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ファシリティマネジメントとは?目的、実践方法を考える

設備機器や不動産といった「ファシリティ」を経営資源とみなし、最大限生かすことで事業成長を推進するファシリティマネジメントがこれまで以上に重要視されている。ファシリティマネジメントの目的、考え方、実践方法などを解説する。

2022年 10月 10日
ファシリティマネジメントとは?

「ファシリティマネジメント(Facility Management)」とは業務に活用する土地や建物、設備などを経営にとって最適な状態で保有・活用するための、経営管理や組織運営といった管理手法を踏まえ、単純に設備や建物を維持管理するだけの施策を指しているのではなく、有効かつ適切に経営基盤を計画・運営・管理する積極的な取り組みのことを指している。

これまでのビジネスにおいては、経営資源を「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つが挙げられてきた。これらに設備機器や不動産を含む「ファシリティ」を加えた5つの経営資源をどのように活かしていくのか、事業を成長させる上で非常に重要な取り組みとして認識されるようになっている。

ファシリティマネジメントの目的

建物やオフィス環境を構築する際に投資コストを抑えながら、事業成長などを目的に使用価値の最大化を両立する「最適解」を導き出すことが、ファシリティマネジメントに課せられた命題ともいえるだろう。特に少子高齢化が進む日本において優秀な人材を獲得するためには一定以上のクオリティを持つオフィス環境を構築する必要があるが、同時に投資すべきコストを見極めなくてはならない。

建物や設備の無駄を省き、効率的に運用していくことによって、建物や施設の機能性が向上することで、そこで働く従業員の満足度や業務効率が改善される。ファシリティマネジメントによって経営効率を改善するのみならず、長期雇用の維持にも寄与するだろう。

ファシリティマネジメントの考え方

あらゆる技術や情報を活用し、長期的な視点によって計画を立て、常に最適化を意識できるような取り組みがファシリティマネジメントに求められている

ファシリティマネジメントを実践するにあたり、まずは建物や設備の「ライフサイクルコスト(LCC)」を考慮すべきだろう。

LCCとは、建物や設備が作られてから解体されるまでの期間(ライフサイクル)にかかる総費用を指す。一般的に莫大なコスト負担となる新規開発時のイニシャルコストが注目されがちだが、建物・設備などを維持管理するためのランニングコストは削減効果が高い。高効率設備の導入による光熱費の削減をはじめ、建物修繕、設備機器の点検・修理、税金や保険などの無駄を見直すことでコスト削減効果が得られる。

あらゆる技術や情報を活用し、長期的な視点によって計画を立て、常に最適化を意識できるような取り組みがファシリティマネジメントに求められている。

ファシリティマネジメントの実践方法

ファシリティマネジメントを実践する際「PDCAサイクル」が活用されていることが多い。①Plan(計画)、②Do(実行)、③Check(評価)、④Action(改善)のプロセスを循環させることによって、ファシリティマネジメントの品質を高めることができる

1. Plan(計画)

建物や設備の状況を把握して、どのようにファシリティマネジメントを実践していくのか計画する。特に、経営戦略と結び付けて計画することが重要。建物や設備をどのように活かしていけば将来的な経営戦略に結び付くのか考えることで論理的な計画策定が可能になる。

2. Do(実行)

建物であれば、建物の長寿化のために耐久性調査やリニューアル改修などをはじめ、低稼働率・未利用なスペースを有効活用するべく、社員専用のトレーニングルームや仮眠室に改修するようなことも考えられる。

3. Check(評価)

設備管理・経営管理をどのくらい実践し、達成することができたのか入念に調査を行う。経営管理の観点から業務効率がどれだけ向上したのか、数値的なデータを活用しながら評価すると分かりやすい。コスト面に着目し経費がどの程度削減できたのか、オフィスの運用改善などは従業員の意識がどの程度変化したのか満足度調査を行うなど、定量的な評価を行うことが今後の指針となる。

4. Action(改善)

評価内容(Check)をもとにして、ファシリティマネジメントの改善、微調整を行っていく。「業務効率が改善していない」、「コスト削減に繋がらない」、「従業員の満足度が低い」となどの結果に対して、今後の施策を検討する際の課題を明確にすることが重要だ。

まとめ

ファシリティマネジメントは保有不動産に悩みを抱える多くの企業・自治体にとって必要不可欠な経営手法として、これまで以上にその重要性が認められる

近年、企業においてファシリティマネジメントが注目されており、企業だけでなく自治体においても実践事例が増えている。

少子高齢化時代において優秀な人材の確保、長期雇用の維持など、企業にとっては大きな課題となる中、ファシリティを最大限活かした事業体制を構築することは課題解決に寄与するだろう。また、自治体はバブル期に建設した保有不動産の老朽化が深刻化し、維持管理コストの負担増は大きな課題となっている。

ファシリティマネジメントは保有不動産に悩みを抱える多くの企業・自治体にとって必要不可欠な経営手法として、これまで以上にその重要性が認められるのではないだろうか。

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