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2020年は業務用清掃ロボットの普及元年になる

オフィス、ホテル、リテール、物流施設等、事業用不動産のあらゆるシーンで業務用清掃ロボットが活躍する日が目前だ。様々なジャンルが存在する不動産テック。施設管理において最も有望なのは「ロボットによる清掃作業の効率化」となるかもしれない。

2020年 01月 27日

ロボットがオフィスを清掃するのが当たり前に

大手デベロッパー導入相次ぐ

施設管理における不動産テックの可能性。その代表例となりそうなのが業務用清掃ロボットだ。

事業用不動産業界において清掃ロボットの大々的な導入に踏み切ったのが三菱地所だ。2019年1月、ソフトバンクロボティクスが開発したAI自動清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」を約100台導入すると発表。同年4月から同社グループが保有・運営管理する全国のオフィスビル、商業施設、物流施設、空港、ホテル、マンション等に順次導入している。

都心のオフィスビルへの導入も進んでいる。例えば、2018年2月に竣工した大規模ビル「東京ミッドタウン日比谷」のオフィスフロア清掃業務において、同ビルの開発事業者である三井不動産は大手電機メーカーのパナソニックと組み、清掃ロボット「RULO Pro」を共同開発。同ビルへ正式採用している。

また、事業用不動産事業にも注力する総合商社の住友商事は2018年3月、CYBERDYNEが開発した次世代型清掃ロボットを関連子会社が管理するオフィスビルに順次導入すると発表。2019年3月に竣工した東急不動産の大規模オフィスビル「渋谷ソラスタ」でも2階エントランスルームのカーペット清掃等を目的に清掃ロボット「Whiz」を導入した。

施設管理業務を手掛けるJLL日本 不動産運用サービス事業部 高塚 淳は「東京を代表するAグレードビルを保有する大手デベロッパーがこぞって清掃ロボットを採用し始めたことで、業界全体に清掃ロボット普及に向けた強力な追い風が生まれた」と指摘する。ビルを保有するオーナー企業が清掃ロボットを導入し、委託先のビルメンテナンス会社(多くの場合は関連子会社)に貸し出すケースが増えているという。

清掃ロボットで人手不足を解消

ソフトバンクロボティクスが2019年5月から本格展開している業務用清掃ロボット「Whiz」 ©︎SoftBankRobotics

清掃したい場所を手押しで覚えさせる(ティーチング)システムを採用。誰でも簡単にルート設定が可能に

時給2,000円でも応募者集まらない

業務用清掃ロボットに注目が集まるのは人手不足が背景にある。少子高齢化が顕著な日本において、あらゆる産業で人手不足が問題視されてきたが、労働集約型の清掃業は激しい人材獲得競争を繰り広げている。

オフィスビルの清掃等を受託する某ビルメンテナンス会社の担当者によると「時給2,000円で募集しても応募者が集まらないことがあり、雇用しても条件のいい案件があればすぐに転職してしまう。オペレーションを効率化するのも限界にあり、仕様書通りの清掃サービスを提供するのは限界に近い」と胸中を吐露する。

ビルメンテナンス会社が人材確保のためのコスト増を容認できるレベルではなくなり、施設オーナーや管理会社のもとには清掃委託費の値上げ依頼が押し寄せる。ビル運営側も清掃コストが上昇することで賃料収益を圧迫することになる。

対して、障害物が少ない共用廊下のような比較的清掃しやすい部分に清掃ロボットを起用すれば、複雑なレイアウトのオフィス専有部内は清掃作業員が対応することができる。コスト削減のみならず、清掃品質の向上にも寄与する。オーナー、ビルメンテナンス会社の双方にとって清掃ロボットは有用な存在といえるのだ。

省コストの清掃ロボット登場

2020年が本格普及の年に

家庭向けの清掃ロボットはすでに定着した感があるが、オフィスやホテル、空港等、不特定多数が利用する施設における業務用清掃ロボットは、土足歩行による汚れ等をしっかり吸引し、なおかつ多くの歩行者や障害物を避けながら一定時間内に清掃を完了しなければならない。おのずと家庭用の清掃ロボットとは段違いの性能が求められる。

2000年初頭には日本国内で業務用清掃ロボットがすでに実用化されていたが、高性能な清掃ロボットは導入コストやメンテナンスコストがかかり、1台数百万円もの高価格。採算性を鑑みると広く普及するまでには至らなかった。

しかし、前述したソフトバンクロボティクスの「Whiz」など、近年は省コスト・高性能化を実現した機体が登場。ソフトバンクロボティクスの担当者は「清掃委託コストの増加を抑えるために、自社従業員に清掃させる企業も存在するが、限られた人的リソースは有効活用すべき」と述べる他、高塚は「大手ビルメンテナンス会社が清掃ロボットの導入を前向きに検討している他、すでに清掃ロボットを組み込んだ清掃サービスの展開を提案し始めている」と説明する。

こうした動きを鑑みると2020年は業務用清掃ロボットが本格的に普及する「元年」になりそうだ。

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