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優良テナントを誘致するリーシングとは?

新型コロナウイルス感染拡大を受けて、オフィス市況は下降局面に入った。テナントを誘致するための「リーシング」をいかに成功させるかがオフィス賃貸事業の成否を握る。そうした中、オーナーや管理会社に代わってリーシング活動を担うリーシングマネジメントが注目を浴びている。

2021年 08月 02日
オフィス賃貸事業の成否を握るリーシングとは?

オフィス賃貸事業にとって収益の源泉となるのがテナントからの賃料だ。空室が発生すれば賃料が途絶え、結果として不動産としての価値が大きく棄損する。いかに優良なテナントを誘致し、長期間入居して続けてもらうか。オフィス賃貸事業を成功に導く鍵となるのが「リーシング」といえるだろう。

リーシングとは、オフィスや商業施設等の賃貸不動産において、テナント誘致活動に関する業務全般を指す。おオーナー側の立場にあるプレイヤーが賃貸借契約締結に向けた仲介業務や営業活動のみならず、立地等のマーケティング調査、テナント構成や賃貸条件の設定など、テナント誘致に関わる幅広い戦略を立案・実行するものだ。具体的には、内覧会の企画・運営、物件パネルや物件資料(マイソク)といった各種営業ツールの制作等が挙げられる。

リーシングに関わるプレイヤー属性

リーシングにおいて重要な役割を担うのがテナント誘致活動の実務を担うサービス会社の存在だ。広く知られるのがオフィス仲介業者だが、テナントリーシングにおけるプレイヤー大きく3つに分かれる。①テナントレップ、②オフィス仲介、③リーシングマネジメントである。

テナントレップ

オフィス移転・新設・契約更新等のタイミングで、テナントのオフィス戦略に関する様々なサポートを行う。欧米等ではテナントレップの存在は広く定着している。日本では外資系の総合不動産サービス会社が主なプレイヤーとなる。

オフィス仲介

一般的にはオフィス入居時にオーナーとテナント間で結ばれる賃貸借契約の成立を仲介する中立的な立ち位置となる。ただし、テナントの要望を受けて入居候補物件を捜索する他、仲介同士の競合関係もあり、完全に中立の立場とはなりにくい。歴史のある老舗仲介、信託銀行、外資系の総合不動産サービス会社など、プレイヤーは多岐にわたる。

リーシングマネジメント

テナント側に立つテナントレップの対極の存在として「オーナーレップ」とも呼ばれる。オーナーの利益最大化を目的に、プロパティマネジメント(PM)やビルメンテナンス(BM)といったステークホルダーと連携し、オーナー側から委託されリーシング戦略を主導する。JLLを含めた外資系の総合不動産サービス会社が主なプレイヤーとなる。

オフィス市況悪化で注目集めるリーシングマネジメント

テナントが退去した空室をいかに迅速に埋め戻すかが、オフィスビルの収益性、資産価値に直結する。とはいえ、新型コロナウイルス感染拡大を機に、オフィス市況が下降局面に入る中、ビルオーナーや管理会社にとって空室の埋め戻しは容易に解決できない。そうした中、リーシングそのものを外部の専門家に委託する「リーシングマネジメント」が注目されている。

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リーシングマネジメントの優位性

一般的にリーシング活動を主導するのはビルオーナー、ビルの運営を受託している管理会社(PM、BM)、もしくはオーナーと専属専任媒介契約を結んだオフィス仲介業者、リーシングマネジメントが挙げられる。下の図は「マーケット理解」、「能動的なリーシング活動」、「情報管理」等、リーシングに必要不可欠な要素について比較してみた。

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マーケットに対する理解力として、最新の空室情報を賃料相場の変化といったオフィス市場の最新情報に精通しているのがリーシングマネジメントやオフィス仲介業者である。対してビルオーナーや管理会社はオフィス仲介業者等から間接的に情報を得る立場にあり、空室や賃料水準等の情報鮮度は幾分落ちると考えられる。

また、リーシングマネジメントやオフィス仲介業者はテナント分析を積極的に行い、テナント誘致を進めていくが、オーナーや管理会社はテナントへの直接営業はあまり積極的に行わず、複数の仲介業者を介した、いわば「保険的」なリーシング活動を行うケースが多いように見受けられる。能動的なリーシング活動を積極的に展開しているのは前者といえるだろう。

