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持続可能な未来への道を進む日本

2022年版のグローバル不動産透明度インデックス(GRETI)によると、日本の透明度の水準が「高」へと上った。1999年から隔年で調査を開始して以来、初。また、非欧米諸国としても初めての快挙である。「サステナビリティ」サブインデックスが一定程度寄与し、特に気候変動リスクに関するスコアが向上している。

2022年 12月 08日

「サステナビリティ」はGRETIを構成する6つのサブインデックスの1つである。10要素により構成され、財務パフォーマンス指標、環境性能評価認証、エネルギー効率基準を含む状況を評価してスコアリングを行う。

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過去のGRETIにおいても、日本のサステナビリティ分野に関する取組は世界と比較しても高く評価されてきた。国主導で開発された環境性能を評価・認証する制度が整備され、国際的な制度も採用されている。国や地方公共団体が制定した法令や条例が建築物のエネルギー効率基準への適合を義務付けている。企業は、長期的な成長を見据え、株主や投資家、消費者や従業員の要望に応え、環境・社会・ガバナンス(ESG)情報等のサステナビリティ情報の開示に取り組んでいる。

政府は脱炭素化社会の実現へ向けて明確な中長期目標、戦略、ロードマップを策定

サステナビリティに関する取組は2020年6月に国連気候変動枠組条約事務局(UNFCC)が発表した「Race to Zero(ゼロ排出に向けた競争)」キャンペーンを契機にグローバルで加速している。日本では、2020年10月当時の菅義偉内閣総理大臣による2050年カーボンニュートラル宣言以降、政府が明確な中長期の目標、戦略、ロードマップを打ち出している。これには、翌2021年に策定されたグリーン成長戦略と第6次エネルギー基本計画が具体例として挙げられる。また、同年に地方公共団体である東京都はゼロエミッション東京戦略2020 Update & Reportを策定し、2030年カーボンハーフ(温室効果ガス排出量の50%削減)を表明している。これは国が掲げる同年までの46%削減を上回る意欲的な目標である。
 

企業は気候変動に関する財務的なリスクと機会を開示

2021年に金融庁が東証プライム市場の上場企業に対してTCFDに沿った情報開示を求めたことで、TCFDに賛同する企業数が大幅に増加。日本のサステナビリティ透明度向上に寄与

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、2015年にG20の要請を受けて金融安定理事会(FSB)が設置した民間主導の組織である。2017年には気候変動がもたらす財務リスクと機会の評価と管理について情報開示を求める提言を公表した。

日本では、2018年にTCFD研究会の開催、その後コンソーシアムの設立やサミットの開催を経て、2021年に金融庁と東京証券取引所はコーポレートガバナンス・コードの改訂にあたり、プライム市場の上場企業に対してTCFDまたはそれと同等の国際的枠組みに基づく情報開示を求めた。実質的な義務化であり、これに伴い、TCFDへ賛同する企業数は大幅に増加し(図1)、日本のサステナビリティスコアに反映された。

図1:日本におけるTCFD賛同機関数の推移 出所:気候関連財務情報開示タスクフォース(2022年9月時点)

脱炭素化社会の実現に向けた任意の取組も展開している。責任不動産投資(RPI)を適用する機関投資家や資産運用会社が増加しており、また、多くの企業が「Science Based Targets(科学と整合した目標設定)」やGRESBを含むイニシアティブに加盟している。

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さらなるサステナビリティ透明度の高みをめざして

2020年度に日本の温室効果ガス排出量は前年度比5%の減少、2013年度比22%の減少となった。この結果は、カーボンニュートラルの達成や、気温上昇1.5℃抑制目標に向けた官民の具体的な取組の確実な遂行を表す。

さりながら、日本の不動産透明度インデックスにおけるサステナビリティインデックスはスコア向上の余地があるため、今後2年間、日本は注目を浴びる世界の主要不動産市場であり続けるだろう。(執筆者:JLL日本 リサーチ事業部 シニアディレクター 岩永 直子)

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