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実は“グリーン”な大阪オフィス市場

グリーンビルディング認証を取得するオフィスビルが増えている。なかでも大阪ではAグレード相当オフィスビルの5割が認証取得に匹敵する性能を有しており、大阪オフィス市場はアジア有数のグリーンビル集積地といえるほどの成長を遂げている。

2023年 01月 17日
グリーンビルディング認証取得ビルは27%を占める

大阪Aグレード相当オフィスビル※1のうち、2022年9月末時点で有効なグリーンビルディング認証を有するオフィスビルは27%である。CASBEE建築が1%(Aランクが100%)、CASBEE不動産が13%(うちSランクが69%、Aランクが31%)、DBJ Green Buildingが13%(うち5つ星が15%、4つ星が23%、3つ星が46%、2つ星が15%)で、CASBEEとDBJ Green Buildingの双方を有するビルはない。

LEEDやBREEAMを取得しているビルはないが、テナントの入居スペースに関する環境性能認証として、新ダイビルに入居しているAmerican ExpressがLEED ID+Cのゴールド、グランフロント大阪タワーBに入居しているMcKinsey Kansai OfficeがLEED ID+Cのシルバーを取得している。

大阪Aグレード相当オフィスビルのグリーンビルディング認証取得状況(2022年9月末時点) 出所:JLL日本 リサーチ事業部

グリーンビルディング認証に関する解説記事を読む

大阪には潜在的なグリーンビルが多数存在

アジア14都市におけるAグレードオフィスビルのグリーンビル認証平均取得率42%※2と比較すると、27%というのは低水準に見えるが、大阪には潜在的なグリーンビルディングが多数存在する。

というのも、CASBEEやDBJ Green Buildingには有効期限があるため、過去にグリーンビルディング認証を有していたオフィスビルが少なからず存在する。また、大阪市では一定規模以上の建築物を建てる際に、CASBEEから派生した「CASBEE大阪みらい」による自主評価の結果を記載した計画書を届け出ることとなっており、大阪Aグレード相当オフィスビルには「CASBEE大阪みらい」のSやAランクを取得したビル、さらには、そのなかでも特に評価が高い建築物として大阪市に表彰されたビルも多い。

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大阪Aグレード相当オフィスビルの約5割がグリーンビルディング認証を取得したビルか、潜在的なグリーンビルといえる

これら元グリーンビルや準グリーンビルは大阪Aグレード相当オフィスビルの少なくとも2割に及ぶことから、これらのオフィスビルが現在、第三者機関による評価を受けて認められるような環境性能を有しているならば、大阪Aグレード相当オフィスビルの約5割がグリーンビルディング認証を取得したビルか、潜在的なグリーンビルといえる。だとすれば、大阪はアジアでも有数のグリーンビルの多い都市となる。

ウェルネス認証の取得割合の増加にも期待

なお、同ビル群のうち、2022年9月末時点で有効なウェルネス認証を有するオフィスビルは3%である。WELLが0%、CASBEE-ウェルネスオフィスが3%(Sランクが100%)だが、コロナ禍でウェルネスへの意識が高まるにつれて、ウェルネス認証の取得を目指すテナントも増えている。実際、複数のビルのテナントがWELLのRegistered(登録済み)段階にあり、今後ウェルネス認証を有するオフィスビルの割合も増加するものと期待される。

大阪オフィスマーケットは季節を重ねるごとに“緑”を深めている。

グリーンビル認証取得などJLLのサステナビリティサービスをみる

※1:「大阪Aグレード相当オフィスビル」とは大阪市中心5区の中心業務地区にある1990年以降に竣工した延床面積15,000㎡以上のオフィスビル。JLLリサーチの定期レポートにおける大阪Aグレードオフィスの定義と異なることに留意

※2:JLLレポート「The value of sustainability: Evidence for a green premium in Asia」

連絡先 剣持 智美

JLL日本 関西支社 リサーチ事業部 アナリスト

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