さらに、リーシング活動を進める上で重要なポイントとなる仲介業者との連携体制については、仲介業者の専任媒介契約を結んだ場合、競合となる仲介業者とは密な連携体制を構築しにくい状況にあることが窺える。一方、リーシングマネジメントはオーナー側の立ち位置にあり、複数の仲介業者と連携してリーシング活動を進めることができる。オーナーや管理会社もオフィス仲介との連携を密にしやすい立場にあるが、付き合いのある仲介業者に頼りがちになる面は否めない。

このようにプレイヤーの立ち位置を比較すると、相対的にリーシングマネジメントはリーシング業務に特化・精通していることがわかる。マーケットに対する理解度、テナント分析力等の高い専門性、能動的なリーシング活動といった3要素を兼ね備えた存在といえるだろう。

リーシングマネジメントの報酬体系

リーシングマネジメントを活用した際のオーナーが負担するべき一般的な報酬体系は「固定報酬型」、「固定報酬+成功報酬型」、「成功報酬型」、「リテイナー報酬型」の4つに分かれる。最もポピュラーなのは成功報酬型で、次で固定報酬+成功報酬型が多いという。既存テナントから解約通知があったタイミング等、迅速にテナント募集活動を行う必要があるケースは成功報酬型となる。一方で、新規開発プロジェクトやリニューアルなど、長期間かけてテナント誘致を進めていくケースでは固定報酬+成功報酬型が多いとされる。

固定報酬型 月額固定のリーシング活動費 ・開発物件
・リニューアル物件
・長期プロジェクト
固定報酬+成功報酬型 月額固定のリーシング活動費+インセンティブ(成約時) ・開発物件
・リニューアル物件
・長期プロジェクト
成功報酬型 インセンティブ(成約時) ・短期プロジェクト
リテイナー報酬型 月額固定リーシング活動費+インセンティブ(成約時:受領済の固定報酬と相殺) ・開発物件
・リニューアル物件
・長期プロジェクト

出所:JLL日本

リーシングマネジメントの実力を見極める2つのポイント

リーシングマネジメントを提供するサービス会社は多数存在するが、その実力を見極めるポイントは大きく2点ある。「情報ネットワーク」、「テナント誘致力」だ。

情報ネットワーク

リーシングはより多くのテナントに営業したほうが成約率は高まりやすい。そのため、オフィス仲介業者との連携が重要になる。リーシングマネジメントを提供する事業者の多くはオフィス仲介出身が多いとされ、前述した通り、仲介業者同士は競合関係にあるため、連携しにくいとされている。一方、業務の性質上、従前からオフィス仲介と連携することが多いプロパティマネジメント出身だと相対的に情報ネットワークが厚いと考えられる。JLLのリーシングマネジメントチームを例にすると、不動産運用サービス事業部(PM)で長年リーシングに携わったベテランスタッフが多数在籍しており、大手仲介、地域の有力仲介業者等と信頼関係を構築し、綿密な情報共有のもと、優良テナントの誘致を成功してきた実績がある。

テナント誘致力

オフィス仲介会社等の外部の協力者との連携のみならず、リーシングマネジメント自身のテナント誘致力も重視すべきポイントだ。リーシングマネジメントの社内リソースの連携体制、日系・外資系企業双方との深いネットワーク等がテナント誘致力を計る指標といえる。また、JLLでは遠隔地からの物件内覧が可能なバーチャル内覧システムを内製化しており、こうした不動産テックを活用した先進的かつ効率的なリーシング手法を有している点も評価ポイントになる。

リーシングの成否がオフィスビルの価値を左右する

ファンドや一般事業会社など、リーシングに関する実務的なノウハウを持たないビルオーナーが増えている。また、物件管理を委託している管理会社は主業務である物件管理に忙殺され、リーシングに関するノウハウ・人材不足の可能性もありえる。

リーシングの成否はオフィスビルの価値を大きく左右する。その道の専門家であるリーシングマネジメントを起用するメリットは十分にありそうだ。

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連絡先 千福 英樹

JLL日本 オフィス リーシング アドバイザリー事業部 エグゼクティブディレクター

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