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高度なワークプレイス戦略を実現した「Future Fit企業」とは?

優秀な人材を確保しつつ、生産性向上を実現する。今ワークプレイス改革に取り組む日本企業は少なくないが、グローバルレベルでみるとその取り組みは遅れているようだ。JLLの調査によって、ワークプレイス改革を念頭に高度なCRE戦略を実行している「Futue Fit企業」は日本において圧倒的に少ないという課題が浮き彫りになった。

7月 09, 2019

高度なCRE機能でワークプレイス戦略を推進

高い成長率を誇るFuture Fit企業

日本はもとより、世界各地で「働き方」に対する価値観が大きく変化し、従前とは異なる働き方に対するニーズが拡大している。そうした中、JLLではワークプレイス戦略についてグローバルで企業アンケートを実施。その結果を隔年で発表してきた。新たに発行した2019年版ではグローバル企業の回答数561件、日本企業の回答数40件の分析結果を導き出した。

本レポートの調査結果によって、高度なCRE機能を構築・機能し、ワークプレイス戦略を推進している企業の存在が新たに浮彫になった。JLLでは「Future Fit(未来に適合した)企業」と定義。より広範な事業目的の達成と業績向上を目的に高度なCRE機能を活用している企業がこれに該当する。本レポートの制作責任者であるJLLアジアパシフィック コーポレート・ソリューションズ・リサーチヘッド スーザン・サザーランドによると「イノベーションについて戦略、各部門間で協業・コラボレーションが進んでいる、リーダーシップがはっきりしている、不動産関連のテクノロジーを採用している、必要に応じてアウトソーシングをしている等、先進的なアプローチで不動産を活用している企業が『Future Fit企業』の主な特長だ」と指摘する。

日本にはわずか3%

「Future Fit企業」は調査対象企業全体の18%を占める。特徴的なのが3年間の平均利益成長率が31%を記録し、「その他の企業」の19%を大きく上回る点だ。高度なCRE機能と企業業績の向上について何らかの相関関係が浮かび上がってくる。サザーランドは「CREの先駆的企業はグローバルでみても数が少ないので、18%という数字は想定よりも多いと感じたFuture Fit企業」は調査対象企業全体の18%を占める。特徴的なのが3年間の平均利益成長率が31%を記録し、「その他の企業」の19%を大きく上回る点だ。高度なCRE機能と企業業績の向上について何らかの相関関係が浮かび上がってくる。サザーランドは「CREの先駆的企業はグローバルでみても数が少ないので、18%という数字は想定よりも多いと感じた」という。

一方「Future Fit企業」の分布を国別に見ると、日本はわずか3%。アジア太平洋地域の主要国であるインドが28%と最も高く、シンガポールが20%、中国16%、オーストラリア8%だ。ちなみにインドが突出している理由として、調査対象企業の約半数がテック企業であったことが関係している。実に「Future Fit企業」の約3分の1がテック企業だ。しかし、いずれにせよ日本は諸外国に比べて「Future Fit企業」の割合が圧倒的に低い国といえそうだ。

ヒト中心のオフィスとテクノロジー活用が鍵

では「Future Fit企業」になるためにはどのような課題を解決していくべきだろうか。これについてサザーランドは「各企業特有の強み等によって前提が異なるため一概には言えない」と前置きしつつも「共通して言えることはヒューマン・エクスペリエンスとテクノロジーを活用することが重要」との認識を示す。

「ヒューマン・エクスペリエンス」とは端的にいえば「ヒト中心オフィス」を指す。会社や仕事に対してコミットし、働く場所や働き方を自らコントロールでき、それでいて居心地がいい。ヒトが主体的に「体験」できることで、働き方そのものを変革するこという考え方だ。JLLが2017年6月に発表したグローバル調査「ヒューマン・エクスペリエンス(体験)がもたらすワークプレイス」においてグローバル企業40社の人事担当者、不動産の専門家と9回に及ぶワークショップ、12か国7,346名にアンケートをもとに調査を実施し「従業員のモチベーションを喚起するためには『エクスペリエンス(体験)』が最も重要」との結論を導き出している。

また、テクノロジーの活用についてはCREのみならず組織全体の効率性や生産性、あるいは人事の改善向上を進めるための最有効手段となりえる。サザーランドは「ワークプレイス戦略において非常に保守的なイメージがある金融機関もITドリブンを進めている」と指摘。特にグローバル金融機関ではフリーアドレス席を導入するケースも増えており「Future Fit企業」といえる先進的アプローチを採用し始めているという。

いまだ「Future Fit企業」に該当するケースは少ないながらも、時代の潮流は確実に動き始めている。少子化による労働人口減がネックとなる日本企業にとって高度なワークプレイス戦略は避けては通れない道だが、その歩みはまだまだ遅れている。少子化による国内市場が縮小する中、グローバル市場でしのぎを削る日本企業は更なる競争力を身に付ける必要がある。「Future Fit企業」化が指針となりそうだ。

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