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日本のMICE施設―MICEを取り巻く環境

日本で議論が進むIR(統合型リゾート)にあって、エンターテイメント性の高いカジノに注目が集まっているが、経済効果が高く、イノベーションやビジネスチャンスを生み出すMICE施設こそ経済成長の原動力となる重要な存在だ。世界の主要国はMICEを成長戦略の重要ツールと位置付け、施設整備を進めてきたが、日本はこの流れに取り残されており、新規施設の整備は急務となる。日本におけるMICEの展望についてJLL森井鑑定が調査した。

2019年 08月 02日
Abstract blurred photo of conference hall or seminar room with attendee background

大型MICE施設が存在しない日本、世界に追いつくには

はじめに

IR実施法案が2018年8月に可決され、人々の関心はカジノ解禁の行方に向けられている。観光振興やカジノがもたらす経済効果に期待を寄せ、IR整備に名乗りを上げる都市は多い。カジノは広大なIR(Integrated Resort:統合型リゾート)の中で、エンターテイメント機能を担う一部施設に過ぎない。IRの中で、よりビジネス色の濃い施設が、会議場や展示場などのMICE施設である。本レポートではMICE施設に焦点を当て、解説する。

MICEとは

MICEとは4つの言葉の頭文字を繋いだものであり、具体的には以下のビジネスイベント等の総称である。

  • Meeting…企業等の会議、大会、研修会
  • Incentive Travel…企業等の行う報償、研修旅行
  • Convention/Conference…国際機関・団体、学会等が行う国際会議
  • Exhibition/Event…展示会・見本市、イベント

MICE施設とはこれらイベントの受け皿となる施設である。MICE開催には、以下の3つの主要な効果が得られると考えられ、観光庁を所管として誘致が推奨されている。

  1. MICE開催を通じ、世界から企業等の主要メンバーが来日することにより、ネットワークの向上、新ビジネス、イノベーションの機会を呼び込むことに繋がる。
  2. MICE関係の来訪者は、一般観光客以上に開催地域への経済波及効果をもたらす。
  3. 海外、国内相互の人や情報の流通、ネットワーク構築、集客力は、ビジネスや研修環境の向上、都市、国の競争力向上に繋がる。

MICE市場に係る者としては、参加者、主催者、出展者、主催者から委託されるミーティングプランナー、会場や施設の運営者、施設を有する都市等の自治体をサポートするコンベンションビューロー(自治体や民間企業による非営利のMICE誘致組織)や日本政府観光局(JNTO)が挙げられる。

MICE開催の経済効果

このように、MICE開催は経済効果と社会効果が得られるとされており、経済効果には1)建設による効果、2)MICE開催がもたらす主催者、出展者、参加者の支出、が期待できる。観光庁の調査によると、2016年度の国際MICEによる経済波及効果は、全国で1兆590億円であった。そのほぼ3分の2は国際会議によるものである……。

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