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【賃料回復の可能性】2024年の東京オフィス賃貸市場を展望する

コロナ禍以降、下落基調が続いてきた東京オフィス賃貸市場に底打ちの気配が漂い始めた。満室稼働の優良ビルが多数存在し、平均値では語れない実態が見え隠れする。2024年は限定的な新規供給に加え、企業のオフィス回帰も本格化しており、賃料反転もありえる。優良ビルへの移転を検討する絶好の機会になりそうだ。

2024年 02月 21日
下落基調が続く東京オフィス賃貸市場に一筋の光

JLLの調査によると、2023年第4四半期末時点における東京都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)のAグレードオフィスビルの賃料水準は15四半期連続の下落、コロナ以前は1%台にとどまっていた空室率は4.6%まで上昇した。

一方、コロナ禍以降からの下落基調は依然として継続したままだが、一筋の光が見え始めている。エリアごとに見ると空室率・賃料に明暗が出ているためだ。

例えば、日本屈指のビジネス街である丸の内/大手町エリアの空室率は2023年第4四半期末時点で2.1%。IT企業が集積する新宿/渋谷エリアは2.7%と、5区平均を下回り、むしろ需給はひっ迫した状況ともいえる。さらに、新宿/渋谷エリアは賃料も反転の兆しが見えており、前四半期比で2.4%増を記録した。

東京オフィス賃貸市場を調査しているJLL日本 リサーチ事業部 シニアディレクター大東 雄人は「エリアごとの人気・不人気が鮮明になる二極化が顕著になりつつある」と指摘する。

エリア 賃料(共益費込) 空室率
円/坪 前四半期比 前年比 2023年12月末 前四半期比
東京都心5区 33,563 -0.1% -3.2% 4.6% -0.0%(↓)
丸ノ内/大手町 41,416 -0.4% -2.2% 2.1% 0.2%(↑)
六本木/赤坂 33,294 -0.7% -2.1% 8.0% 0.6%(↑)
新宿/渋谷 28,783 2.4% 0.9% 2.7% -0.4%(↓)

東京Aグレードオフィスの賃料と空室率(2023年第4四半期末時点)出所:JLL日本

ビル単位でみると二極化はさらに鮮明

東京Aグレードオフィス市場では満室稼働中のビルは101棟存在し、過剰な空室を抱えるビルのほうが少数派

さらに、大東は「こうした二極化はエリア単位ではなく、ビル単位だとさらにわかりやすい」とする。

「JLLが定義する東京Aグレードオフィスは211棟(2023年第4四半期末時点)存在しているが、20%超の空室を抱えるビルは12棟、需給バランスの目安とされる空室率5%を上回るビルが47棟にのぼる一方、満室稼働中のビルは101棟存在し、過剰な空室を抱えるビルのほうが少数派だ」(大東)

同じ都心5区とはいえ、築年数や立地、スペック等で競争力が劣るビルは賃料を下げても埋め戻せない…こうした「質への逃避(Flight to quality)」が東京オフィス市場におけるトレンドとなっており、平均値では語れない状況になりつつあるようだ。

関連記事:オフィス市場で顕著になった「質への逃避とは」?

東京Aグレードオフィス211棟の空室分布(2023年第4四半期末時点)出所:JLL日本

2024年のオフィス市況は需給改善が期待

2023年末はJLLの予想を下回りマイナス3.2%の下落に留まる等、低迷するオフィス市況に底打ちの気配が漂いつつある

従業員は出社したくなるオフィスを求めている(画像はイメージ)

コロナ禍を経て、在宅勤務等のフレキシブルな働き方が定着したのは記憶に新しいところ。その利便性を多くのワーカーが享受したことによって、企業は従業員をオフィスへ戻すための意義や動機付けに苦心している。大東は「いわゆる『出社したくなるオフィス』が求められるようになっており、オフィスの『質への逃避』はそうした傾向を端的に表している」と説明する。

そうしたオフィス市況下にあって、大東は「2024年はテナント優位でオフィス移転を進められる絶好の機会になる」と力を込める。

2019年に賃料サイクルのピークを迎えた東京Aグレードオフィス市場はコロナ禍を経て2023年も賃料下落が続いたが、2023年末はJLLの予想を下回り、年間でマイナス3.2%の下落に留まり、前四半期比ではマイナス0.1%とほぼ横ばいとなる等、低迷するオフィス市況に底打ちの気配が漂いつつあるためだ。

コロナ以前は東京の主要オフィスエリアでは空室率1%を下回る等、移転するための選択肢自体が少なかった。しかし、コロナ禍を受けて優良ビルにも空室が現れ、賃料も以前として下落局面にあるものの、空室消化が進むとみられ、賃料が底打つ可能性も見えてきた。2025年には新規大量供給が控えているが、新築ビルでの成約事例も聞こえ始めており、優良オフィスビルに空きが見つからない可能性も考えられる。

「今後は2024年の供給計画が減少する事から空室率の上昇はある程度抑えられることが予想される。2025年以降も新規供給は集中していることから楽観視はできないものの、2024年を通じて需給改善が期待される」(大東)

人手不足にあえぐ日本企業にとって、オフィスは単なる「働く場」ではなく、いまや人材採用活動にも大きく貢献している。また、生産性向上やコミュニケーション活性化等を視野に、企業のオフィス回帰の動きも顕在化している。こうした企業のオフィス改革ニーズは今後拡大することはあっても縮小することは考えにくい。2024年、オフィス需要は堅調に推移していくことが予想される。

関連記事:オフィス回帰を促すためのポイントとは?

日経ニューオフィス賞・グッドデザイン賞 W受賞​

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企業が理想とするオフィス戦略を実現するために、JLLはマーケット調査から移転先の選定、新たなオフィスのコンセプト策定、実際にオフィス移転作業を推進するプロジェクトマネジメント業務、移転後のオフィス運営まで、一気通貫で多種多様なサービスを提供しています。また、JLL日本は2022年11月、都内3カ所に分散していたオフィスを1カ所に統合移転し、従業員が「出社したくなるオフィス」を構築しました。オフィス移転を検討中の方、ご興味のある方はオフィスツアーも実施していますので、JLLまでお問合せください。

※東京Aグレードオフィスの定義:対象エリア:東京中心業務地区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)、延床面積:30,000㎡以上、基準階面積:1,000㎡以上

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