し最大化させるには、オフィスレイアウトを考えるプロセスで欠かせないポイントが存在する。
なぜ今、オフィスレイアウトの見直しが必要なのか?
時代の変化と共にヒトの暮らしや働き方、働く場であるオフィスも大きく進化を遂げた。ヒトとオフィスには深い繋がりがあるからこそヒューマン・エクスペリエンスを重視した場づくりが不可欠であり、オフィスレイアウトの見直しやアップデートは企業内のモチベーションアップに大きく寄与すると考えられる。
JLLが従業員数1,000人以上の国内企業を中心とした経営層を対象に実施したアンケート調査でwith/afterコロナの働き方を実現するために、既存オフィスの見直し(レイアウト・改修など)が必要だと考えている経営層が46.8%というデータが確認できた。背景には、新型コロナウイルス感染拡大によるニューノーマルな働き方へのシフトという大きな転換期を迎えていることが挙げられる。この転機を敏感に感じ取る企業の経営層が、オフィスレイアウトの見直しを、オフィス戦略をアップデートするためのアクションプランの1つとして考えていることがうかがえる。コミュニケーションの活性化や企業とのエンゲージメントの醸成に寄与するオフィスレイアウトの見直しを効果的に行い、従業員の満足度を高め、長期的な企業戦略の強化が今、必要なのではないだろうか。
戦略的なオフィスコンセプトの策定は、効果的なオフィスレイアウトを考える上で重要なポイントとなる。
効果を生み出すオフィスレイアウトに欠かせない3つのポイントとは?
目的に沿ったオフィスコンセプト作り
オフィスレイアウトは、従業員がどのような働き方を実現できるのか、など目的を設定することで効果が大きく変わってくる。目的を達成するために戦略的なオフィスコンセプトを策定することにより、オフィスレイアウトが果たす具体的な役割や機能が明確になるだけでなく、組織内全体の働き方の再認識に繋がり、個々の意識的な改革にも繋がっていく。そういった視点でもコンセプト作りは効果的なオフィスレイアウトを考える上で重要なポイントとなるのだ。
デジタルを活用した既存オフィススペースの最適化
オフィスレイアウトを見直す場合、重要なポイントとなるのが、既存のオフィススペースの使用率可視化による最適化だ。従業員の行動パターンデータを参考にすれば、不要なスペースの最適化やコミュニケーションを促すためのレウアウトデザインが可能となる。このプロセスでは既存のスペース使用率のデータから現状の課題を見つけ、問題解決のための仮説を立て、オフィスコンセプト策定プロセスへ活かすなど、具体的なデータから導き出すことができる可能性が大いに秘められている。
一貫したコンセプトが組み込まれたオフィスレイアウト・デザイン
機能的な要素をオフィスレイアウトへ組み込むことは必然的であるが、視覚的なデザインを考慮することも重要なポイントだ。オフィスデザインは企業ブランドイメージに直結するといっても過言ではないからこそ、オフィスコンセプトの要素を取り入れた一貫性のあるデザインが欠かせない。働き方改革を念頭にオフィス戦略を体現し、企業ブランドに沿ったオフィスレイアウト・デザインのリノベーションを実施する事例では、ブランドの世界観を体現したブランドブースの開設や、企業理念やビジョンを取り入れたデザインによりオフィスという空間から社内で意識を共有しモチベーションを向上させるなど、オフィスを通して社内外でのブランディングに成功している。オフィスレイアウト・デザインを戦略的に企てることは多角的な効果が生まれ、結果的に企業価値向上にも寄与する。働く場の価値が問われている今の時代だからこそ、オフィスへの取り組みを企業から発信していくことが肝心となる。
オフィスレイアウト・デザイントレンド
オフィスレイアウトは、ヒトが求める働き方を表しており、それに伴い時代のトレンドも生まれる。例として挙げられるABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)のコンセプトを取り入れたオフィスレイアウト・デザインは現代の働き方を象徴し、これからの働き方改革を本質的に後押しするともいわれている。DXによる生産性の向上、場所や時間を自由に選択して働けるニューノーマルな時代だからこそ、ヒトの温かみを重視するオフィスのコンセプトやデザインがますます重要視されているのだ。
オフィスレイアウトを考える上で欠かせないポイントは、企業の考え方や戦略、ブランドなど企業の特色を活かし、現状の課題や従業員へのモチベーション向上のためのプロセスへ取り入れ、組織全体の循環に繋げていくことではないだろうか。時代の転換期に直面しているからこそ、企業の個性を活かし、従業員の働き方の意識改革へと繋げ、柔軟に対応していくことが要となってくるだろう。