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【居抜きオフィスとは?】注意点とオフィス移転を失敗させないためのポイント

オフィス移転を考える会社にとって、コストを抑える有力な選択肢の1つが「居抜きオフィス」だ。居抜きオフィスの基礎知識や注意点など、経営層や担当者が知っておきたいポイントについて解説する。

2023年 07月 11日

居抜きオフィスとは、賃貸オフィスに入居する際に、前の入居者(会社)が使用していた設備機器・内装といった造作物などを撤去せず、残置物として使用する形態のオフィスのことをいう。

オフィスにおける具体的な残置物とは、例えば以下のようなものがある。

  • カーペット

  • ブラインド

  • パーテーション

  • カウンター

  • 書類棚

  • デスク

  • 配線(床下を含む) など

一般的な賃貸オフィスでは、入居者は退去の際に上記のような設備・内装といった造作物を撤去するなど、入居前の状態に戻す「原状回復」の義務を負う。

居抜きオフィスでは原則この原状回復を退去時に行わず、次の入居者はそのまま引き継ぐ形で契約するのが特徴である。

居抜きオフィスと似た形態に「セットアップオフィス」があるが、セットアップオフィスでは設備・内装などがあらかじめ備えられており(物件によって程度が異なる)、その導入費用を貸主(物件のオーナー)が負担するのが大きな違いとなる。

契約から入居までの工事期間の短縮、工事費用・什器購入費などを削減できる点は共通しているが、居抜きオフィスでは引き継いだ残置物の修繕費用が借主負担となる点や、セットアップオフィスではレイアウトの変更などを自由に行えず貸主と協議が必要な点など、いくつか相違点があり、検討時には両者の違いを把握しておく必要がある。
 

【居抜きオフィスとセットアップオフィスの相違点の例】
居抜きオフィス セットアップオフィス
定義 入居する際に、前の入居者(会社)が使用していた設備機器・内装といった造作物などを撤去せず、残置物として使用する 設備機器・内装があらかじめ備えられており(物件によって程度が異なる)、その導入費用を貸主(物件のオーナー)が負担する
賃料 通常のオフィスと同じ基準 通常のオフィスより若干高め
付帯する設備 中古 新品
修繕費用 引き継いだ内装・設備は基本的にテナント負担 貸主所有の内装であり、設備は貸主負担が一般的
レイアウト変更 テナント負担で変更が可能 間仕切り工事など、貸主との協議が必要
原状回復義務 あり/一般的に前テナントから原状回復義務を継承 一部あり/一般的に貸主の造作はクリーニング・張り替えなど、テナントの造作は原状に戻す
原状回復の内容 原状回復の内容 原状回復基準の仕様とおり

参照: JLLproperty.com ※上記は一般的な例であり、物件により賃貸条件等が異なる場合もある
 

居抜きオフィスのメリット

居抜きオフィスでは内装工事の必要がないため初期費用が安く抑えられる傾向がある

居抜きオフィスには、通常のオフィス賃貸と比較してどのようなメリットがあるのだろうか。

移転の検討から業務開始までの時間を短縮できる
 

一般的な賃貸オフィスへの入居にあたっては、賃貸借契約締結後に内装工事や備品の搬入を行うが、計画や見積もりなどを含めると作業が完了するまでには数カ月以上の長期間を要することがある。

居抜きオフィスではこういった期間を大幅に短縮できるため短期間での移転が可能になる。

入居時の内装工事コストや工事中の賃料負担を削減
 

一般的なオフィスでは、床はもちろん場合によっては天井や壁なども含め入居前に内装工事を行う必要があるが、居抜きオフィスでは前テナントから内装造作物を引き継ぐため、その分の内装工事が不要になるため初期費用が安く抑えられる傾向がある。また、工事期間に発生する賃料負担が削減できることも見逃せない。
 

賃料負担が相対的にセットアップオフィスよりも低い

セットアップオフィスでは内装の大部分や受付・応接室などの什器を貸主(物件オーナー)が用意することが多く、借主は身軽に動けるかわりに、賃料・共益費等の賃貸条件が一般のオフィスより高くなりがちだ。

一方、居抜きオフィスの内装や什器は貸主が負担したものではないため、セットアップオフィスよりも低い賃料で募集されることが多い。

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居抜きオフィスを賃貸する前に注意すべき4つのポイント

居抜きオフィスを契約することを選択肢に入れた場合、選定にあたっては次のような点に気をつけておきたい。

  • 内装や設備について…引き継いだ設備が使えない・すぐに故障する場合も考えられる。修理・購入費用が発生する可能性があるため、使用期間や状態を事前に確認しておく必要がある。またリース契約が残っていれば、その費用負担も負う可能性がある

  • レイアウトについて…自社の想定する用途に合っていない場合、業務に支障をきたし、最終的にレイアウトを変更しなくてはならず、費用がかさむ可能性がある

  • 契約期間について…契約締結までの期間が短い、入居のタイミングが限定されるなどの制約があると検討が不十分なまま契約せざるを得ない状況になる

  • 原状回復について…原状回復の対象や範囲、費用については物件ごとに異なるため、明確化しておく必要がある

居抜きオフィスに移転した成功事例

リーガルテックの成長企業A社は、急激な人員増から、2021年5月に床面積にして3倍の本社拡張移転を実施した。

「ワンフロア・十分なキャパシティ・都心の近く」という条件を踏まえつつ、予算内の手頃な賃料で借りられる物件が見つからなかったが、JLLの支援により希少な大区画の居抜き物件を確保。

当初は1,000坪分を賃借予定だったが最終的には1,200坪を賃借することになった。希望通りの内容でコストを抑えつつ移転に成功した。

オフィス移転等成功事例一覧はこちらから

居抜きオフィスの入退去で失敗しないために

居抜きオフィスへの入退去ではそれぞれ次のような失敗が想定される。事前に十分な対策を取り、思わぬ費用負担やトラブルを避けるようにしたい。

入居時にありがちな失敗
 

居抜きオフィスへの移転・入居では以下のような点で失敗する可能性がある。
 

  • レイアウトが自社の用途に合っていない/変更できない

  • 譲受した残置物の修繕や廃棄・買い替えが発生する

  • クリーニングが不十分で自社で手配しなければならない など

上記のようなケースでは、せっかくコスト削減のために居抜きオフィスを選択したのに、結局さまざまな費用が発生し、費用対効果が低下してしまう。

こういった注意点を通常の業務をこなしながら担当者がすべてクリアするのは困難なことも多いが、専門家に仲介や支援を依頼すれば、専門知識や豊富な経験・実績に基づいてステークホルダーとの意見調整や手続きを進めることができる。スムーズな入退去ができ、思わぬ費用発生などのトラブルも回避できるためおすすめの方法である。

オフィス移転を成功させる秘訣とは?
 

JLLが提供するオフィスサービス


昨今、会社の規模や業態の変化・働き方改革によるワークスタイルの変化などによるオフィス移転を検討する企業は少なくないが、その中でも大幅なコスト削減が見込める選択肢として、居抜きオフィスの需要が高まっている。

居抜きオフィスの賃貸契約は、一般的な賃貸オフィスと比べて期間が限られていたり、原状回復をはじめ費用負担の条件も複雑なことが多いため、専門家のサポートを利用すると安心かつ効率的である。

JLLでは独自の豊富な物件情報の中からクライアントに最適な居抜きオフィスを見つけ、豊富な知識と実績によりトラブルを回避してスムーズに移転が完了するまでのサポートをワンストップで行っている。

居抜きオフィスへの移転を検討している企業はぜひ相談していただきたい。

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