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大阪オフィス市場-御堂筋の逆襲

近年は再開発が著しい梅田エリアの存在感が急速に高まり、今や大阪最大のビジネスエリアに成長を遂げた。建物の高さ制限等によって建替えが遅れていた御堂筋だが、ここにきて大規模再開発が複数計画され「復活」の機運が高まっている。

2020年 04月 13日

高さ規制によって建替えが進まず、中層階オフィスビルが多かった御堂筋だが、高さ制限の緩和とオフィス需要の増加を背景に再開発計画が続々と浮上し「逆襲」の時を迎えている

活況呈す大阪オフィス市場

賃料の年間上昇率は7四半期連続で10%超え

大阪Aグレードオフィスの空室率は2019年第4四半期に0.14%となり、賃料の年間上昇率は7四半期連続で10%を超えている[1]。大阪最大のビジネスエリアである梅田エリアの空室率が低下していることに加え、2025年の大阪・関西万博開催や統合型リゾート(IR)誘致で期待が高まるベイエリアの発展に伴う就労者の受け皿として大阪中心部のオフィス需要が見込まれていることから、賃料の上昇は大阪中心部全体に波及している。JLL日本 リサーチ事業部はいま、伝統的なビジネスエリアである御堂筋エリアの復活に注目している。

再開発で梅田、中之島が躍進

大阪オフィス市場は2014年頃から賃料が急上昇、2025年開催予定の万博に向けて新規供給も急増している 出所:JLL日本 リサーチ事業部

最も賃料が高い梅田エリアは、西日本最大のターミナル駅であるJR大阪駅を中心に広がる。ビジネスエリアとしてのステータスは、大阪駅北口駅前に広がる「うめきた1期地区」に複合施設「グランフロント大阪」が竣工した2013年頃から向上した。竣工時こそ金融危機の影響もあり、リーシングが難航したが、近年はほぼ満室稼働となっており、大阪でも有数のオフィスビルとなっている。

梅田エリアでは、今後の大阪オフィスのマーケットリーダーになると目されている「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」が2022年に大阪駅南口に竣工予定であり、2024年には大阪中央郵便局跡地における「梅田3丁目計画(仮称)」および新駅ビルの開発、その後も「うめきた2期地区北街区/南街区開発事業」など大型開発が複数計画されている。

梅田に次いで賃料が高い中之島エリアは、堂島川と土佐堀川に挟まれた東西に細長い中洲にあり、梅田エリアと御堂筋エリアの中間に位置する。古くから大阪の経済・文化・行政の中心地であり、東部には大阪市役所や日銀大阪支店等が、西部には大阪府立国際会議場や国立国際美術館等が立地している。

2012年の「中之島フェスティバルタワー」および2017年の「中之島フェスティバルタワー・ウエスト」の竣工がビジネスエリアとしてのステータスをさらに向上させた。中之島では、再生医療をベースとした最先端医療の産業化と国際貢献を推進する未来医療国際拠点「Multi-LinkS」の開業を2023年に控えるなど、国際ビジネスの展開も期待されている。

高さ制限の緩和で再開発が進む御堂筋

次いで賃料が高い御堂筋エリアは、北の梅田と南の難波を結ぶ大阪の大動脈である御堂筋を中心に広がる伝統的なビジネスエリアである。銀行や生命保険会社をはじめ大手企業が立地しているが、御堂筋沿いでは建築物の高さ制限が設けられていたことから、ほとんどが中層規模のオフィスビルである。軒高制限が31mから50mに緩和されたのは1995年のことである。

その後、2002年に「都市再生特別措置法」が制定され、同法に基づく「都市再生特別地区」の適用を受けることにより、2008年に高さ約70mの「淀屋橋三井ビルディング」、2010年に高さ約130mの「本町ガーデンシティ」が竣工した。さらに、2014年に「御堂筋デザインガイドライン」が大阪市により制定され、2020年1月に高さ約116mの「オービック御堂筋ビル」が竣工した。2024年-2025年には「淀屋橋駅西地区第一種市街地再開発事業」および「淀屋橋駅東地区都市再生事業」により、それぞれ高さ135m、150mのオフィスビルの竣工が予定されている。

御堂筋エリアでは、オフィス需要の増加と高さ制限の緩和により、前述の淀屋橋駅東西地区の事業以外にも複数のオフィスビルの再開発が計画されている。梅田や中之島に押されていた御堂筋エリアの逆襲が始まりつつある。

(JLL日本 関西支社 リサーチ事業部 アナリスト 剣持 智美)

[1] JLL日本リサーチ. 大阪オフィスマーケットサマリー 2019年第4四半期.

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