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次なる時代を担うスマートオフィスの在り方

AI、IoT、5Gを活用したスマートオフィス化は、今後を語る上で欠くことのできない必須要素ともいえる。オフィスへのテクノロジー採用により、多様性に富んだ概念や選択肢も生まれた。ヒトとテクノロジーの共存をより持続的にしていくにはスマートオフィスの在り方を定義することが不可欠となる。

2021年 05月 31日

スマートオフィス化の現状と需要

急速なスマートオフィス化は新型コロナウイルス感染拡大が大きく影響していることはいうまでもない。

デジタル化が喫緊の課題とされていたビフォーコロナでの遅れを一気にコロナ禍で巻き返しているようにも感じられる中、非接触型のオンラインコミュニケーションツールやビデオ会議により、仕事の生産性が高まったという声も上がっている。スマートオフィスは従業員のみならず「ビルの健康」という観点から、空調やセキュリティ等におけるビル運営やメンテナンスの機能としても役立ち、生産性というヒトの働き方の観点だけでなく安全・健康衛生の包括的な役割を担う。このような要素から、スマートオフィスビルが世界的にも増加しており、テクノロジーを活用したオフィススペースやオフィスビルの需要は中長期的に伸びていくと考えられている。このことは、企業の環境やサステナビリティ、心身の健康に関連するイニシアチブを促し、従業員により良いエクスペリエンスを提供できるという意図があるのではないだろうか。

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スマートオフィス と従来のオフィスとの違い

リアルとバーチャルを統合させたハイブリッドなオフィスモデルや働き方が今後の成功を握る鍵

スマートオフィスと従来のオフィスとの具体的な違いは何なのだろうか。まずは「業務の生産性」が挙げられる。従来のオフィスでは対面を前提とした業務だったため、時間を要するプロセスが多かったが、スマートオフィスはこれらの余分な時間を削減し、デジタル上での資料共有や、場所を選ばず参加できるビデオ会議での業務の効率化を実証している。しかし、スマートオフィスによる生産性の効率化は、デジタルの側面だけを追うことで、ヒト本来の本能的なコミュニケーションの機会が減少しかねないという課題も浮上してきている。次に挙げられる違いが「多様な働き方」だ。従来のオフィスは物理的なオフィス出社により、通勤や帰宅時に無駄な時間が発生してしまうが、スマートオフィスはリアルとバーチャルの空間を統合することが可能なため、従来のオフィスよりもそれぞれの個人の事情に適した働き方を実現しやすい。柔軟な働き方が可能なABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)を取り入れたレイアウトは、昨今のオフィストレンドの1つもいえるが、これはテクノロジーインフラがあってこそ実現できるスタイルだ。この2つ違いから分かるポイントは、双方での効果的な要素であるリアルとバーチャルを統合させたハイブリッドなオフィスモデルや働き方が今後の成功を握る鍵となるであろう。

オフィスへ不動産テクノロジーを活用する

働き方改革にもつながるスマートオフィス化の3つの必須要素

スマートオフィス化に向けた戦略立案

企業の目的やゴール、効果測定を含めた戦略を立案し、長期的な費用対効果を見据えたプロセスが不可欠

スマートオフィスにはIoTセンサー導入やAIロボット活用等、様々なIWMS(統合型職場管理システム)ソリューションへの投資が必要となるため、企業の目的やゴール、効果測定を含めた戦略を立案し、長期的な費用対効果を見据えたプロセスが不可欠となる。例えば、コロナ禍でのリモートワークによる利用率が減少したオフィススペースの最適化でコスト削減を計画している企業、またはオフィスと在宅勤務を統合したハイブリッド型の働き方の実現を模索している企業の目的はオフィススペースの改善であり、スペース利用率の可視化・分析が行えるIoTアナリティクスを活用することで、データを重視した改善が可能となる。目的を明確にすることで、具体的に必要なツールやプロセスがより確実になるスマートオフィス化は次世代へと繋がる投資となるからこそ、入念な戦略立案が欠かせない。

従業員のコミュニケーションの場づくり

スマートオフィス化は物事の本質をあぶり出す機会となるため「オフィスへ行く」ことの価値も従来の考え方からアップデートし、最適化しなくてはならない。生産性の高い非対面型の業務プロセスにはない、自発的な行動を喚起させるようなオフィスがこれからの時代は不可欠となる。その要素の1つが「ヒトとのコミュニケーション」であり、デジタルの力だけでは賄い切れない課題があることはオフィスワーカーの現状意識からも察することができる。ヒト中心であるからこそ、人間的視点の要素をスマートオフィス化へ組み込むことは大前提であるだろう。

徹底したセキュリティ対策

昨今話題となっているデータ漏洩やハッキング等の問題は、デジタルとの共存を語る上で避けることのできないトピックであり、徹底したセキュリティ対策はインフラテクノロジー要素として挙げられる。ネットワークセキュリティのためのVPNや社内データ・サーバーのアクセス権限設定等、スマートオフィス化を実施する上で綿密に行う必要があるセキュリティ対策は、最優先事項の1つともいえるだろう。

ヒトとテクノロジーの距離は今後さらに縮まっていくからこそ、双方のメリットやデメリット、適切な距離感を理解することが必要となる。国をあげてデジタル化が声高に叫ばれる中、スマートオフィスの存在が当たり前となる日も遠くはないだろう。アフターコロナという次なる時代に向けた戦略の基盤を固める上で、スマートオフィス化は重要な役割を果たしていくだろう。

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