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研究開発企業が成果をもたらすワークプレイスを構築する方法

企業はそれぞれ独自のワークプレイス要件を持つが、研究開発セクターの要件はより厳格な場合が多い。

2017年5月29日

ハイテク機器の設置や危険物の取り扱いだけではなく、エンジニアリングからバイオ医薬品に至る様々な分野で研究開発を行う企業が、重要な新トレンドに素早く対応することを可能にするスペースを持っていないことは大問題だ。

テクノロジーが戦略やプロセスの変化を牽引する今日の科学分野のワークプレイスは、仮説から製造までに至る開発サイクルの短縮化や、3Dプリントや自動化等のテクノロジーを用いた製品開発の急激な変化に適応できなければならない。

そして最も重要な点は、成功する研究開発企業は高度に専門的なスキルを有する人材へのアクセスが必要なことである。

JLLカナダ テナント・レプリゼンテーション・グループ ヴァイス・プレジデント サンディー・クレイクは「伝統的に、研究開発セクターのワークプレイス戦略は安全衛生のパラメーターと、研究室環境の混乱を最小化して資金集約的な研究や人材確保の計画を最適化することをとりわけ重視した」と解説する。こうした組織は、立地やスペースの設計、組織変更の管理方法等、ワークプレイスにより包括的なアプローチをとることで事業に影響を与えるトレンドによりよく対応できるだろう。

スマートな立地選択で適材を確保

最先端の研究開発に携わる高度なスキルを有する専門家の採用と定着には、適切な立地が不可欠だ。技術的なノウハウや時間の経過と共に蓄積される知識を勘案すると、人材育成のコストは高く、人材が定着しなかった場合の費用負担は更に重い。

このため研究開発企業は、交通の便が良く従業員の通勤時間が最短化される確立された人材ハブや台頭する人材プールに近接した立地を特定しなければならない。商業スペースとして、適切なアメニティミックスが近くにあることも不可欠である。

JLLカナダ プロジェクト・アンド・デベロップメント・サービシズ エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント兼ナショナル・リーダー ニック・ジューステンは「企業は労働プール分析、特定のパラメーターに基づく市場(台頭する人材ハブ等)の調査、従業員の通勤所要時間分析と、競合他社の詳細な調査を組み合わせ、人材獲得競争で優位につくことができるだろう」と考えている。

ワークプレイスの設計は、最も優れた人材を誘致し最高の成果を実現する環境を提供する上でも重大な差別化要因となる。

科学的研究開発環境には研究室スペースがあり、典型的にはこのゾーンは知的財産や危険物取扱いのため隔離されているか、アクセス制限がかかっている。ジューステンは「変更には多額の費用や事業の中断を伴うため、当初の配置はワークプレイス設計の意思決定に影響する」と説明。このため、こうした環境のワークプレイス設計では、このスペースを利用するのは誰であり、その頻度や特別なニーズは何なのかを判断することが重要となる。

各ワークスプレイスがどのように使用されているのかと、従業員のニーズや希望についてのデータは、包括的な設計概要の作成に役立つ。これらを使ってワークプレイス内の公式エリアとくつろげるエリア、業績を向上させる自然な出会いや偶然の交流といったワークプレイス内での衝突を促し、知識の移転やコラボレーションを後押しするスペースが創造できるだろう。

スマートなチェンジ・マネジメントで従業員のエンゲージメントを確保

あらゆる研究開発企業が新しいスペースへと拡張しているわけではなく、一部には既存スペースを変容させる考えの企業も少なくない。この場合、その過程における業務の混乱を最小限に留めることが不可欠となる。

個別の事業のニーズを理解し、具体的な変更要件を特定し、ステークホルダーのグループのマッピングを行い、従業員を関与させ、新しいワークプレイス慣行へのインセンティブを与えることは、いずれも持続可能なチェンジ・プログラムの重要なステップだ。そして、JLLカナダ コンサルティング ヴァイス・プレジデント ラム・スリニヴァサンは「それらは変容を支えるシステム、プロセス、構造に準拠しなければならない。効果的なチェンジ・マネジメントは、スペースが予定通りに使用されることを確保する」と指摘する。変容の過程を通じて従業員が自分の業務を支える環境の活用方法や同僚への理解を深めるにつれ、どのようなスペースが自分のニーズに最も適しているかについての判断力が高まるのだ。

研究開発企業のワークプレイスを成功させる完璧なブレンドを実現する唯一のプロセスは存在しない。しかし、立地、設計と効率的な変化を適切に組み合わせることで、企業は従業員が組織を次のレベルへと導くことを助けるダイナミックで魅力的な職場環境を創造できるのである。

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