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アジア太平洋地域でデータセンターへの需要が高まっている理由

21 11月, 2017

当社のレポート「アジア太平洋地域の優良データセンター市場に照準」によれば、アジア太平洋地域のデータセンターに対する法人ユーザーと投資家の両方からの需要が急増している。PwCは、アジア太平洋地域のデータセンター市場が2021年までの4年間に年27%成長し、ヨーロッパの規模を超えると予想している。

(掲載日不明)

アジア太平洋地域のデータセンター需要が急増

同レポートの共著者でもあるJLLアジア太平洋地域 データセンター・コンサルティング リード ポール・ドワイヤーは「同地域はその成長力の入り口に立っているに過ぎない。この地域の人口は、地球の他のあらゆる地域よりも多い。当地域のデータセンターで最近何が起こったかを見ると、まだその成長力の表面に触れているに過ぎない」との見解だ。

企業にとっては、ワークプレイスの急速なデジタル化がクラウドコンピューティングとデータ保管の需要を増加させた。商業的なクラウドサービスは今や少数のウェブサーバの設置のみを意味せず、企業のインフラ全体を構成する。

ハイパースケールのデータセンター登場

データセンターとクラウドリソースに対する需要の増加が、大規模な公共クラウドセンター、いわゆるハイパースケール・データセンターの開発につながっている。

フェイスブック、アリババ、アマゾン等のハイパースケール・クラウド業者は世界のクラウドの景観をますます圧倒するようになっており、シスコのレポート「グローバル・クラウド・インデックス:2015-2020年予想と方法論」では、アジア太平洋地域がデータセンターの立地としては最も急速に成長すると見込まれている。また、2020年までに世界のデータサーバーの47%がハイパースケール・データセンターに設置されるとも予想している。

タイやインドネシア等の新興市場の膨大な人口が依然としていわゆる「ニューエイジ」に加わっていないため、シスコは今後5年間にこの市場は更に急速に成長するとみている。しかし、新興アジア諸国が記録的に拡大する中、実質的に成長しているのは依然として優良市場である香港、シンガポール、シドニー、東京である。これらの市場は、その優れた電力供給、ネットワーク速度と待機時間、政府規制とセキュリティから、企業と投資家の両方にとって最も魅力的な市場であり続けている。以下は、アジア太平洋地域の5大優良市場の特長である。

シンガポール

接続性と政治的安定性に優れた第1位の市場

シンガポールは、引き続きアジア太平洋地域における地域的統合や市場参入について最も人気が高い。優れた接続性、政治的安定性、高スキルを有する労働力、外国人投資家によるセクター投資に対する政府支援等、いくつかの要素から圧倒的なデータセンター・ハブとみなされている。

まとめ

315メガワット(MW)の電力供給

国内及び国際的データセンター業者やエクイティ・ファンドが積極的に投資を検討

買収に活発な問い合わせ、グリーンフィールドおよびブラウンフィールド投資、セール・アンド・リースバックの選択肢

東京

厳格なプライバシー保護法と低いサーバー犯罪率

日本は世界の主要クラウド及びインターネット・データセンターの7%を有し、アジア太平洋地域随一のクラウドコンピューティング市場にランキングされている。国際的な接続性に優れ、厳格なプライバシー保護法を有し、サイバー犯罪率は非常に低い。シドニー同様、東京市場は主に国内需要に牽引されている。

まとめ

297MWの電力供給

KDDI、NTTコミュニケーションズ、ソフトバンク等の現地企業がデータセンター市場の大部分を支配しているが、エクイニックスやコルト・データセンター等の外資系企業も東京市場に参入

日本には現地クラウド・プロバイダーを外資系に優先する重大な貿易障壁は存在しないため、東京は外国人投資家による活発な投資が継続する市場となる

香港

中国のデータに理想的ゲートウェイ

香港はアジアで最も接続性が高く、9基の海底ケーブルシステム、中国本土からの17基の陸上ケーブルシステムと外部との通信用の10基の人工衛星が運用されている。アリババ等大手中国プレイヤーが存在するため、香港は中国のデータの理想的なゲートウェイとなっており、とりわけ本土に参入したい企業には魅力的。北アジア市場のリーダーであり、急激な成長段階にある。

まとめ

2017年末までに250MWの電力供給

香港は短・中期的に北アジアにおける統合の第一候補であり続けると予想

税制優遇と香港とカリフォルニア州を結ぶフェイスブック/グーグル直結ケーブルの完成が迫っていることから、同市場は業者やオーナーの両方に有利な条件を提示する

シドニー

国内需要が成長を牽引

シドニーはアジア太平洋地域の優良市場の中では規模が最も小さい。地理的にも他の優良市場のホットスポットから最も離れている。しかし、旺盛な国内需要が最近の成長を支えている。

まとめ

2017年末までに160MWの電力供給、市場規模は2018年末までに200MWに迫る

IoTとクラウド採用が好調なことが国内需要を牽引

アリババによるアリクラウド・オーストラリアの設立は、グローバルなプレイヤーにとっての国内関連市場の重要性を強調している。アマゾン、マイクロソフト、IBMソフトレイヤー等、他の大手プロバイダーもシドニーに拠点を設置

企業不動産の考慮点

ポール・ドワイヤーは「あらゆる企業の不動産戦略同様、立地の選択が重要なステップである」と強調する。適切な市場と設備の立地決定には無料の冷却設備や自然災害リスクを考慮しなければならないため、エネルギーに関するプロファイルを徹底的に評価することを勧める。

ドワイヤーは「ブラウンフィールド物件を改築すれば速やかに市場に参入できるが、専用の設計を行えば建物の100%が使用可能となる」と語り、新築施設と控えめな改装のどちらが適切かという意思決定に、慎重な検討が求められるのだ。

しかし、立地の選択の前に、自社の事業上のニーズや目的についてよく考えなければならない。あらゆる選択肢についての完全な財務モデル作成が、自社の事業のネットワークや技術要件に合致した戦略決定に役立つだろう。長期的な目的次第で様々な選択肢が存在する。

ドワイヤーは「当社はクライアントに、直ちに立地の選択を行うのではなく、あらゆる戦略について詳細な分析を行うよう助言する」と説明。これには、コロケーションの選択肢やターンキーのソリューション、電力が供給されたシェル施設の買収、一から建設等の検討が含まれる。

ただし、ドワイヤーは「データセンターの運営は多額の費用を伴い、電力消費等の主要な分野でコスト管理が必要である」と警告する。施設の円滑な運営を確保するため、施設管理も不可欠である。データの喪失やセキュリティ違反があれば数十億ドルの費用が発生する可能性もある。

企業のITインフラは企業不動産機能の基本的な考慮点と重なり始めるており、貴社のデータセンター戦略を是非聞かせていただきたい。

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