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施設管理におけるCMニーズの高まりと多様化

開発プロジェクトでおなじみのCMの役割が既存建物を管理するPM会社にも求められている。

2月 26, 2018

既存施設の改修工事にCMニーズ

建築関係者なら御多分に漏れず誰もが知っているコンストラクションマネジメント(CM)へのニーズが高まっている。アメリカからやってきたこの「CM」というコンサル手法、簡単に説明すると建設工事において建築会社や設計会社といったステークホルダーをまとめてあげ、プロジェクトの全体管理を行うというもの。日本では公共事業における発注者支援・透明性確保や、大規模な新規開発における総合調整を主な目的として活用されてきたが、既存建物を管理するPM会社にもCMの役割が求められるようになっているのだ。とはいえプロパティマネジメント(PM)契約内で求められるCMは開発プロジェクトなどに比べて限定的だ。業務プロセスは「起案協力者による改修計画の検証」、「入札諸条件の設定」、「入札開催による業者選定・見積もり査定」、「発注契約締結の代行」、「工事検収」となり、コストの適正化に通じる業務内容が主体となる。

PMに対してCMの役割を期待するのは、投資家へ還元する利益の最大化を至上命題とするファンドや上場リートの台頭もあるが、不動産の管理運営におけるコストを鑑みた上で削減できる部分がもはや改修工事しか残っていないためでもある。PMへの管理フィーは価格競争によって限界レベルまで相場が下がっているのが現状。清掃や警備、設備メンテナンス費用は折からの人手不足・労働者環境に関する行政指導等によって人件費が高騰し以前と比べ大きな圧縮が期待できない。電力・ガスの自由化が進みPPS事業者への切替、光熱費削減は定番化している。結果、築年数を経た施設では改修計画に目が向くのが当然と言える。

不動産運用の姿勢が多角化

「CM=コスト削減」との認識が広く定着する一方、JLL日本でPM事業を担う不動産運用サービス事業部が実施したクライアントへのアンケートを見ると、CMに対して「コスト削減」以外の需要も存在すると推測される。 JLL日本 不動産運用サービス部 片桐修は「期待される要素もクライアントによって様々であり、単純に工事コストを圧縮するだけでクライアント評価は高まるものではない」と断言する。

CMに対して何を期待するのか、オーナーやアセットマネジメント会社の不動産運用に対する姿勢の違いによって大きく変化するようだ。例えば、長期保有前提の上場リートの場合、予実管理の徹底を図り中長期改修計画の適正化に重点をおく傾向がある。一方、短期売却が視野に入るオポチュニスティックファンドの場合は、売却時のネックとなる法的課題の是正工事やバリューアップ工事により稼働率を高めることを期待し、コスト削減が最優先というわけではない。片桐によると「取得時に想定した中長期改修(更新)計画と運用にて発生する改修工事費に乖離が生じ、改修起案を最小限に留めてほしいとするオーナーに対し積極的な改修起案やクオリティ重視のCM提案を行っても彼らのニーズには合致しない」とし、続けて「JLLとしても多様化する運営上のニーズに柔軟に対応できる能力を高めることがCMサービスを提供していく上での今後の課題」と述べている。

総合的なマネジメント力がCMの真価

CMに求められる「統合管理」「スケジュール調整」「コスト管理」「品質管理」の他、遵法性を確保するためのリスクマネジメントや契約管理における調達マネジメント、チーム組成におけるリソースマネジメント等も内包した総合的な役割が求められる。億単位の削減効果が得られた大規模改修工事のCMを担当した経験を有する片桐だが「事案ではコスト削減だけでなく、プロジェクト全体を一元管理できる総合的なマネジメント能力がCMに期待されていた」とし、加えて「メンテナンススタッフだけでなく建設に従事する技術労働者も枯渇し労務費が高騰基調にある中、コスト圧縮能力だけを売りとしたCMは生き残れない」と話す。今後、CMの需要は拡大していくだろうが、諸条件を高レベルで満たすハイブリッド型のCM提供するために日進月歩で技術力を磨いていく必要がありそうだ。

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