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アジア太平洋地域の投資市場を席捲する物流不動産

新型コロナウイルス感染拡大はアジア太平洋地域の不動産投資市場に対して多大な影響を及ぼしたが、そうした中でも好調を維持するのが物流不動産セクターだ。

2020年 10月 30日

コロナ禍でも好調を維持する物流不動産

JLLの調査によると、2020年上半期のアジア太平洋地域の不動産取引総額は前年同月比で32%減少した。

堅調に推移していた世界の不動産投資市場にコロナ禍が冷や水を浴びせた形だが、その中でも好調を維持するのがロジスティクスセクター(物流不動産)だ。2020年上半期の物流不動産の取引額は111億米ドル(約1.17兆円)に達し、前年同期比でわずか6%の減少にとどまっている。

コアセクターであるオフィスやリテールは地域内市場の多くで賃料・キャピタルバリューが下落しているが、物流不動産市場は地域全域を通じて賃料はほぼ横ばいとなったことからも、その堅調さが見て取れる。

 

社会環境の変化が物流不動産の需要増を後押し

アジア太平洋地域の主要都市では急速な都市化と中産階級が急増しており、全小売売上高に占める電子商取引(Eコマース)の需要が拡大している。加えて3PLの台頭、ラストマイル物流施設や多層階物流施設といったハードが発展、そして物流不動産に高度な業務が求められる中、築年が経過した旧来型の「倉庫」から機械化とテクノロジー導入を進める先進的な大型物流不動産への切り替え需要など、社会環境の構造的な変化に伴い物流不動産に対する需要は今後も拡大していくことが予想される。

アジア太平洋地域の主要投資市場の1つ、東京でも物流不動産市場は旺盛な需要が続くことが予想される。2015年から2020年第2四半期までの5年間で空室率は6.5%から0.6%まで低下。Eコマースと労働力不足が先進物流施設の需要増を牽引している。

こうした背景から、世界規模の投資家は物流不動産への投資を増加させている。2020年上半期の物流不動産の世界的な取引総額は602億米ドル(約6.32兆円)となり、リテールセクターの468億米ドル(約4.91兆円)を上回った。

アジア太平洋地域の物流不動産市場の現状と将来性、コロナ禍の影響をはじめ、日本、オーストラリア、中国本土、シンガポールといった地域内の主要物流不動産市場などの詳細については、膨大なデータを駆使したJLL調査レポート「未来への道のり-アジア太平洋地域のロジスティクスセクター」をご覧ください。

 

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