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オフィスのロビーは多くを明らかにする

オフィスビルに初めて足を踏み入れたわずか数秒で第一印象が定着する。

2017年 08月 14日

オフィスのロビーの重要性は過小評価されることが多いが、適切に設計された受付や待合スペースは企業のアイデンティティ、商品、サービスについて強力なメッセージを発信する。

JLLグループのビッグ・レッド・ルースター マネージングディレクター ヴィッキー・アイッケルバーガによれば「ロビーは効果的なブランド・ツールである。ブランドとの関係の始まりであり、到着感と期待感をもたらす。これから行われるやりとりについての期待感が定められるのである」と力説する。

実務的かつ快適

優れた設計のロビーは、訪問客を歓迎して行程の次の段階へと案内する。装飾、色彩、家具、環境音楽等が混ざり合わさって、ブランドについての没入型の表現を伝えるべきである。

例えば、ボストンのステートストリート53番地のオフィスビルでは、ロビーのモンタージュ写真が時と場所を意識させる。イメージは、ボストンの歴史における同ビルの位置付けを反映しているのである。セールスフォースのサンフランシスコ本店では、訪問者は長さ106ftのビデオスクリーンの「壁」に歓迎される。この壁は静かに流れ落ちる滝や熱帯雨林を含む様々なイメージを回転させて訪問客を魅了する。

適切なコンテンツを表示するマルチメディア資産は、担当者を待つ間、訪問客の気分転換を可能にする。同様に、業界誌や社内誌、リーフレット等も会社の強みについてより多くの情報を伝え、イメージを強化できる。

しかしセキュリティチェック・エリアも含めた全てが、全体の設計と結びついているべきである。アイッケルバーガーは「セキュリティは労働者の安全確保に不可欠だが、目につく補足部とならないように設計に組み込まれなければならない」と考えている。

成功する設計

ロビーの設計には様々な手法があるが、限られたスペースを使ってやり過ぎにならずに記憶に残る何かを作り出すことが目的となる。

マサチューセッツ州ケンブリッジのワン・ロジャース・ストリートのオフィスビルの戦略は、屋内や屋外のエリアを使って快適な解放感を醸し出すことだ。隣接する中庭がロビーの延長として機能し、色彩と光に照らされたオープンスペースを作り出している。

上海都市部の29階建て複合用途ビルである虹口SOHOは、都市の喧騒からの開放されるロビーが特長だ。波打つアルミニウム製のルーバーが天井と壁面を覆い、穏やかな海の波を思い起こさせる。

しかし、訪問者の受け入れは今日のロビーの役割の1つに過ぎない。より大規模なビルでは、ロビーは従業員が休憩時間中に交流したり、昼食を食べる場所となっていることが多い。例えば小売業者プライマークのダブリン本店のロビーには、巨大なカフェ&バーが含まれている。

アイッケルバーガーは「一部では、勤務者と訪問者が会議に向かう前に交流することもある。ポジティブで活発なブランド・イメージを再強化することに役立つ連帯感をもたらしている」と称賛する。

ありがちな落とし穴を避ける

あらゆるロビーがブランド・ツールとして成功するわけではない。会社の乱雑さを示すゴチャゴチャした受付はあってはならない。また、訪問客がロビーに入ったらどこで受付をするのか、一目で理解できることも重要だ。レイアウトが分かりにくければ訪問者は好印象をもたないだろう。

多くのロビーでは、巨大な会社ロゴや壁面装飾等の明白なメッセージが使用されている。アイッケルバーガーは「このような表示は訪問者に魅力的でない可能性があり、控えめなアプローチの方が好ましい。メッセージは設計にシームレスに統合されるべきである。訪問者が見て、臭いをかぎ、触れ、耳にする全てがメッセージとなる」と指摘する。

従って、ロビーエリアの設計は、建物の改装や新しい内装を検討する際に企業が考慮するべき重要な分野となる。アイッケルバーガーは「不動産はブランド表現の基盤であることが見逃される場合が多い。正解を得るのは難しい作業だが、成功すれば企業のポジティブなアイデンティティが伝わり、毎日オフィスに足を運ぶ顧客や訪問者、従業員に好印象を与えて大きな差をもたらすことができる」と結論づけた。

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