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ABWによるアフターコロナの働き方改革

ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)は働き方を改善する上で欠かせない要素として、オフィスのコンセプトなどへ取り入れられている。アフターコロナという近い未来の働き方改革を模索していく中で重要な役割を果たすABWについて解説する。

2021年 01月 20日

今、ABWが求められる理由

 

ABWの考え方は働き方改革関連法の施行により、生産性の最大化を目的にオフィスや組織改善を進める企業によって少なからず取り入れられていたが、当時ABWを理解していたオフィスワーカーは果たしてどのくらいいただろうか? ”あたりまえの働き方”が定着していた中で、政府の重要政策という外的なきっかけにより働き方に対する問いを持ち始めたが、当時の常識に縛られ「自分らしい働き方」という考えに至らなかったオフィスワーカーは少なくないはずだ。そして、その問いがより身近なものとなったのは、新型コロナウイルスの感染拡大によりニューノーマルな働き方へとシフトされたタイミングである。感染拡大防止のためのソーシャルディスタンス戦略を取り入れたオフィスデザインなど、安全衛生が最優先され、分散型のオフィス運営やリモートワークの活用により必要最低限かつ本質的な要素を持つ働き方が重要視された。毎日決まった時間にオフィスへ出社し、決まったデスクで業務を遂行するという、従来の”あたりまえ”が失われつつあるニューノーマル時代の今、改めて問われる「自分らしい働き方」に適応する考え方がABWではないだろうか。数年前、海外ではオーストラリアがABWの働き方の採用率で先行していたが、日本もこのタイミングでアフターコロナへ向け、ABWの考え方を取り入れ、本質的な働き方改革を実施していくことが激動の時代を生き抜く鍵となるのではないだろうか。

 

ABWのコンセプトを取り入れる上で必要な”ヒト”を中心とする戦略プロセス

では実際、従業員の働き方を改善し、企業全体の効果に繋げていくには、ABWをどのように取り入れることが必要なのだろうか?昨今ABW型オフィスへリノベーションを行う企業が増えてきている。このような企業は、働き方の変化により「自分らしく働く」ための選択肢を優先させ、従業員の自主性を促し、コミュニケーションやイノベーション創発に繋げることを目的としたABW型のオフィスを採用している。企業の課題によって導入のプロセスは様々だが、ABWを取り入れたオフィスを実現し、効果へと繋げるには、組織自体がABWの働き方を根本的に理解しているかどうかが重要なポイントとなる。例えば、どんなに開かれたスペースや自分のペースに合わせた席を選べるようなABW型オフィスの環境が整っていても、上司がABWの考え方を理解せず、柔軟な対応が部下にできていないと、場所を活用することもできず、ただの意味のないスペースとなってしまう。このようなケースを防ぎ、本当の意味での働き方改革を実現させるには、まず、組織のマインドを変えていくことが最初の重要なステップとなるのではないだろうか。働き方をより効率的に、そして豊かなものにしていくためには、どこまでも”ヒト”を中心に考える戦略プロセスが不可欠となるのである。

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アフターコロナを見据えたABWのワークプレイスとは?

ABWを通して企業イメージを底上げするオフィスデザイン

オフィスワーカーがコロナ禍のリモートワークの経験を通し、オフィス回帰を望んでいるからこそ、働く場の存在価値が従来よりも重要視されるようになった。業務を遂行するだけの場所ではなく、従業員が帰ってきたくなるような、そして企業への帰属意識を持てるような場であることが、今オフィスには求められている。現代のニーズに沿うABW型のオフィスへ企業ブランドの世界感を合わせたデザインを実現させることで、従業員の働き方を重視するという企業理念や、ブランド価値の向上に大きく貢献する。アフターコロナを見据え、企業戦略を踏まえた働き方改革には、多角的な視点で要素を取り入れたABW型オフィスが欠かせない。

ABWに欠かせないテクノロジーを活用したワークプレイス

ABWの考え方である「自分で働く場所や時間、スタイルを選び取り組んでいくこと」を現実のものにするには、IT環境などのテクノロジーが必須要素となるのはいうまでもない。紙の書類やハンコをデジタル化することで相当な業務量が軽減、そして働く場所の選択肢が増えることにも繋がる。テクノロジーが働き方にもたらす効果は他にも様々だが、このように物理的な負担を解消していることから、ABWがワークプレイスへ取り入れる上で必要不可欠な要素となっていることは確かだ。

時代の進歩により様々な取り組みが生み出され、働き方の概念も発展する中で、ABWはその代表例ともいえる考え方だ。根本的なマインドセットにより、組織内部から改革を促進し、それに伴ったABW型オフィスにより行動だけでなく考え方も変えていくことが合理的であり、アフターコロナを見越した働き方改革実現への本質的な要素となっていくのではないだろうか。

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