新時代に求められるオフィストレンドのポイントとは?
1つの場所に集まり顔を合わせて仕事をすることが当たり前だった時代が今大きく変化しようとしている。リモートワークの導入によりオフィス不要論なども浮上したが、多様な働き方があるからこそ、従業員の集いの場である「オフィス」の重要性はむしろ高くなっている。これからの新時代に求められるオフィストレンドはどのように変化していくのだろうか。
ヒト起点の要素が盛り込まれたオフィストレンド
従来は「都内の一等地にあるオフィスに従業員が集まって働く」というイメージがオフィストレンドとして定着していたが、多様な働き方を推進する働き方改革やコロナ禍のオフィスに求められる衛生的な視点から「従来のオフィストレンド 」の概念が変わりつつある。最近ではアクセスしやすいターミナル駅に位置する外部貸しのコワーキングスペースやサテライトオフィスを活用することでオフィスを分散させ、従業員の通勤時間を短縮、ライフワークバランスも保ちやすくなっている傾向がうかがえる。これからの時代に求められるのはオフィス起点ではなく、ヒト起点の要素が盛り込まれたオフィストレンド となっていくのではないだろうか。
意識調査から見るこれからのオフィストレンド.
リアルコミュニケーションを創出する”ハブスポット”となるオフィス
リモートワーク普及の加速化でオンライン会議やテキストでのコミュニケーションが当たり前となり、より効率的に働けるようになった。そこで課題となるのが「リアルコミュニケーション」だ。リモートでのチームコラボレーションや偶発的なコミュニケーションは生まれにくい。だからこそオフィスの価値が改めて再定義されており、リアルなコミュニケーションやコラボレーションを活性化させるオフィスはこれからのトレンドとしてより一層重要視される。
JLLがクライアントを対象にしたアンケート調査で「今後のオフィスの役割は?」という質問に対し最も多く挙げられたのは「Face To Faceのコミュニケーション」という回答だった。従来のオフィスで生み出されていた偶発的なコミュニケーションの価値を身を持って実感しているということがうかがえる。
集約と分散のバランスを取ったオフィス戦略
働き方の変化により「在宅勤務」を中心としながらも「サテライトオフィス」や「シェアオフィス」を組み合わせた多様なリモートワーク形態が今後さらに求められるのは確かだ。JLLが実施したクライアントアンケート調査では、81.9%が「現在のオフィス環境は今後変わっていく」という考えを示した。
従業員の集約が可能な従来のオフィスいわゆるマザーオフィス、そして自宅からアクセスしやすいサテライトオフィスなどのフレキシブル・スペース、在宅勤務、これらを融合したニューノーマルなオフィス戦略が盛り込まれた”これからのオフィストレンド”が主流となる可能性は高い。このトレンドに対して迅速に適応していかなくてはならない。
オフィスのコストコントロール
リアルとリモートを融合させたハイブリッドな働き方には、オフィス環境をどのように変化させていくのか、もっと具体的にいえば、オフィスコストの最適化が課題となってくる。同じ時間に従業員が一箇所に集まって働くという概念の変化に伴い、オフィスデザインやレイアウトを新しいオフィス戦略に適応させ、コントロールしていくことが不可欠となる。これからのオフィストレンドは、デザインやレイアウトだけではない長期的な企業経営に関わるインサイトと再構築が必須となってくるであろう。
最新のワークプレイス戦略から読み解く「新時代のオフィストレンド」
健康とウェルネスを尊重 (従業員のエクスペリエンスを重視等)
働き方や生活様式の変化に伴い、従業員が快適かつ安全に過ごし、そして安心して業務に集中できるオフィス環境を創出することの重要性がますます高くなってきている。これには安全性、セキュリティー、生産性、健康とウェルネス状態を確保するための行動やコミュニケーションを喚起するオフィス設計が不可欠となる。例えば、訪問客を迎える際、医療対策や安全性を考慮したスクリー ニング検査(体温チェック等)の設置など、健康とウェルネスを尊重することが新時代のオフィストレンドのポイントとして認識されていくだろう。
継続的なワークプレイス最適化のためのテクノロジー活用
新時代のオフィストレンドを推し進め実現させるためにはテクノロジーの技術が欠かせない。オフィスの利用状況をIoTセンサーによって把握し、コストコントロールやリアルコミュニケーションが生まれるようなオフィス設計に役立てたり、室内の換気状況をリアルタイムで測定し、必要あればアラームで周知させるなど、ヒトが介入できそうでできなかった領域を実現化するテクノロジーの利活用は「新時代のオフィストレンド 」と切っても切り離せない要素となりつつある。
「オフィストレンド 」は時代の流れに適応して変化し続けており、今、大きな転換期に突入している。時代が求めるトレンドの根底には、当たり前ではあるが、必ず「ヒト」が中心となっており、そこを起点として様々な観点からオフィストレンドがアップデートされている。変化が激しい時代だからこそ、これから求められるオフィストレンドの課題や問題の本質的な要素を軸として柔軟に対応していきたい。