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ジェネレーションXが静かにワークプレイスを変容させる

ジェネレーションXは、着実にCスイートへと出世し、「権威を疑う」との評判に応え企業本社のルールを書き換えている。

2017年 10月 20日

多くのミレニアル世代がワークプレイスを変容させることに関心を持つが、MTV世代(ジェネレーションX)は冷静に立地から設計までワークプレイスを内側から改革している。

CEOの年齢に意味はあるのか

伝統的な企業の権威のモデルを生んだベビーブーマー(1946年-1964年生まれ)とは異なり、ジェネレーションX(ハーバード・センターによれば1965年-1984年生まれ)は、仕事に対する起業的アプローチとワークライフ・バランスへの熱意に溢れている。

JLL インターナショナルディレクター兼ヘッドクォーターズ・プラクティス・グループ 共同会長 スティーブ・ストラットンは「自分も含めたベビーブーマーは伝統的に、通常は郊外市場に位置する境界のはっきりした無骨なオフィスをもたらした。我々の世代は仕事一筋の姿勢と労働時間が昇進に繋がるという信念で知られて。役員室はその最も明確な基準と考えられていた」と、当時を振り返る。

しかし、ストラットンが指摘する通り、ジェネレーションXは異なる考え方をする。

ジェネレーションXが指揮をとると何が起こるか

より自立的なジェネレーションXは、独立した思考者であり、古いやり方や企業の不動産に関する意思決定に対して批判的に育った。

ストラットンは「ジェネレーションXの同僚は、全く異なる職業倫理、真のワーク・ライフ・バランスを追求しつつ、キャリアを発展させられるという考え方に目を開かせてくれた。仕事への取り組み方が異なるだけではなく、どこで働きたいかについても異なる視点を持っている。自分の世代は役員室や専用の駐車場というビジョンに誘われたが、ジェネレーションXはより生産的な働き方ができる場所からモチベーションを得る」と述べる。

こうした世代間の差は、組織を働き方の未来へと導くアクティビティ・ベースのワークプレイスや、個別のオフィスよりも自然な出会いを好む等、全く新しいオフィス設計を促している。更に、ジェネレーションXのCEOは、ワーク・ライフ・バランスを支えるためには組織が効率的かつ生産的に運営されていることを確保しなければならないと理解している。それは、あらゆる世代の人材にインスピレーションを与えることを意味する。

また、求めているような業績を挙げるためには、人材の集まる場所へ行かなければならないことも理解している。労働力に占める割合がますます高まるミレニアル世代が都市を拠点としていることから、本社を都心部に戻すことは道理にかなっているのだ。

ストラットンは「例えばシカゴでは世代交代が企業本社の移転に明確に表れている。地域内のフォーチュン500社のCEOのほとんどが、数十年前に企業の拠点を郊外へと移している。しかし、2008年以降だけでも、32社がダウンタウンに本社を移転させている。こうした組織のCEOの平均年齢は52歳だった」と説明する。

新たなプレイヤー、新たな課題

ポジティブで協調的な環境で働くことについて、デベロッパーやオーナーが複数世代の利益に応えようとしており、商業用オフィス市場は根本的に変化している。集いたいという労働者の願いに応えるべく、コーヒーラウンジ、社内コワーキング・エリア、コラボレーション・スペース、インキュベーター・スペース等の革新的なワークプレイスが現れているのである。

もちろん、あらゆる世代が同じワークプレイスに魅力を感じるわけではないが、個人のニーズに多様な選択肢で応えるフレキシブルスペースの設置は生産性の高い近代的ワークプレイスを構築する鍵である。

ストラットンは「例えば、ベビーブーマーは机のわきで立ち話、ミレニアル世代はバーチャルチャット等、従業員がどのように対話しているのかを調べてテストフィットする」ことを勧める。それにより、スタッフが日常的に自然に出会い、打ち解けた会話をし、情報やアイディアを共有できるスペースは、部分の総和よりも高い価値を創造することに繋がるという。

成功に至る確実なアプローチは存在しないが、既成概念にとらわれず、人と少し違ったことをするのを恐れないならば―ジェネレーションXはこれを得意とする―あらゆる年齢のワーカーが楽しむことのできるスペース構築に向けて大きく前進できるだろう。ストラットンは「世代の典型像を捉えることは、戦略を決定し思考の枠組みを定める基礎となるが、鍵となるのは実際のチームメンバーとワークプレイスの未来や本部戦略について明確に対話することだ」と考える。

イノベーションや技術発展が著しい時代においては、あらゆる世代のプロフェッショナルがジェネレーションXの権威に懐疑的な姿勢からより多くの利益を得ている。今や彼らが権威を得ているから、なおさらである。

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