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多様な投資家が太陽光発電施設へ目を向ける

2012年7月にスタートした固定価格買取制度(FIT)。再生可能エネルギー電源によって生み出された電気を電力会社が20年間固定価格で買い取るという制度設計だ。FIT開始時から多くの投資家が参入しており、個人投資家からREITまで投資家の裾野は幅広い。

4月 23, 2018

長期安定した売電収益

太陽光発電施設への投資は過去の気象データや先行事業者の発電実績に基づいて発電量の予測が可能で、FIT開始以降多くの太陽光発電施設が稼働しており、その施設を管理する会社のノウハウの蓄積や災害等のリスクをカバーする保険など施設の安定稼働に必要なサポートも充実している。また、太陽光発電施設への投資は、風力発電施設のように投資判断に必要な風況調査等のデューデリジェンスコストが大きくなく、バイオマス発電施設のように長期・安定した燃料調達が不要であることも人気の理由となる。

新規開発で収益確保

一方、固定買取価格の相次ぐ値下げを懸念する向きもある。制度開始時の2012年度の40円/kwhをピークに、2013年度36円/kwh、2014年度32円/kwh、2015年度29円/kwh(4月1日~6月30日)から27円/kwh(7月1日~3月31日)、2016年度24円/kwh、2017度年21円/kwh、そして2018年度は18円/kwhへ引き下げる予定だ。固定買取価格は制度開始時から半額以下となっているため、収益性の面で影を落とす。また、初期投資に対する融資の割合は固定買取価格が40円/kwhの場合90%程度であったものが60%程度まで低下してきており、レバレッジ効果も低下している。しかし、太陽光発電投資に詳しいJLL日本 キャピタルマーケット事業部 藤江信平は「買取価格が18円/kwhでも、表面利回りは10%を超える開発は今でも可能」と強気の姿勢を崩さない。

買取価格の高い初期案件は確かに収入が多いものの、稼働済みの案件等発電実績を元に売買価格を決定している事例の場合、NEDO(NEDO=新エネルギー・産業技術総合開発機構のデータを元に発電量の予測を行っている事業会社が多く、保守的な数値として多くの事業会社に認知されている。)の保守的な気象データを元に予測した発電量よりも実際に多く発電しているため、取引される価格も割高な傾向にある。また、開発計画に必要な土地調査等を行わずに計画された案件もあり、開発工事費が思いのほか高い等の理由で開発に着手できないケースも少なくない。

一方、買取価格が18円/kwhのプロジェクトでも地権者との交渉や経済産業省と電力会社への申請業務が完了している着工前のプロジェクト(グリーンフィールドプロジェクト)を事業者が取得し、事業者自らが設備施工会社へ発注する事で中間マージンを削減しプロジェクトの初期投資を低く抑えることができる。JLLでは太陽光発電施設の売買仲介業務だけでなく、入札プロセスのない高圧のグリーンフィールドプロジェクトの提案を一般事業会向けに進めている。必要に応じて設備工事会社や金融機関の紹介も行っており、実際に収益性の高い投資に適したプロジェクトの立ち上げはまだまだ可能であると認識している。

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