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ポストコロナ時代に従業員が求める3つのオフィス機能

コロナ禍を受けて働き方やオフィスの在り方が大きく変化する中、ウィズコロナ時代のオフィスに何が必要なのか。JLLのグローバル調査によると、従業員が求めているオフィス機能の1-3位は「リラクゼーションスペース」、「フードサービス」、「屋外スペース」となった。

2022年 04月 25日
コロナ禍に対応したオフィス機能の拡充が求められている

コロナ禍を受けて多くの企業に浸透した新しい働き方「ハイブリッドワーク」。従業員は自分の業務内容に合わせて柔軟に働く環境を選択できるようなった。その傍らで、オフィス主体で働くニーズも依然として旺盛だ。そのため、コロナ禍に対応したオフィススペースの機能拡充も同時に求められている。

JLLが世界10カ国、3,300人超のオフィスワーカーを対象にしたグローバル調査(英語版)において、オフィスで働くにあたって希望する機能・設備について質問したところ「リラクゼーションスペース(45%)」が1位となり、次いで「健康的なフードサービス(44%)」、「屋外スペース(41%)」となった。

JLL グローバル・リサーチディレクター フロール・プラデーレは「企業にとって、最適なエンゲージメントと生産性を得るために従業員が何を期待しているのかを把握することは事業成長や人材獲得の観点から非常に重要だ。昨今のオフィス設備としてウェルビーイングに寄与する機能の普及率が高まっているが、同調査によるとリラクゼーションスペースを利用できるオフィスワーカーは回答者の17%、健康的なフードサービスは19%、屋外スペースは25%に留まっている」と指摘する。

従業員が求める3つの機能
リラクゼーションスペース

本調査でオフィスワーカーが希望するオフィス設備として1位となったのがリラクゼーションスペースだった。回答者の約45%が心身の健康維持に寄与し、持続可能なパフォーマンスを達成するためにリラクゼーションスペースを重要視している。在宅勤務と遜色のない快適なオフィス体験を提供すると共に、在宅勤務では得られないコミュニティに参画する精神的な安心感を提供できる。JLLの調査では、コロナ禍で在宅勤務の長期化によって孤独感などの心理的負担が増加しているとの報告もあり、オフィス回帰の動きも見え始めている。リラクゼーションスペースは従業員がチームビルディングやコラボレーションを促進するための舞台となる。 一部の企業はオフィス内にリクライニングチェアを導入するなど、家具・什器を工夫している他、屋上やベランダなどを執務スペースとして機能させることでリラクゼーションを生み出している。

健康的なフードサービス

グローバルIT企業が数年前から先導してきた取り組みといえる。柔軟な働き方に対応した幅広い食事の選択肢」が求められている。そうした中、オフィスにおけるウェルビーイングを提供するべく、1日の様々な時間帯で食事ができる環境として健康志向の自動販売機やスナックステーションを導入する企業が増えている。また、オフィスでの食事はコミュニケーション活性化につながり、従業員のストレスや不安の解消、病欠の抑制などを経て、生産性向上にも寄与する。日本ではテナント企業が社食を開設する他、下層階に飲食店などの商業テナントを入居させ、食事環境を充実させる複合型のオフィスビル開発が増えている。またオフィス内への設置型社食サービス等も認知度を高めている。

屋外スペース

コロナ以前からオフィス内を緑化するケースは少なくなかったが、コロナ禍を受けてオフィス環境にさらなる“自然”を求める声が高まっているようだ。回答者の41%が屋外スペースを求めているという結果となった。自然を感じられる屋外スペースはストレス緩和、心身の幸福度を高め、仕事に対する満足度向上に寄与する。日本ではコスモスイニシアが展開する中規模オフィスブランド「CROSS-C bldg.」が奥行3mの大型テラスを設置、三密を回避する新たなワークスタイルを支援する他、2021年8月に竣工した大規模オフィスビル「豊洲メブクス」はベンチやパントリーを設えた屋上庭園を開設し、憩いの場、屋外ワークプレイスとして利用可能だ。

日本でも3つの機能を備えたオフィスビルが誕生

また、これら3つの機能を備えたオフィスビルが誕生する。例えば、2022年3月にオフィスが竣工した「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」では、商談やワーカー同士の交流の場となるラウンジ&ワークスペース、栄養士が監修する健康的なランチや身体にやさしい飲料などを販売するカフェ、眺望も魅力となるフィットネス等を整備したオフィスワーカー専用フロア「WELLCO」を開設。さらにリフレッシュ空間として1,000㎡もの緑地が広がる屋上広場を整備する等、オフィスワーカーのウェルビーイング向上に配慮した共用部が魅力となっている。また、2022年7月に竣工予定の「九段会館テラス」では、ビル内に開設されるシェアオフィスでは全国の農家からの産地直送のオーガニックな食材を中心に、オフィスワーカーに健康的な食事を提供する「職域食堂」を整備、ランチタイム外はラウンジとしても運営する。オフィステナントへのフードサービスとしてランチボックスやケータリングを提供する。また、オフィスワーカー専用の緑豊かな「屋上庭園」を整備し、健康家具や仮眠室を設置。健康的かつ生産性向上に寄与する働き方を支援する。

優秀な人材を確保し、長期雇用を維持する上で、オフィス戦略は非常に重要だ。従業員がオフィスに期待する“エクスペリエンス(優れた経験)”とは何か。この視点に基づいて、入居先となるオフィスビルを選定するべきだろう。

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