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未来の生活と生活しやすい建物の構築方法

どの都市を歩いたとしても、温室効果ガスの最大の発生源を指摘するのは容易だろう。自動車はその一つだ。膨大な量の電力を消費する明るいネオンライトも。しかし、世界の主要都市の多くで、気候変動の最大の原因は、建物―都市のスカイラインを形作る無言の柱―なのである。

11 9月, 2017

平均的な都市では不動産が国内の総排出量の30%を占める。香港では、その値は90%に上昇する。小さなシンガポールですら建物は同国の電力の約30%を消費しているのである。

これは、建物が国内の温室効果ガス排出量にどれほど貢献しているかを示す現実の、そして驚くべき値である。

また、世界的に見ると不動産は二酸化炭素排出量の35%、水消費量の25%、原材料使用量の40%を占めている。

JLLアジア太平洋地域 エナジー・アンド・サステナビリティ ヘッド マシュー・クリフォードは「温室効果ガス排出量や気候変動への対策において、建物が中心に据えられなければならないことは非常に明確だ」と語る。

野心的な国際的目標は既に設定されている。世界グリーンビル境界(WGBC)は2100年までに地球温暖化を摂氏2度に制限するための集団的努力を支える長期的目標を定めている。建物がネット・ゼロ―建物の年間エネルギー消費量に等しい量のエネルギー生産―を目指すという目標は、このビジョンに沿っている。

未来の生活と生活しやすい建物

グリーンビルは、気候変動対策の重要な構成要素だ。建物は、エネルギー・サステナビリティ、水消費の効率性、環境保護等、一定の定義された基準を満たすとグリーン認証を得る。

そして、これには建物の物理的な設計ではなく、その運営方法もかかわってくる。

クリフォードは「JLLの主な強みの1つは、アジア太平洋地域で約15億平方フィートと、膨大な数の建物を管理していることだ。建物の運営に何が効果的で何が役立たないかについて優れた洞察を得ている。これには設計の特徴や、運営慣行等が含まれる。先日、当社はJPモルガン・チェースが香港の新オフィスで環境性能評価システム(LEED)のゴールド(商業用インテリア)を獲得することを支援した。デザイナーや建築家と協働し、プロジェクト・マネジメント・チームと協力することで、建設コストを低下させるデザイン改良を実現し、プロジェクト全体の照明について約24%のエネルギー節約を達成した」と語る。

LEEDは米国グリーンビル協会(USGBC)が策定した、建物の環境パフォーマンスを評価し、サステナブル・デザインに向けた市場変容を促進するための有力な地域認証スキームである。JLLは1,700名のサステナビリティ認証プロフェッショナルを擁し、同様のプロジェクトでウェルスファーゴ、プルデンシャル等にもコンサルティングを行って協力している。

しかし、グリーンビル建設に向けた努力は依然としてその途上にある。

グリーンビル建設に向けた努力は依然としてその途上にある。

クリフォードは「グリーンビル促進の最大の課題の一つは、デベロッパーにその場しのぎや形式的な解決策を急ぐのではなく、長期的な視点の採用を促すことだ。一部のデベロッパーは、サステナビリティを販売促進のマーケティング要素に過ぎない」との見解だ。

机上では、販売や賃貸促進のためにグリーン要素を活用することに問題はない。しかしクリフォードは「建物にまとまりのある設計が施されないならば、こうした特徴はグリーンを喧伝する目的で寄せ集められるだけとなり、エンドユーザーが不利になる一方、デベロッパーは金儲けをして去っていくことになりかねない」と主張する。

その解決手段には、政府が果たす役割が含まれる。

クリフォードによれば「政府は最低基準を高める上で非常に有益な役割を果たすことができる。しかし、政府は過度に規範的にはならず、市場が上限を定めることを認めるべきだろう。政府は自ら所有ないし占有する建物についての基準設定でも、非常にポジティブな役割を果たすことができる」と説明する。

考えるオフィスはサステナビリティを支える

グリーンビルと共に、スマートなワークプレイスも建物を環境的にサステナブルにする。しかしそれ以上に、優れたオフィスを有する組織は生産性の利益とより幸福で健康な労働力を享受することになる。

WGBCの研究では、空調の改善により労働者の生産性は11%上昇し、照明の改善により効率性が何と23%上昇することが示された。

今日の労働者はワークプレイスで安全と健康を感じたいだけではなく、倫理的な選択を行う組織に所属したいとも考えている。この場合、環境サステナビリティに対する影響を軽減するだけではなく、積極的に地球温暖化の解決策となる選択が問われるのである。

テクノロジーはスマートビルに大きな役割を果たし、カスタマイズを容易にする。従業員と企業にとって明確なプラス要因である。

クリフォードは「次世代のワークプレイス技術は、パーソナライズされた管理や旧態依然としたビルシステム内で業務を行う際に多くの人が体験する摩擦を排除することで、人に環境と直接接触する直接的フィードバックを提供する」と述べる。

この点について、当社のクライアントは環境保全と労働力の生産性向上の両方を達成している。例えば、アジア全域、とりわけ中国で、当社のクライアントは建物内の空気の質を監視する端末を使用し、空気の濾過と清浄化を実施している。こうしたスマート端末はクラウドに接続され、リアルタイムの分析と対応を可能とする。

今日の組織は新たな現実に直面しており、サステナブルビルの設計、テクノロジー、戦略を見直し、これらを組み入れなければならなくなっている。クリフォードは「そうでなければ陳腐化して競争上の優位を失うするリスクがある」と警告する。

サステナブルなワークプレイスの創造を懸念する企業にとって鍵となるのは、効率性向上と環境への影響低減の両方を達成するスマートなワークプレイスやグリーンビルの設計を助ける適切なパートナーを見つけることだ。

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