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国内不動産市場、2019年の見通し。磐石なファンダメンタルズの下支えをうけ、一層の飛躍の年に

2018年の国内不動産市場は順調な企業業績を材料に、特にオフィス市場で深刻な賃貸床不足が表面化するなど総じて好調を維持した一年だったと考えられる。いわば「無風」状態だった昨年と同じような動きになるのか、もしくは新たなサイクルへと導くトリガーはやってくるのか、2019年の国内不動産市場を占ってみたい。

2019年 03月 26日

引き続き好調なオフィス市場がマーケットのけん引役

国内主要都市のオフィス市場は史上まれに見る高稼働状態が続いており、東京、大阪のグレードAオフィスビルの空室率は1%台で推移するなど、ほとんど空室がない状況である。東京の都心5区では2019年、2020年の2年間でおよそ34万坪超の新規供給が予定されているが、2019年竣工分のほとんどのビルですでに満室稼働で竣工することが決まっており、2020年竣工分も順調に成約が進んでいるという。一方で既存のAグレードビルでは、新築への移転で出た空室を既存のテナントが一刻も早く確保しようと「争奪戦」が展開されており、いわゆる二次空室の心配がほとんどない状況である。旺盛な需要はそのまま賃料上昇につながっており、オフィス賃料は東京市場全体で大幅な底上げが期待できる。一方大阪ではAグレードビルの供給自体が極めて限定的で、2020年までで大型のオフィスビルはわずか2棟しか竣工しない。そもそも大阪は築浅のハイスペックビルのストックそのものが少なく、需要は極めて底堅い。一方で賃料はじわじわと上昇してきているものの、グランフロント大阪の賃料が名古屋のミッドランドスクエアより安価であるなど、引き続き割安感が否めない。この先2020年までに竣工する2棟はもとより、2022年に竣工が予定されているハイグレードオフィスビル「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」などはこうした状況を改善して「商都大阪」に相応しい賃料水準を達成できるのか、日本最後の一等地、大阪駅北「うめきた2期」へとつなげる意味でも、最初の一手が大切である。大阪のオフィス市場はかつて経験したことのない極めて重要な局面を迎えるといえる。

モノ不足への対応は?

投資市場は特に、東京・大阪で投資する先がないという嘆き節が聞かれるようになって久しい。銀行の融資姿勢は引き続き積極的で、特にオフィス市場においては継続した賃料上昇が引き続き見込まれるなど、物件売却に消極的な市場のセンチメントは今年も継続すると考えられる。そこで積極的に狙いたいのがREITの物件売却やオルタナティブセクターである。昨年1年間にJ-REITが売却した物件は、金額、物件数ともに過去最高を記録している。これは親会社からのパイプラインが充実して物件の入れ替えが容易になっただけでなく、いわゆるノンコアになった物件群を売却するタイミングとしては今が適切であると判断し、戦略的に動いている結果といえる。REIT物件は総じて高稼働、かつ投資適格物件として一定の水準を維持しており、REIT以外の多くの投資家にとって極めて魅力的であるといえる。安定した収益を狙うコア投資家だけでなく、折からの賃料上昇基調を考えるとさらなる収益の向上につながることも予想され、バリューアッド系の投資家にも訴えかけると思われる。増加してきたとはいえREITの物件売却はまだまだ限定的ではあるものの、機会を確実にとらえれば極めて質の高い投資へとつながるだろう。またオルタナティブセクターについても、昨今名前のあがるデータセンターや学生寮のみならず、たとえば全国主要都市のオフィスビルや賃貸住宅など、伝統的セクターのなかにおける「オルタナティブ」な投資対象をみつける可能性はまだ残っていると考えられる。経済の好況が全国に波及する今の時流を考えてもある程度「理にかなった」投資になろう。

不動産市場をとりまくファンダメンタルズは引き続き好調で、昨年と大きな変化は感じられない。つまりはまだ次のサイクルへ移行する気配を期待するのは難しい状況といえる。かといってモノ不足を嘆くだけでなく、自ら積極的に投資対象を見つけにいく「攻めの姿勢」が一層重要視されるのが今年の投資活動の成否のカギを握るかもしれない。

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